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ハンチバック_20230830

恒例の芥川賞受賞作シリーズ(?)
毎回、作品の本質を理解できない自分の文学的素養のなさを痛感しながら読んでおります・・・

今回の受賞作は「ハンチバック」。
この作品のあらすじや考察的なものは、ネット上にいやというほど溢れているので割愛して、率直な感想おば。

本作の作者である市川沙央氏は、ニュースなどでご存じのとおり、本作の主人公と同様に難病の先天性ミオパチーを患う重度障害者であり、この小説を私小説ととらえる側面もあるようですが、ご本人が重なるのは30%くらいとインタビューで答えていますし、もちろん当事者だからこその表現が多いのは当然なのですが、健常者の特権に対するこれでもかというくらい強烈な皮肉の言葉を読むと、私小説なんて甘っちょろいものではなく、健常者の障碍者に対する安易な同情や間違った認識をズタズタに引き裂くことが目的なんじゃないかなと思いました。

のっけから風俗ライター記事がこれでもかと押し寄せてきて面食らい、その後も主人公の圧倒的にギザギザした言葉の数々がグサグサ刺さってきて、結構HPを削られた気がします。
でもって、最終章で旧約聖書の一節が突然出てきて、さらに主人公の妄想の世界なのか風俗嬢の接客場面が出てきて終わりますが、選考委員も含めてこのあたりの評価が分かれるようです。
僕自身はこのくだりで頭混乱して、読み終わった後に「???」が多発しました。
何回か読み直すと、いろいろな考察している方々のように解釈できるのかもしれませんが、残されたHPを考えるとチャレンジするのは憚れ、そっと本を閉じるのでしたー

てなわけで、あっという間に読み切れる作品ですが、読後のHP削られ具合はハンパないので、覚悟持って読むことをお勧めします。

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