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青の洞窟:頼み事【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(17/50)

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第四章 青の洞窟
第二話 頼み事

あらすじ

 魔女のミナリアは洞窟に居た黒髪の少女レオノーアに出会う、ミナリアは封印を解く仕事をまかされて【赤の洞窟】の攻略を成功させた、ほこらの宝石をルビーをカットして報酬として手に入れる。

「剣士さんを諦めさせるんですか? 」

 私はギルドの案内人のマリアからの奇妙な頼み事に驚く、今までは簡単な手紙を配達する仕事ばかりで楽だけど、お昼を食べると無くなるような、お小遣い程度の依頼しか受けていない。今回はその十倍のお値段だ。そして【青の洞窟】の近くの場所だ。私は成功しなくても代金は貰えますという責任感があるような、無いような仕事をギルドから受ける。

「変な依頼ね、楽そうでいいんじゃないの? 」

 私にしか見えないレオノーラが霊体の状態で一緒に歩きながら、つぶやく、私は黙ってうなずく、さすがに道の真ん中で独り言で会話していたら怖い娘と思われしまう。

「ミナリア、ギルドから仕事を貰ったのか? 」

 後ろから声をかけられる、オスカーは背の高い黒髪の銃使いで無表情のまま私に近づく、ちょっと怖いけど信頼している相手だ。赤の洞窟で私を助けてくれた。彼は私が渡したルビーを受け取ると次も連れて行ってくれと頼まれている。高額な報酬を貰えると期待しているようだ。

「はい、簡単なお仕事を受けました、近くに洞窟もあります」
「かまわんよ、俺も儲かる」

 無表情で言われる。顔から喜怒哀楽が判らないので内面を想像できないけど、悪意は無さそうに見えた。私は出発の日を決めるとオスカーに手をふって別れる。

「無愛想な男ね」

 レオノーラは銃使いを好きでは無いみたい。もっとも彼女は大体の人間が嫌いに見えた。

「レオノーラは…………あの水晶から解放されたらどうするの? 」

 小声で聞いてみる。レオノーラは正面を向いたまま黙っている。確か過去に戻れると彼女は話をしていた、元の世界で幸せに暮らしたいのかな?と想像する、たった一人で青い骸骨と暮らす毎日、そう考えると涙が出てきた。心細い生活で胸が痛くなる。

「何を泣いているの!? 」

 彼女は驚いた様子で大声を出した、私は道を歩きながら涙を流していた。頭を横にふる、ただただ彼女がかわいそうに思う。速く彼女を助けてあげよう。私は泣きながら宿屋に戻ると、カウンターに居た宿屋の主人が驚いている。その日の夕食は何故か豪華だった。

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「どうした、目が赤いぞ」

 銃使いのオスカーは私の顔を見ながら心配している、もっとも顔は無表情なので、私を心配しているのか? と言われると確信は無い。それでも私は彼の顔を見てニッコリと笑う。

「なんでもありません、いきましょう」

 青の洞窟の冒険へ出発だ。私は転送ゲートに向かって元気に歩き出す。


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