2017年1月 宇多田ヒカル / Fantôme
1月には自身の前年最大トピックを、ということでこの作品について書こうと思う。とにかくヒカル様の8年半ぶりのフルアルバムが、1形態のみ(重要)、フィーチャリングアーティスト有り(重要)、発売初週に約25万3000枚の売り上げ(重要)、という重要トピックだらけの作品だという事を今一度、声高に(文字だけれど)叫んでおきたい。
まずは1形態のみでのリリースという事の重要性。以外とこれ重要で、昨今の音楽業界はシングルもアルバムも、老いも若きも、2~3形態(DVD付きの初回限定盤や通常盤など)でのリリースなんてのはザラで、そんな中で彼女のフルアルバムが1形態でリリースされた事によって、そういう風潮が今後のスタンダードになっていくような、なっていって欲しいような気がしている。本当に良いものはDVDが付かなくてもいいのだ。
次にフィーチャリングアーティストが豊富に参加している事の驚き。これまでのアルバムでもBACK HORNのVo.山田氏くらいしか明確なfeat.勢がいなかったが、今回は同期デビューの椎名林檎(待望の競演)や、KOHH・小袋成彬といった知る人ぞ知る実力派の若手まで、どれも参加曲にピッタリのハマり方であった。無理やりでなく、必然的に参加になった、という事の表れだろう。
最後に、売上枚数について。この人のこの作品が初週25万3000枚を売上げた、という事実が今の音楽業界への救いであり、戒めでもあると思う。素晴らしい作品を、最良のタイミング/プロモーション/価格で売れば、買う人はいるという証明と、そんなに『手を変え品を変え』をしなくてもいいんだ、という戒めでもある。この作品が、色んな意味で今後の日本の音楽業界のスタンダードになってくれれば、と願っている。