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#36 麒麟が来る〜! 【書評】麒麟児

◾️はじめに

5週目はなんでもあり。小説です。
歴史物。物語が多い幕末。ネタバレあり。
大政奉還後の鳥羽伏見の戦いを経て、いよいよ江戸へ来る官軍。
江戸城無血解放のあたりのお話です。大河ドラマとは関係なし。

◾️概要

江戸城無血解放のため、奔走する勝と西郷。
お互い敵対する組織に属しながらこの国の未来のために、との思いで必死に。
交渉が決裂すれば戦火が起こり、民は疲弊し、国は乗っ取られる。
それを防ぐことができるのかー。

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◾️感想

主君との関係(勝は幕府、西郷は藩)、相手との交渉(手紙はあるが基本対面)、時代を読む(日本を狙う外国の意図)ということ。
創り上げたい未来がある幕末の志士は凄い。
それぞれの信念に沿った”国のために”が彼らを突き動かしている。
ドラッカーの石切工の話
https://aoi-management.co.jp/article-11/
ってことだね。


◾️要約(詳細)

◆序章  焼却の策
迫る官軍。この国の内戦に終止符を打たねば、全て諸外国に乗っ取られると勝は考えた。
諸藩が一致団結し、対等に外国と渡り合うしかない。
官軍と話すための秘策は江戸を焼き払うこと。空っ風が吹く東京はすぐに火の手が回るぜ。(勝)

◆第1章  使者二人
山岡鉄太郎、益満休之助と勝の対面。この二人を西郷に遣わすことに。
勝と西郷は一度しか会ってないものの、思想を問わず人脈に重きを置くとともに、間者を使うこと、人を遣わすことに長けているという点で通じ合うところが多かった。
国を二分するいくさが起ころうとしているこの時、ギリギリの危機下で敵対する軍の総責任者が間接的に意思疎通を図る。

◆第2章  走馬灯の如く 
山岡と益満が大役を果たして帰ってきた。
二人力を合わせ敵の大将へいき、しっかり大役を果たした。これからは勝が幕府側をまとめ交渉を行う。
気持ちを新たに、1日交渉を延ばすことを言いに。
殺意の中、交渉に向かい1日伸ばしてもらうことを許可してもらう。

◆第3章  降伏条件
幕府側、大久保がまとめてきた案は条件ではなく嘆願書だった。
どこまで通せるか。朝、薩摩亭へ。
軍艦以外は良いとのこと。

◆第4章  強行談判 
条件を飲む側の幕府側が勝の交渉により、条件を言う側になっている。
江戸城を受け渡すが、明日の総攻撃はやめろ、と命を賭して懇願、そしてそれを通させた。
朝から夕刻まで交渉。達成感とこれからだという思い。

◆第5章  御役御免
様々な方面と交渉しつつ、寛大な処置を得る。
実に一滴の血も流れず開城となった。
これで城と自分(勝)はお役御免。

◆第6章  戦火勃発
結局西郷と勝がどうにかしないといけない状況だった。
あれも守り、これも守るという矛盾した自己を引きずりながらこの国を正しく未来へ。
しかし彰義隊の闘争によりその思いははかなく裏切られる。
勝は戦をさけるため邁進するも敵わなかった。

◆終章  留魂の碑 
朝に主君の恩遇を受ければ、夕には弾圧される。
そのような人生の浮き沈みは昼夜の繰り返しのようなものだ。
向日葵はたとえ光が当たらなくとも太陽の方を向くように、たとえ運が開かずとも、意は誠を推すべきだろう。
西郷は南の地で果てた。さよなら。やること増えたぜ。あなたの汚名を晴らすという。


◾️読みやすさ


★★

◾️ハッシュタグ


#冲方丁

#麒麟児


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