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パスワーク 11 力

夢日記 1114「11力」第一夜

僕は遠征している。これから帰るところだ。
あいにく悪天候で飛行機が飛んでいない。
今は待機状態だ。飛行場の待合室でおおぜいの人と一緒に出発のアナウンスを待っている。

今日は僕には大事な仕事がある。
今年のダービーに出場する馬に乗らなければならない。

天気の回復を待っていられないので僕は車に乗り込む。
駅のプラットフォームに車ごと乗り入れる。人が道をあける。

プラットフォーム上で車を切り返そうとしてあやうく線路に落ちそうになった。
キオスクのおばちゃんが言う。
「あんた、危なかったわよ。運がいいわねー」

車の中で電車を待っていると遊び人風の中年の女の二人組が話しかけてくる。
「あなたいい男ねー、車と同じ色をしてるわねー」
僕は何のことかわからなかったが、まんざらでもない感じで二人の相手をしている。

競馬場に到着した。僕は厩舎に向かっている。
正面のゲートから雌の仔馬が小躍りしながら僕の方にすり寄ってくる。
彼女は嬉しそうに僕の鼻先を嗅いでいる。
そうだ、この仔馬は僕の妹だ。

ふと競馬場の掲示板を見る。
僕が乗るはずの馬はすでに騎手のなまえが掲げられている。横山XX。

そうか、僕自身が走るんだな。僕はその時初めて気づく。
僕自身が競走馬でこれからダービーを走るんだ。


夢日記 1115「11力」第二夜

トラのパッケージと破壊されたトイレ。

私は自分の事務所にいる。
酒造メーカーのベテランの営業マンが事務所に立ち寄って仕事の話をしている。
「来年は寅年だから、おたくの日本酒のパッケージを虎のかたちにしてはどうだろう?」と私は彼に提案する。
相手も興味を持ったようで、ちょっと相談して見ると言って席を立つ。
事務所に備え付けの薄いブルーの公衆電話から本社に電話しているようだ。
相手は社長らしい。話がまとまったらしく受話器を私に渡す。
「もしもし・・・」すでに電話は切れている。
「これから社長のところに行きましょう」その営業マンが私を促す。

ちょっと待って、その前にトイレに行ってくるからと、私は近くの屋外公衆便所に向かう。
公衆便所のドアが無残に壊れている。私はかまわず中に入っていく。
かなり広い公衆便所だったが屋根は落ちて、あたりはずたずたに壊れている。
大地震が起こってもこれほど酷くはならないだろう。まるで爆撃を受けた後のように破壊され尽くしている。
係員らしき人たちが現場検証を行っている。
私はたったひとつ残された便器で用をたしている。


コスプレマーケット。

二人の友人と一緒に西新宿にいる。
これから三人でコスプレマーケットに入ろうとしている。
一階のフロアにはビニール製の大小の透明のケースが大量に並んでいる。
これは何に使うんだろう?衣装の保管に使うのだろうか。あるいは人が入るケースなのだろうか。

次のコーナーには鏡が陳列されている。あたり一面鏡だらけだ。
友人たちは面白がっていろいろな鏡に自分の姿を映して喜んでいる。
想像していたコスプレショップとは全然違うなあ、と思いながら私たちは上のフロアに進む。


下半身のない男女。

白黒のフィルムが上映されている。
かなり古いものらしいが、映像はとてもきれいだ。
いろいろな映画のダイジェストのようで、綺麗な女優がかわるがわる登場しては消えてゆく。

その映像の途中で綺麗な女性が悲しげな顔でなにごとかを訴えている。
話している相手の男性の映像と交互に切り替わる。
男性がその女性に愛を告げているようだが、女性はその愛に応えるべきかどうか迷っている。
映像はずっと二人の上半身部分だけを映しており、そのやりとりが続く。
やがて女性も男性の熱意に負けて男性の愛を受け入れることにした。

