見出し画像

SS 白骨化スマホ #毎週ショートショートnoteの応募用

 病室は薄暗く祖父は死ぬと思う。

「ちょっと見てて」
「うん」

 母が病室を出て行く、私はスマホをいじりながら気のない返事をする。祖父は昔は反社だったと聞いた。私は、この人を知らない。

「今もそんな根付ねつけがあるのか」

 四人部屋で、たまにせきが聞こえるくらい無音だった。いきなり祖父に声をかけられて、心臓が飛び上がる。

「なに、お……おじいちゃん」
「それだよ」
「スマホのアクセサリー?」
「骨なのか」
「そう骨みたい」

 スマホのストライプに白骨化スマホが、ぶら下がっている。思春期がスキそうなキュートで不気味なアクセ。

「お前に、これを……やるよ」
「この丸いのは……髑髏がいこつ?」

 小さな栗くらいの頭蓋骨をもらう。薄汚れているが不気味な重さを感じた。

「お守りだ、俺はそれで何回も助かった……」

 すっと息を吸って、それっきりだ。祖父は死んだ。

xxx

「変なアクセだね」
「私の大事なお守り」

 頭蓋骨は私の事をたまに噛む、血が出る時もある。危険な男を検知できる。だから危ない男には近づかない。彼は平気そう……

根付は江戸時代からあるアクセサリー

#毎週ショートショートnote
#怪談
#白骨化スマホ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?