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「漬けマグロのドーナッツ」が大人気 那智勝浦町で起業支援プログラム実施

 今夏和歌山県那智勝浦郡で催された、学生を対象にした起業支援プログラム「武者修行プログラム®︎」のファシリテーター(進行・サポート役)高野康さん(48)に取材した。ベトナムのホイアンを舞台にリアルなビジネスを立ち上げるという最終研修に向けて国内で合宿が行われる。その国内合宿の会場の一つに今回那智勝浦町が選ばれた。高野さんによると、和歌山大学からの学生参加がまだ見られないとのことで、参加を呼びかけている。

漬けマグロのドーナッツを学生が開発

 プログラムでは「生マグロ日本一!大自然のパワー溢れる熊野の恵みを生かした新商品開発」と題して、学生3、4人ずつがチームを組み、観光や食品など与えられたテーマにそって商品やツアーの開発に取り組んだ。出来上がった企画の中から、客の意見や利益、最終プレゼンをもとに評価が行われ、実行されるか否かが決まる。今回は、醤油に漬けた生マグロをホットケーキミックスで包んで揚げたドーナッツが選ばれた。

 このユニークなドーナッツは、2日間で140個売り上げた。単価は390円と安く、普段売られているヅケ丼が1000円ほどであることを考えると、かなりお得にマグロを楽しめる。また高野さんによると、こうして揚げることで、生で食べると筋が気になる部位でも抵抗なく食べられるという。「にぎわい市場」という町の市場の商品は、ピーク時でも1日に50食売れたら良い方で、今回のようにリピーターまでつくことは稀だという。「家族に買って帰る」という人もいて、地元でも人気で売り上げに貢献したようだ。

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「武者修行プログラム®︎」とは? 開催地域の人と学生の連携でうまれる活気

 「武者修行プログラム®︎」の特徴は、地域の人との連携にある。宿泊場所の確保や衛生管理の指導、商品開発に向けての情報など地元の支えなくして開催できない。町の人は学生中心ということで不安もあったようだが、彼らの頑張りを見て応援したくなったと話していたという。8年目となるこの武者修行プログラム®︎は立ち上げ人である山口和也さんがホイアンに店を持っていたことからホイアンで研修を行なっている。彼が学生に若い感性で新しい商品・サービスを企画してもらいたいと考えたことで始まったといい、これまでに延べ3600人もの学生らが全国から参加している。

 今年は新型コロナウイルスの影響で渡航プログラムは中止となり、代わりに国内の地方都市とオンラインで研修を行なっているとのことだ。その一つが那智勝浦町で、2週間の日程で企画された。町の人も「街に活気が出てきた」と喜んでいたという。

東京と那智勝浦・色川をつなぐ高野さん

 なぜ、那智勝浦なのか。実は高野さん自身、那智勝浦町に訪れるのはこの研修プログラムが最初ではない。東京でコンサル業を営む傍ら、4年前から町の内陸に位置する色川という地区で棚田保全活動に関わっている。年に10回ほど通い、東京では色川のジビエを楽しんだり稲藁を使ったしめ縄づくりを行ったりするイベントを開催している。そんな時に「武者修行プログラム®︎」について耳にし、那智勝浦町で開催したいと考えるようになったのだという。

オンライン取材時の背景に色川地区の棚田を使ってくださった高野さん

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「学びの場」は大学だけではない

 高野さんから和歌山大生の参加がまだないと聞いて、記者もホームページを見てみたが、東京大学や慶應義塾大学など東京をはじめ、北は旭川、南は大分など、様々な大学から参加している。それぞれ「人生が変わった」「自由に生きる勇気を与えてくれた」などと前向きに話している。ぜひ参加して、より広い世界で様々な人と出会う契機にしてほしい。決して大学だけが学びの場ではないのだ。

※今年の武者修行プログラム®︎について那智勝浦町で年末と来年の春の開催が決定しました

連絡先:
オンライン無料説明会申し込みフォーム:https://mushashugyo.jp/sche/
→実際にプログラムに参加した学生が対応
武者修行プログラム®︎について:https://mushashugyo.jp/

文中に出てきた「武者修行プログラム®︎」の立ち上げをされた山口和也さんですが、先日お亡くなりになりました。ご冥福をお祈りするとともに、このプログラムのますますの発展をお祈りしつつ記事を終えさせていただきます。

(写真提供:高野康さん)


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