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死と記憶の無い少女、黒い家の惨劇(59/60)

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第十章 幸せな私
第五話 長女の事件の真相

あらすじ
 児童養護施設じどうようごしせつから親戚に引き取られた櫻井彩音さくらいあやねは、連続殺人に巻き込まれる、黒い家と噂される榊原さかきばらの家族の生き残りは……


 加藤翔子かとうしょうこ刑事は話が終わってとほっとした感じで、事件の解決を喜んでいた。玄関まで見送りキッチンでお茶を飲もうと戻る時に……

 二階で重い音がした。ガッタンと大きな音がすると私はとても嫌な気分になる。急いで私は二階にあがろうとすると、階段の入り口で伊藤愛美いとうあいみが、ぶらさがっていた。階段の手すりに首つりのひもが結ばれている、自殺だ。私は呆然ぼうぜんとしたまま何も考えられない。いつ家を出たのかも判らない、ふらふらと道路に出ると刑事の名前を叫ぶ。私の絶叫する声で近隣の住人が出てきた。

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「もう平気か?」
 小林俊介こばやししゅんすけ刑事と加藤翔子かとうしょうこ刑事が私を見ている。私は黒い家の自室で横たわっていた。記憶は欠落して何も覚えていなかった。刑事は私の叫び声で、黒い家に急いで戻った。

「入院の手続きはしたわ、主治医の斎藤輝政さいとうてるまさ先生のところで休みましょう」

 精神が限界だった、私は何もできないし何も考えられない。黒い家に関係した人たちが死んでいく、狂っていく。私は何かの罰を与えられただろうか?

 眠れば夢を見る、お風呂で体を洗っていると父親が入ってくる。私の体を素手で触っていた、それが榊原昭彦さかきばらあきひこになったり、長男の光男みつおになったり、斎藤輝政さいとうてるまさになる。夢の中で私は彼らに、さわられながら嫌がりもせずに黙って体を洗う。

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「調子はどう?」
 閉鎖病棟に入院してから数週間すると加藤翔子かとうしょうこ刑事が見舞いに来る。静かな面会室で私は安らかな気持ちで過ごしていた。

斎藤さいとう先生から許可はもらったの、事件は終わりよ。」
「事件? 長女の佳奈子かなこさんは自殺じゃ……」
佳奈子かなこさんを殺したのは、伊藤愛美いとうあいみさんよ」

 クラスメイトは、嫉妬から佳奈子かなこを殺した。実の姉を殺してしまった。彼女は私たちの話を立ち聞きしたらしい。遺書が残っていた。佳奈子かなこが居なくなれば、大好きな宮田健太みやたけんたが自分の恋人になる。この騒動だから、殺人が起きても判らない。少女は自分の犯罪行為を正当化させて黒い家に居る悪い少女を殺した。

 自殺は衝動的だ、深く考えずに起きてしまう。真相を知った伊藤愛美いとうあいみは、死を選んだ。

 思いだしてみる、私と伊藤愛美いとうあいみが、お札を貼っている最中に家の内部を見て回っていた。計画的だった、祖母の八代やよの部屋を進入口にする。そこは盲点で誰も出入りしなかった、庭に出る窓側の鍵を開けて、後は忍び込んで果物ナイフで姉の喉を刺した。

伊藤照子いとうてるこは、娘には真実を話していなかったみたい」
 かわいそうな同級生、私は彼女の顔を思いだそうとしたが、記憶から薄れていた。

#ミステリー小説
#推理小説
#黒い家の惨劇


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