戦略的なコンテンツ発信でオリジナルの広報スタイルを構築。新任ひとり広報が入社から6ヶ月でやったこと
こんにちは!IPテックスタートアップWunderbar(ヴンダーバー)広報の村上です。
今回は、未経験のひとり広報が6ヶ月でやったことについてご紹介します。
参考程度に、私の状況は以下の通りです。
企業の広報支援を行う「ふたり広報」さんに伴走してもらったり、時期によってはPR会社さんのサポートを受けたりしながら取り組んできた広報活動についてざっくりまとめていきます。
少しでも私と同じような新任ひとり広報さんの役に立てたら幸いです。
▼やったこと一覧
1. 会社・サービス理解
まずは会社やサービスについての理解を深めるため、営業資料を読み漁ったり、実際のアポに同席させてもらったりすることからはじめました。
広報として、誰よりも会社のファンになることを目指して、なるべく広く把握できるよう努めています。
2. 広報知識のインプット
次に、着手したのが広報知識のインプット。面接で広報職を提案されるまで、私にとって、広報はイメージすることすらできないような未知の職種でした。
そこで、「広報とは何なのか」という基本の基を学ぶために手に取ったのが、『ひとり広報の教科書』(井上千絵さん・著)でした。
この本は、特に未経験のスタートアップひとり広報、つまり私のような立場に向けて書かれた内容が多いうえ、広報業務が網羅的に解説されており、入社から半年経った今でも参考になっています。
あわせて、定期的に外部の方から広報のメンタリングを受けたり、セミナーに参加したりしながら、広報というポジションに対する理解を深めていきました。
3. KPI設定
割と早い段階で取り組んだのが、広報業務全般におけるKPIの設定でした。
正直、とても苦戦したのですが、他社の広報さんがまとめたノウハウや専門書を漁りながら、最も合理的でわかりやすい指標をリサーチしました。
結果、公式SNS、プレスリリース、メディアリレーションズ、代表SNSといったカテゴリごとのプロセス、アウトプット、アウトカムのそれぞれに定性的な目標と定量的な目標を設けることにしました。
広報業務の多くは短期的かつ定量的な結果が見えにくいものです。
記事を◯本書く、リリースを◯本配信するといった自分でコントロールできる「プロセス評価」で目標を設定しつつ、その行動の結果として起こり得ることを「アウトプット」「アウトカム」の目標として置くことで、より実現可能性が高く、評価しやすい基準を設定しました。
私が参考にさせていただいたKPIの設定のヒントはこちらのnoteでも紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
4. プレスリリース運用
プレスリリースに関しては、月4回を目標に定期的なニュースを配信しつつ、3ヶ月に1回程度、ビッグニュースを配信できるよう準備しています。
大まかなプレスリリースの計画を立て、それに合わせてコーポレート側や事業側が動くという逆算的な広報活動を意識しています。
5. note運用
採用候補者をメインターゲットとした公式noteの運用も行っています。週1回ペースのオリジナルコンテンツに加え、月刊Wunderbarと題した月報を月に1回公開しています。
企画から執筆、デザインの依頼などを全般的に担当していますが、特に苦戦しているのが、タイトル付けと記事の拡散です。
私はこれまでまともに文章を書いたことも、noteを使った経験もほとんどありませんでした。
そのため普段からnoteでランダムに検索し、思わずクリックしてしまったnoteのタイトルやサムネを分析したり、トレンドのハッシュタグを追ったりしながら、より魅力的なタイトルを作成できるように学んでいるところです。
記事の拡散に関しては、以下のSNSのお話で補足します。
6. SNSの発信強化
入社直後、それまでWunderbarではあまり注力していなかったSNS運用を始めました。
・公式SNSの開設・KPI設定・運用
まず、開設したのが、エンタメ経済メディア『IP mag(アイピー・マグ)』の公式Xと公式Facebookです。
運用開始にあたり、ほかのBtoB企業の公式アカウントを参考にしながら、トーン&マナーやKPIを細かく設定しました。
現在は、メディア編集担当の浦田と連携しながら、活発な運用を継続しています。
・個人SNSの開設・運用
公式SNSを追うように、Wunderbar広報としての個人のXやnoteのアカウントを開設しました。
インプットや他社の広報さんとのコミュニケーションを目的としてはじめたのですが、自分が長期的にやりたいことに向かうための自己ブランディングや、SNS運用の実験、言語化の練習の場としても活用しています。
「エンタメやIPにすごく詳しいけどこの人は一体誰なんだろう」という導入から、会社のことも知っていただけたら嬉しいです。
・代表SNSの戦略立案
入社して2〜3ヶ月が経った頃から、代表・長尾の発信力を強化するための戦略を考え始めました。
メディアリレーションズにあわせて、一目でプロフィールがわかるようなコンテンツが必要だと考えていたからです。
代表にヒアリングしながら、他社の経営者の発信や自分のSNSで効果が見られている施策を提案しています。
また、社内で代表のSNSや取材記事を積極的に盛り上げるための声かけも行い、代表もメンバーもモチベーションが上がるような仕組みづくりを行っています。
SNS運用は正解がないのでとても難しい施策ではありますが、ビジネス的な取材記事よりもカジュアルなコンテンツで人柄を伝えられる場にしたいと考えています。
・SNSシェアアワードの開催
全社的な発信力強化を目的として、“SNSシェアアワード”という取り組みを始めました。
公式SNSやプレスリリース、noteの拡散に積極的に協力してくれたメンバーにギフト券やランチをプレゼントするというものです。
せっかく作成したコンテンツも拡散しなければ多くの人に届けることができません。