そしてはじめてひとつの画面に男女の全身の姿が映し出される。
男性も女性も腰から下が土のように崩壊しており、さながら山の上に人の腰から上が生えている状態だ。


迷ったらカレー。

だれかが私の耳元でささやく。
「迷ったら、カレー」


夢日記 1116「11力」第三夜

今日もまた車に乗っている。相棒が隣にいる。
ラジオ局に着いたのだが駐車する場所がない。
しかたがないので搬入口の空いたスペースに停めて局に連絡を取っている。

場所を移動することになった。
今度はデパートの駐車場にきた。
ここの駐車場もいっぱいでバンパーが接触するくらいの縦列駐車を余儀なくされ、まったく身動きが取れない。
デパートガールの女の人が出てきて、建物の反対側に地下駐車場の入り口がありますから、と案内される。

入口付近の車が出て行って私の車もやっとここを出ることができる。
私は地下駐車場には入りたくなかったので、そのまま前面道路を左折して一本道を走り始める。
次第に道が細くなって田んぼが広がる田舎道に続く。車一台がギリギリ通れるくらいの道幅だ。いつのまにか相棒はいなくなって私一人で運転している。
前に進むしかない。後戻りはできない。

途中民家があったのだが、私はかまわず車ごと家に突っ込んだ。
座敷のなかに車を乗り入れ「ちょっと通してくださいね」と家人に声をかけながら畳の上を車輪が転がっていく。
畳の上に赤いトウガラシが干してあった。それもかまわず踏み潰して座敷を抜ける。
私は誰に遠慮するでもなくただ前に進んでいく。


場面が変わって実家にいる。
今日は父の快気祝いでたくさんのお客さんが駆けつけてくれて、これから大宴会が始まろうとしている。
私は長男としてお客さんのあいさつを受け、宴会を仕切っている。
知っている顔もいれば初めて会う人もいる。
さすがに気疲れして途中私は台所に引き込む。
台所にはすでに配膳前の料理が並べられている。
以前見た夢の中でもらった品々もたくさんあった。お酒や魚介類など。
すっかり忘れていたけれど、ここにあったんだー、と私は納得している。


夢日記 1117「11力」第四夜

今日は自転車に乗っている。
大学の構内に駐車している車に乗り換えるためだ。
地下道に入って図書館に通じる道を進む。
途中階段があって車両用のスロープを自転車を押しながらフロアを上がる。

図書館の入り口にゲートがあって体温のチェックを受けた。
ゲートを抜けると広い円形のロビーに出る。
おおぜいの若者が忙しそうに歩いている。

同級生にあった。今は母校で非常勤講師をしているらしい。
XX君は前歯が一本抜けている。
僕はそのことが気になっていたが、歯のことには触れずに雑談をして別れた。

知人の女の人を見つけた。
外国人のトレーナーと一緒に障害者のワークショップを手伝っている。
そこに参加している障害のある子どもが暴れている。
トレーナーは殴られるに任せている。ボロボロだ。
それがワークショップの目的なのだ。

場面が変わって僕は大学であった若い女と話している。
その女は行く先が決まっていないと言う。
僕は彼女にかける言葉をもたない。
目的も行き先も重要ではない。彼女自身が納得できる答えを見つけられるかどうかだ。

また若い男が僕のところに相談に来た。
「どうも世界はすでに終わっているらしい」と彼は言う。
「確かにそうかもしれないが、30%程度はまだ自由度がある」と僕は彼に告げる。
30%ですか、と彼は落胆する。

再び若い女が出て来て、4、5歳くらいの女の子を二人連れている。
僕の知人の娘たちだ。
子供達は若い女に懐いている。

突然火の手が上がり、僕の工場の隣の倉庫が燃え出した。
火は勢いよく広がるが、僕は自分の工場に延焼することは心配していない。よくあることなのだ。
でも先ほどの若い女が子供達を連れて燃えている倉庫の隣の建物に入って行ったのが見えた。遊んでいるらしい。
僕は彼女たちを注意しに行った。

