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#69 思いを継ぐものなくば、全て終わりぞ【書評】ヤマト正伝

◾️はじめに

企業・企業家、ということで今回は宅急便の開発などをしたヤマトです。

偉大な経営者小倉昌男さんの残したものがどう受け継がれているかについて書かれています。


◾️要約

小倉イズムがヤマトにはある。
 ・イノベーション:未来を想像し、説明し、結果が出るまで辛抱強く実施する。世の中の流れと必要なものを考え、マインドを変えさせる。
 ・組織/経営:一体感を醸成し社格を上げる。経営陣は規制に真摯に向き合う。現場が危機的状態になった場合は構造改革を行い現場を守る。


◾️感想

間違いなく戦後の中で日本をより良く、消費者目線で先を読み事業を起こしてきた人の一人。
そして今は社会貢献も含めてさらにネット企業との協業、競争、需要側の立場に立って革新的企業の魂をつくった。
サービスが先、利益は後、ということなどの”イズム”を残し続けているのはすごい。

◾️要約(詳細)

◆一、カリスマ経営者の背中 有富慶二
カリスマ経営者からいかにいいところを継ぎ変えるべきところを変えるか。
それが難しい。幸い社長の定年制は守られていた。
よりスムーズにするため指名報酬委員会という仕組みを作り、多様な人材が選出されるようにした。

※変えるべきものは変える。変わってきたからこそ、変わらぬ地位(業界大手とか)がある。
同じ場所にとどまるためには、絶えず全力で走っていなければならない

◆二、イノベーションは社長が起こす 有富慶二
イノベーションは社長が起こすものである。
未来を想像し、説明し、結果が出るまで辛抱強く。
宅急便の開発だけでなく、持ち株化もそう。
世の中の流れと必要なものを考え、マインドを変えさせる。
結果が出るまで辛抱強く。これがイノベーションのポイント。

※トップダウン型のイノベーション。「社長肝煎りのプロジェクトだから」いい意味と悪い意味で使われるなー。事業を多角的に行ってないベンチャーなどはこの状態だからいいプロダクト・サービスが生まれるのか。

◆三、実践 「サービスが先、利益は後」瀬戸薫
お客様目線で考える。
決めたら一途に。利益は後からついてくるもの。
社長はあらゆる立場でものを見る必要がある。それを教えてくれたのが小倉さん。
クール宅急便開発でも先を見据えていた。

※孵化するまでは時間がかかる、手間もかかる。見守れるか、諦めるのは簡単。

◆四、「人の和」で組織を動かす 瀬戸薫
小倉イズムを全国に広げる。その起点となったのが朝ミーティング。
経営陣の前で提案を行う。一体感が醸成され、聞いてないをなくす。
繋がり、和を感じさせると共に、人材育成の場にもする。
その上で社内倫理をしっかりと管理し、社格を上げる。そうして持続可能な成長につながっていく。

※社格、ね。visionを掲げるだけでなく、浸透のために何ができるのか。思いがないと伝わらない、人が動かない。

◆五、第3のイノベーションを起こす 木川眞

1929年、日本初の定期路線便事業、
1976年、宅急便に次ぐ、バリューネットワーキング、総合物流企業への変革。
このためにイノベーターとして革新的な商品を開発しつつ、それを進化浸透させていき、
コンダクターとしてイノベーションを完遂していくことが与えられた役割。
今後は技術革新で新たな競合も出てくるが軸を守りつつ、それに打ち勝っていく。

※革新を起こした成功企業が革新的な存在であり続けられるのか。

◆六、危機時に見せた「ヤマトは我なり」 木川眞
危機時こそ本当の姿が出る。
東日本大震災の際に、現場では自らの家庭の状況がわからないにもかかわらず、
自らの意思で支援物資を届けたヤマト社員がいる。
その思いから1つ十円を復興支援に当てることを決める。
普通なら利益の4割を寄付なんてあり得ない。
けど類稀なる経営の意思でそれを実践し、企業価値の貢献へとつながった。
クール宅急便の温度管理の際はそれを強いた社員に謝罪、
誰も違反しようと思ってやっていない、その後の再発に関しても前向きないい流れとなるよう、しっかり謝る。
小倉さんならどうするか、これを考え小倉イズムを実践することが大切。

