SS 今のは何のCMだったんだろう。#ストーリーの種

「今のは何のCMだったんだろう。」
　当たり前のように動画を見ていると、広告が入る。素人の動画だ、編集の間違いに感じた。なぜか自分はＣＭと解釈していた。薄暗い朝日の中で未成年の少女が海を見ている。

　それから少女を幻視する、地下街の電子広告に映っている場合もある。映像を見ているとちらりと現れて消える。自分は不安定な精神状態のための錯覚と解釈をした。自分が狂っているとは考えたくない。

「勉強疲れかな………」
　もちろんそんな事があるわけもない、そして彼女は夢にも現れた。

「私を見えるのね、それなら用意して、世界の破滅が来る……」
　真剣な彼女は俺に避難をすすめる、山奥に隠れれば助かると忠告される。目が覚めると予知やオカルト染みた話に憂鬱になる。こんな非現実な事を深層意識で求めている自分に幻滅した。

「俺は現実主義者な筈なんだが、医者に行くかな……」
　医者から軽い薬を貰う、ストレスだと言われた。確かに薬を貰うと幻視は消える。頭が疲れてたんだなと、動画も見なくなる。

『今朝のニュースです。○○県で集団自殺が発生しました』
　モバイル端末でニュースが流れた、その場所は夢の彼女が避難しろと教えてくれた場所だ。自殺と言うが、現場では集まった人間同士が殺し合いをしていた、とネット掲示板に書かれている。

「俺も行っていたら死んでたのか………」
　しばらくして、某国の低空軌道衛星からのクラッキング事件が発覚する。衛星軌道からのネット侵入だ。より低空を回る衛星ネット通信網を構築して敵国の人間を自滅させる。少女の言葉に騙されて、信じた人達は動画の暗示に刷り込みをされていた。

「新しい戦争の形態か」
　他国を侵略する方法は多様化していた………