彼女たちは毛布にくるまって眠りこもうとしている。
「すぐにこっちの建物にも火が移るから危険だ。すぐに出なさい」と僕は注意する。

その後あっという間に建物は燃え落ちた。


夢日記 11120「11力」第五夜

ずっと戦争状態がつづいている。
かつて味方だったものが敵にまわり、敵だったものが味方に加わる。
まさに敵味方が入り乱れている状態だ。

今もかつて味方だったが敵方に寝返った女を人質にとってナイフを突きつけて敵方と交渉している。

ここには20箇所の地下壕があり双方にとって重要な拠点となっている。
わたしはその1~20の地下壕をまわりながら扉の鍵をひらいている。

女の耳に切れ目を入れてひねり、そこに向かって話している。
どうやら耳がマイクになっているらしい。

実はこの女、敵方に寝返ったのもフェイクで本当は味方なのだ。

わたしは女の耳を通して、鍵を開けるためのパスワードを敵に要求している。


わたしは相棒と一緒に筋力トレーニングをしている。
体全体に十分な負荷がかかった頃、相棒と向き合い、お互いに構える。
ボクシングスタイルだ。
相棒はわたしとまったく同じ動きをする。
お互いに同じタイミングで同じ強さのパンチを出して決着がつかない。


細かなイメージの断片が洪水のように押し寄せて来て、意味が取れない。
しかしながら、そのどれもがクリアな日常の断片で出来上がっていて、幸せに輝いているようだ。自転車やトマト缶やパスタや黒い犬や銀色の海や緑の樹々など。とても暖かい気持ちになる。


夢日記 11121「11力」第六夜

巨大なトカゲが棲むエリアで私は弓を持ってトカゲを狩っている。
背丈くらいの草むらを抜けて目的の場所に行こうとしている。

どこからトカゲが飛び出してくるかわからない。
私の後ろには連れがついて来ている。

正面からひときわ大きなトカゲが出てきた。
私は弓に矢をつがえて、思い切り引き絞って矢を放った。
トカゲの首に矢が深々とめりこみ、倒れる。

次々と現れるトカゲたちから逃げながら、矢を射ながら、草むらを突破する。

これは新しいラウンドだ。


夢日記 11122「11力」第七夜

宇宙船だか、飛行船だか、とにかく大型の乗り物で世界を旅していた。

途中、剣山のような絶壁に衝突して飛行船はクラッシュする。
これは予定の行動だったかも知れない。

クラッシュした後に残ったのは老若男女10人。10人減っている。
目覚めつつあるものもいるが、大半は寝ているようだ。
私が最初に目覚めた。

彼らはみな冷凍睡眠状態でひとりひとり棺桶のような箱に入れられて再生される。

これは第二ラウンドだということを私は知っている。


夢日記 1124「11力」第八夜

僕は白と黒と灰色とオレンジ色の煙でできている。
目も鼻も口もないが視覚は生きている。
重さがない。まさに煙のような流体である。まだ人の形を保っている。

僕はいたるところにあらわれて、その都度煙の4色の編成が変わっている。
オレンジ色は炎かもしれない。でも熱さは感じない。

生成の途中であるのか、分解の途中であるのか定かではないが目的に向かって体を作り変えているようだ。


大きな研究室の中にいて、僕はなにかをつくっている。
1魔術師が前にするテーブルのような台。その上にはいろいろな電子機器が並べられている。
僕はただいま製作途中のモノがあり、周囲はできあがるのを待っているようだ。
〆切を迫られているが僕はまったく気にしていない。まだまだ時間がかかりそうだ。

僕のかつてのボスが僕のやり方をまねて代わりに日常の仕事をしてくれている。
構造設計家である彼は僕のやり方をトレースしてチワワを完成させた。


夢日記 1125「11力」第九夜

私は自宅の周りを散歩している。
隣に上半身裸の若い男がずっとついてきて話しかけてくる。
私が応えても彼はずっと話し続けている。
次第に私はイライラしてきて、彼に言う。
「君は会話のルールを知らないのか?」
私は彼を突き放す。


私は娘と二人で歩いている。自宅に戻る途中だ。
自転車に乗った髪の長い若い男が私たちの後をついてくる。自転車の後ろには若い女がのっている。
若い男が話しかけてくる。

「存在について知っていますか?」

私が答えようとすると彼は続けて自説の「存在」について話し続けている。
「わたしたちの存在は、すべて脳が見せている幻想なんですよ。」彼が言う。

私が話そうとしても、彼は夢中になって自説を展開している。
しかたがないので無視しようかと思ったけれど自転車が私たちの前をふさいで止まった。

「君ね、話をしたいんだったら会話のルールというものがあるだろう。君の言うこともわかるけどね、その考え方はなにも君に始まったことじゃない。もっと勉強したほうがいいよ」