※〇〇さんならどうするか、こう考えると失敗は少なくなる。自分が敬意を持つ自分より高い視点の人だろうから。 コーチの教え↓


◆七、やる気を引き出す360度評価 山内雅喜
荷物をお客様に渡す現場の第一線の社員が一番大切である。
それがヤマトだとお客様に見られるから。
ではさまざまな職種がある中で適切に評価されるにはどうすればいいか。
正解はないが三百六十度評価を行い、人柄を見るように。
経営陣に続ける覚悟を持たせ、しっかりと現場も評価される仕組みを作った。
また、現場がその生産性努力で賄えない状態になった場合は構造改革が必要。
本来ならば現場がそうなる前に経営がそうさせないようにするべき。
小倉さんから変えるべきものと変えるべからざるものを示されたと思っている。

※現場は努力する、これは当たり前。だがそこが限界を感じて失望しないよう上がフォローする。これが上の役目。

◆八、「あるべき姿」求めて規制と闘う 山内雅喜
常により良い世の中のため、世のため人のためにあるべき姿を描き、それを妨げるものと戦う。
官であっても。そうした姿をトップが見せることが社員にどれだけ誇りを与えているか。
打算ではなく、心からそれを実践する。路線認可、信書問題、見せてくれた背中を見ながらイズムを継承していく。

※ホワイトリスト(やっていいことを明確化する)のこの国の法制度の中で戦うことは必要になる。上が戦う姿が下がついていきたい気持ちにさせる。

◆九、強いリーダーシップで「全員経営」 長尾裕
現場が安全に働けるのが第一、第二が営業。第一と第二を決めることで優先順位を明確に。
また現場あっての会社だから現場の声をちゃんと聞いて、営業所は自立した経営を。
そのためにトップはわかりやすく伝える。
そして一人一人が1つ上の役職、範囲で考えあるべき姿に邁進する。
個人の力が集合体となり、ヤマトをなす。
中小企業の集合体になりたい。

※第二を決める、はやらないことを明確化することに似ている。捨てるのは難しい。けどリソースは有限。

◆十、正念場 その先のヤマトグループへ 長尾裕
ヤマトのセールスドライバー問題は経営の責任。
現場がどうしようもないレベルまでなっていた。
しっかり仕事を現場でできるよう経営側がしっかり料金を改定するなどし、守っていく。
大切なのは人、仕組みややり方は変われど、お客様のために喜ばれるものを提供していく。

※変えていくべきものはある。

◾️アクション

自分のキャッチコピーを考える。(強み、得意なものを考える)
自分のイズム(人生観、成し遂げたいこと)を考える。
文字に起こす。

◾️纏わるショートストーリー

「残したいイズムってある?ほら、この人は一貫してこうだってやつ。野村イズム的な」
「キャッチフレーズ的なもの?お笑い賞レースの前の?ジャックナイフ 千原ジュニア?」
「・・・うん、それでもいいかな。」
「なんだろあるかな?」
「そういうの考えると軸が見えてくるのかもね。キャッチコピーは自分の今の強み、特徴をより強く発揮していて、イズムって言うともうちょっとこう長期的な、広範囲な感じだけど」
「えーと、・・・伸び悩ミドル」
「やめとけ。マイナスっぽいやつ。言霊ってあるから。不本意でもそれに近づいちゃうぞ」
「すまん」
「前向きだったり、目指したいものがいいよ」
「うーん、ないなぁ」
「〇〇さんといえば□□、というものがあると上に覚えてもらえる説」
「あーなるほど。代名詞」
「組織なら社訓とかになるのかもね」
「あー朝礼で言うってやつ?」
「言うことで染み付いていく部分はあるんだろうね。やり方に問題ありだけど。」
「一 至誠に悖るなかりしか」
「リコカツ!」
「仁に過ぎれば弱くなる、ってのもあるよ」
「モネおかえり!」
「・・・」
「にしても何代も社長が変わっても言われるってすごいなー、魂は残していく、続いていく」
「キングカズ!」

◾️ハッシュタグ

#小倉イズム

#ヤマト正伝

#ヤマトは我なり

#サービスが先 、利益は後

#宅急便というイノベーション

#今あるサービスは当たり前のようだがなかったらと考えると

#受け継がれていくもの

#変えるべきものと変えてはいけないもの

#現場を守る

#物流 、宅配の増加

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