SS 甘い恋人【アーモンド&バズる&数独】三題話枠
「マルチグレインパンよ」
アーモンドの臭いがする、彼女はお菓子作りが楽しいのか、やたらと俺に試食させる。太ってきた。なんか虫さされなのか肌が痒い、腕をこすってると彼女がアーモンドケーキを切り分ける。
「はい、あーんして」
「自分で食べるよ」
数独のパズルを置いて自分で食べる。最近は専用の数独端末があるので無限にできるので重宝している。ケーキを食べながら甘みと苦味のバランスがいいのか口の中で香りが広がる。鼻に甘くアーモンド臭が残る。
「おいしいよ」
「ありがとう」
嬉しそうな彼女はSNSでバズった俺が好きらしい。俺は数独のリアルタイムアタックを自慢げにSNSに出していた。解法が特殊らしく人気は出てバズる、でもそんな事で賞金を貰えるとは思わなかった。
「あなたの記事が選ばれました」
パズル主催者側のイベントで選ばれると賞金が出る。数千万単位だ。税金を引いてもそれなりに残る。俺は有頂天で幸せ一杯の上に、SNSからのメールで彼女と知り合う。
「私も数独が好きなの」
確かに彼女も素早く解けている。意気投合して恋人になる。
「今日はアーモンドバターのサンドイッチよ」
ピーナッツバターの代わりのジャムとバナナとアーモンドバターをはさんでトーストする。ジャムの甘みとアーモンドの苦みがマッチする。俺はいきなり呼吸困難で倒れた。
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「ナッツアレルギーですね、昔からですか? 」
医者からは後天的にアレルギーになる場合もあると説明された。俺はアーモンドを食べ過ぎた。
「ごめんなさい」
「仕方が無いよ、偶然だし」
泣き顔の彼女を俺は慰める、俺は退院するとアーモンド断ちをして生活するが、我慢できない。彼女のケーキが食べたい、俺は少量だけなら平気だと説得すると、彼女にアーモンドケーキを作ってもらう。
「本当に一口よ! 」
「判ってる」
一口食べると美味い、最高だ、俺の心臓が異常状態で早鐘を打つように……
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「それで頼まれた作ったんですね? 」
「どうしてもって言われて」
警察に事情を説明する、不可抗力で事件にはならない。でも私は密かにアンズの種子を用意していた、致死量には足りないがアーモンドアレルギーとの相乗効果だ。杏の種は、シアン化物を発生する時もある、ケーキに混ぜて食べさせた。私は彼の遺産と死亡保険金の……
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