私は怒っている。

「実在について知りたいんだったら、対象とそこに立ち上がる意味の場について考えた方がいいよ。対象と意味の場のセットが存在すると言うことで、それは無数にあるのだよ。前景と背景をセットで考えるんだよ」

「前景化する対象が存在の本質を隠してしまうんだよ」

私たちは自転車の二人組を振り切って家路を急ぐ。

家に着いたらちょうど元妻が玄関を出ようとしていた。

「ただいま」「おかえり」

彼女は引き返して家の中に入っていく。

子犬が嬉しそうに尻尾を振って飛びかかってくる。
みると、数年前に死んだはずの愛犬タマだ。子犬に戻っている。

「タマ!! 死んだはずだけど元気そうだね」
あたまとお腹をなぜてやるとタマはお腹を見せて嬉しそうにハーハーしている。
そのうちにタマは駆け去って行った。

家の中は何かの準備をしているようだ。
大掛かりな機材も搬入されていてプロのスタッフも何人かいる。
私はスタッフに挨拶する。
展示会のオープニングパーティーが始まるようだ。
賑やかな音楽がかかっている。
お客もちらほら集まってきつつある。

大宴会の始まる予感。


夢日記 1127「11力」第十夜

ここはどこか避難所のようなところ。
まばらに人が出入りしていて、必要なものを受け取っている。

わたしはディスクのようなものを渡された。
直径30センチメートルほどの厚みのある鈍い銀色の円盤。

ふと隣を見ると上品ないでたちのご婦人がいて、彼女もおなじようなディスクを手にしている。
だれもが同じものを渡されるわけではなく、そのひとに必要なものが配給されるらしい。

ディスクは重くもなく軽くもなく材料が判別できない。

「これは逆さにして使うものでしょうね」わたしが言う。
「わたしもそう思いますわ」そのご婦人も同意する。

とても食べ物のようには見えないがわたしはそれが栄養補給をするものだと知っている。

周りを見ると同じものを持っているのはわたしたちだけだ。
ここでは使えない。

50という数字があたまに浮かんでいる。
何を意味するのかわからないが、時間に関係するようだ。
50分なのか、50時間なのか、50日なのか。

「50ですね」ご婦人が言う。


夢日記 1128「11力」第十一夜

毎年ぼくは干支の動物をつくっています。
もう二周目に入っていて、十二年前の作品を参照しながら、かつそれを超える作品を作ろうと試みるのです。
しかし簡単ではありません。当然、時間の経過とともにスキルが上がってくるので毎年難易度が上がってゆきます。

「梯子」効果と申しますか、つねに登るということを条件付けされているようです。

ちょうどパスワークの「11力」を夢見ながら、そして「獣」性を現実でも感じながら、ふと気づくと虎と向き合っています。
トラのモデルを設計すること、12年前に向かい合ったトラを越えるためにはより深くトラと同化しなければなりません。なので、日常的に虎のことを意識する時間が増えてきます。

そうすると、現実的な日常がパスワークの11力と混ざり合って、夢の中で虎を再構築している感じになります。しかも今朝はより深く虎と同期できることに気がつきました。ガオーっと言う感じです。言葉はなくて、むなしい感じです。ただ、ガオーっという感情です。

ガオーにもいろいろあるんだな、とぼくは理解するぐらいですが、だいたいは悲しみをたたえてガオーと吠えているように聞こえます。

ぼくは寅年生まれなので、よけいに思い入れがあるのかもしれませんが。

獣の中にみなぎるガオーっという悲しみを完璧に(自分として)カタチにできたら、次に進もうと思います。

今回はタイミング的におきているあいだが夢見の世界です。

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夢日記 1130「11力」第十二夜

久々に一夜で数多くの夢をみました。

前半ははっきりと思い出せなくて、パースペクティブの開けた明るい未来という感じしか残っていません。ただ目覚めた時とても暖かくいい気持ちでした。思い出せないのが残念です。

後半。

私はブルガリア大使館にいる。

受付で待っていると私は呼び出されて、ブルガリア大使と秘書のような女性が奥からでてきた。
大使は比較的若い、大きな男で頭はツルツルに光っている。柔和そうな表情をしている。
私たちは握手を交わし、応接室に通される。