まだ組織が十数人規模の段階から、「広報はみんなで」の意識をつけるためにも、メンバー一人ひとりが発信に協力しやすい仕組みを整えていきたいと考えています。
7. メディアリレーションズ
・交流会参加
広報になったばかりの頃に、広報やメディアの方が集まるオフラインの交流会に参加しました。
それまで全くメディアリレーションズの経験がなかったものの、他社の広報さんと情報を共有しあったり、メディアの方に自社のサービスをPRしたりするような経験ができたことで、メディアリレーションズの雰囲気を掴むことができました。
最初から1人で闇雲にメディアリレーションズに着手するのではなく、交流会を1度挟むことができたのは大きかったと思っています。
・社内ディレクション
メディアリレーションズのために短期契約でお手伝いいただいたPR会社さんとの連携をとるため、3ヶ月間社内ディレクションを担当しました。
具体的には、ファクトブックの作成、メディアキャラバンの同行、取材の調整・準備などの業務を行っていました。
ここでも、メディアリレーションズの流れやポイントを実践的に学ぶことができました。
その後も記者の方々に情報提供を行ったり、自社のプレゼンをしに行ったりしながら、関係の維持や取材獲得のために努めています。
▼実際の掲載記事例
8. 社内イベントの企画・運営
・全社合宿
Wunderbarでは年に2回、全社合宿を行っています。
制度自体は私が入社する前からあったものの、定義や目的が明確に定められているわけではありませんでした。
そこで、合宿の意義を見直しながら、企画から宿・飲食店などの予約、当日の運営等までを行いました。
入社直後に合宿の担当になったので、右も左もわからないような状態でしたが、だからこそメンバーの声にじっくり耳を傾けながらフラットなアイディアを出せるように意識していました。
今後はほかのメンバーも巻き込みながら、よりメンバーに満足度の高い合宿を提供できるようにしていきたいと考えています。
▼合宿の模様はこちらでも詳しくご紹介しています。
・周年広報
2024年3月22日に創業から5周年を迎えたWunderbar。
節目の年ということもあり、社史やメンバーの詳細プロフィール、思い出動画の作成に加え、周年イベントを開催しました。
といっても、私は入社して数ヶ月しか経っていない状況。これまでの会社の歩みを詳しくヒアリングする時間を設けたり、たくさんの写真が収められているアルバムを何度も漁ったりしながら、5年間の軌跡をたどりました。
▼周年企画の詳細はこちらで詳しくご紹介しています。
合宿も周年イベントもそうなのですが、社内への影響やその採算性、それまでの工数を把握しておくことはもちろん、企画段階で社外向けのアウトプットのイメージまで持ったうえで取り組みました。
上記で紹介した合宿や周年イベントのnoteも、イベントの企画段階から記事のターゲットや構成を決めていました。
こうすることで、イベント実施にかかるコストへの理解を得られやすくなったり、企画の軸がブレにくくなったりするという効果がありました。
6ヶ月間の広報活動を通じて学んだこと
社会人経験もほとんどなかったような未経験の状態からひとり広報を6ヶ月担当させていただいて、本当にたくさんの経験をしました。
今回はその中でも特に学びになったことを3つ取り上げてみます。
・広報は経営機能の1つ
広報に関する知識が全くなかった私が目から鱗だったのが、広報は経営機能の1つであるということでした。
その情報をインプットしたときは、正直その言葉のイメージがあまり湧いていなかったものの、実際に6ヶ月広報を担当する中でそれを体感する場面が多くありました。
・見えないものを見える化する努力
多くの広報が抱える悩みの1つは、どうしても結果が見えにくいことだと思います。
どんなに質の高いnoteを公開したからといって、すぐに採用候補者が応募してくるわけではないし、プレスリリースを公開したからといって、記者さんが連絡をしてくれるわけでもない。
そんな状況下で見えにくい効果を可視化することは、広報機能を見える化し、メンバーからの理解を得るためにもなるのではないかと思っています。
合宿の採算性はどう担保するのか、メディア取材獲得にはどれくらい価値があるのかというところまで、客観的に数値化するようにしていました。
数値化の手段はいろいろあるとは思うのですが、メンバーが見たときに「確かに同じコストをかけるならその企画をやった方が良いよね」という判断材料を渡すことを意識して、比較対象を持ってくるようにしています。
定性的かつ自分でコントロールしにくいものを定量化するのは容易ではないものの、さまざまな角度から広報活動を見直し、わかりやすい指標を設けることで周囲との目線合わせができるようになるのでおすすめです。
加えて、広報活動に説得力を持たせることが、自分の存在意義を見出すことにつながると感じています。
・オリジナルの広報スタイルでOK
半年間の広報活動を通して一番大きな学びだったのが、「自分らしい広報スタイルでOK」ということでした。
広報業務は多岐にわたりますが、他業務兼任のひとり広報だとすべてを網羅するのはなかなか難しいです。
また、一口に広報といっても、業界や社風によって本当にさまざまな広報さんがいらっしゃいますし、性格による各業務への向き不向きもまばらです。
直近の私の目標は、「エンタメ業界を深く理解しているIPテックの広報」という自己ブランディングを行いながら、社内外のステークホルダーの行動の起点となる、戦略的かつオリジナルのコンテンツ発信をすることです。
もちろん好き嫌いで業務範囲を選ぶというわけではないのですが、一般的なイメージにとらわれず、そのときの企業にとって必要なことと自分の関心や得意分野を掛け合わせて考えながら、独自のスタイルを構築していくことが何より大切だと感じています。
採用強化や事業拡大にともない周知すべき情報が盛りだくさんなので、引き続き、コンテンツ作成と発信に重きを置きながら自分らしい広報像を描いていきたいです。
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