大使館はビルのなかにあり、つくりはとても質素だ。
応接室のソファーに座って大使を待つ。
車椅子に乗った大使がカーテンを開けて奥からでてきた。
カーテンの隙間からベッドが見える。

「大使はここに住んでいるのですか?」私は英語で聞いてみた。
「そうです。狭いですがここに住んでいます。」彼は流暢な日本語で応える。

窓もなくて小さなベッドと小さなデスク、ベッドのかたわらに本棚があり本がぎっしり詰まっている。
大きな体の彼がここに住むのはさぞかしつらいだろうな、と同情した。

自己紹介のために私の作品の写真を見せようと、スマホを取り出そうとしたが見当たらない。前室に忘れたようだ。

「すみません、ちょっと待っていてください。資料を取ってきます。」
私はスマホを取りに前室に戻るがスマホがない。
どこに置いてきたのだろう?思案しながら、そういえば枕元にあったなとふと思い出した。そして実際に枕元で見つけることができたのだが、夢から出てしまった。


そのスマホを持って私はいま山を歩いている。ずっと前に一度出会ったことがある、とても大きな美しい樹を探すためだ。
2メートルくらいの高さでグレーの山肌がくり抜かれている。ノッペリしたトンネルのような道を私はスマホだけを手にして歩いている。
日陰は少し肌寒く、湿気を感じる。草木と土の匂いがする。
左手は大きなイチョウが立ち並びどれも樹齢数百年のりっぱな樹々だが、私が探している樹ではないようだ。
ようやくそれらしい樹にたどり着いた。見上げると枝の一部が平面状に隆起していて、そのうえにレミニスカートのような枝が幹の両側に浮いている。
根元には蜘蛛や羽虫が巣をつくっていて無数の虫が這い回っている。
羽虫は空中を埋め尽くし、空がけぶって見えるほどだ。目を開けていられない。

甲虫のようなものが一匹私の方に向かって飛んできた。
私はそれを払おうと持っていた布を振り回すが虫はしつこくまとわりついてくる。
私はなにかにつまずいて後ろ向きに倒れる。


場面が変わって私の仕事場。
新入社員が入ってきた。とても生意気そうな若者でまともに口をきかない。

他の社員はだんだんと打ち解けて、彼の身の上話を聞いている。
どうやら彼は全身の性転換手術を受けて身体は完全に女性らしい。

若いのにかなり借金をしているのだろうな、と私は同情する。
出身は長崎らしい。今は池袋に住んでいるとのこと。

私は彼(彼女)に話しかけるが応えない。
そのうち彼は私に挑戦するように顔を間近に近づけてくる。
まつげの一本一本が見えるくらいに近い。おしろいのつぶつぶが見える。
彼は私の眼の中をのぞいてくる。私も目をそらさないで挑戦に応える。彼の瞳は金色だ。

どうやら私は彼(彼女)に認められたらしい。

彼(彼女)は私の膝に乗って誘惑してくる。半裸の状態だ。
ちょうど肩を抱く格好になって、私は彼の肩がとても華奢なのに気がつく。背中もおどろくほど滑らかだ。

その場に居合わせた私の恋人が心配そうにこちらをみている。
新人の彼(彼女)はなおも執拗にせまってくる。
恋人はたまりかねて二人が絡み合っているところに入ってくる。

私は二人の男(女)女にからみつかれてうんざりし、その場を出て行く。


場面が変わって私は川のほとりにいる。かなり上流だ。
かたわらで母親が洗濯をしている。
私はベッドに横たわっていて身動きができない。

ベッドから河岸を見ると一匹の大きな緋鯉が産卵のために砂地に上がろうとしているのが見えた。
体をくねらせながら徐々に陸に上がってくる。体を砂地にこすりつけていま卵を産もうとしている。

私は母に知らせようと「お母さん、ヒゴイがいるよ!」と声をかける。
年老いて耳の遠い母にはそれが聞こえない。
私は何度も「お母さん、お母さん」と呼びかける。
私は手だけを動かすことができる。かたわらの水をすくって母親にかける。
母はようやく気がついた。


場面が変わって、今日は父親の快気祝い。
施設に入っていた父が退院してきた。
親戚が大勢集まって宴会をしている。
父は車椅子で部屋に入ってきた。

見たことのある女性が踊りを舞っている。
仕舞いを終えた彼女は私と父と叔父が三人で話しているところに入ってきてお祝いを述べる。
「いい色ですね」
私は彼女のきている着物を褒める。左肩が紫色に近い紺色で、右肩が臙脂色の美しい布でできている。
彼女は喜んだ。帰り際に彼女の乗ってきたと思われるミニクーパーが庭先に停めてあるのに気づいた。

私は宴会を早々に引き上げようと帰り支度をしていると、庭にハクビシンのような獣が紛れ込んできた。
子供達が駆け寄って獣を捕まえた。
よく見ると子犬のような、子猫のような、けれども二本足で歩く見たこともない幼獣だ。
白と黒と灰色で色分けされていてとてもかわいい。そして人懐っこい。

帰り道、空港近くを歩いていた。何気なく空を見上げると大型の旅客機が墜落していくのが見えた。
飛行機は近くの工場に激突し、建物から火が上がっている。

なおも次々と空から飛行物が落下してくる。どこに落ちるかわからないので私は空から目が離せない。
近くを走っていた車も止まって、みな成り行きを見ている。車の上を直撃した飛行物もある。パニックが起こる。

おそらくそのとき飛んでいたすべての飛行物がコントロールを失って落下してきているようだ。そのうち人工衛星も落ちてくるかも知れない。ついに、世界の終わりか?

私は落下物を避けながら家路を急ぐ。


自宅にたどり着くとすぐに戸締りをはじめた。
雨戸を閉めて施錠をする。
そのうちに家族が帰ってきた。
なぜかミヤコ蝶々もいた。祖母なのか、叔母さんなのか?大きな黒い帽子を被っている。

私は飛行機の落下事件を家族に知らせる。
テレビニュースでもパニックの様子が流れている。
自宅は空港に近いのでここに落ちてくるかもしれないのだ。

そのうち一機の飛行艇らしきものが自宅に突っ込んできた。
青、白、赤のトリコロールで配色された飛行艇。
まるで水の中を泳いでくるように飛んでくる。金魚のようだ。
この配色は見たことがある。以前の夢で見たことがある飛行艇だ。

激突するかに思われた飛行艇は自宅の庭先に着陸した。
そのまま自宅の中に入ってくる。
飛行艇のハッチが解放され、なかから小さな宇宙人たちが顔を出した。
薄い緑色のユニフォームを着て、ヘルメットは装着したままだ。

私の家族も安心して、宇宙人たちと会話を試みている。
相手もしきりに喋っているようだが、言葉が通じない。

窓の外に空を登っていくロケットが見えた。
姪と一緒に窓を開けてロケットの様子を見守る。なんだか頼りない飛行で徐々に高度を上げつつあったが、ついに落下し始めた。
こっちに落ちてくる。私は姪を抱きかかえて窓際から飛びのく。
ロケットは庭先に落下して爆発した。幸いおもちゃのロケットのように小さいサイズだったようだ。

だが、中からメガネをかけた凶悪な表情の大きな首があらわれて、地上の人たちを拉致しようとしている。
私は窓越しにその大メガネと眼があった。


夢日記 1201「11力」第十三夜

旧友がたずねてきた。
ひとしきり昔話をしたあと、彼は僕のうちの中を物色する。
壁にかかった籠を取り出して中身を開けている。

懐かしいモノが次々出てくる。
そのなかには旧友からもらったモノもあった。
チベットで買ったボロボロの布バッグなど、ほとんどがガラクタだったがそれぞれに思い出はあった。

次に彼は見覚えのあるバティック(布)を取り出した。
その昔バリ島を旅行した時に買った美しい布だ。
ピンクとインディゴの染めで、馬の絵が一面に描かれている。夢のような絵柄だ。
それは僕が一番大事にしていたモノだった。

でもその布はここにはないはず。
数年前に愛犬のタマが死んだとき、亡骸をその布でくるんで庭に埋めたのだった。

ひさびさに見た。夢のように美しい布。

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