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SS 難題
「ファンタジー・ミステリーの青春ロマンスで感動できる話……」
応募内容を見てためいきが出た。
「これは昔のファンタジー小説みたいなものかしら?」
鼻と口の間に鉛筆を、はさんでフンフンする。ミステリー要素だと、江戸川乱歩の少年探偵団みたいな感じ? 怪人が深窓の令嬢を狙うが、小林少年が阻止するみたいな作品かな?
「それ設定が古い……」
昭和ロマンみたいなものが受けるとは思えない。八十年代はSFファンタジー全盛期で、宇宙皇子やグイン・サーガとか流行っていた。でも青春ロマンスとは、ほど遠いように思える。
「青春でミステリーでファンタジー」
スレイヤーズは青春ではない。あれは主人公が俺ツェーしている感じだ。魔術士オーフェンも違う。もうちょっと新しくなると灼眼のシャナとかは、青春だと思う。ただあれはバトル中心だ。
「ファンタジーってどこまでファンタジーにすればいいのかな」
日常系に近いならば「涼宮ハルヒの憂鬱」が、一番近いかもしれない。謎の少女は実は神を内包している超人だが、本人の無意識下でしか活動していない。
「ハルヒは、登場キャラも魅力的に描いてあって意外性があって面白かったわ」
さっそく鉛筆でプロットを作りはじめる。
『少女は転校してきた少年を見つめる。ややうつむいた少年は、意思が強そうにも孤独そうにも見えた。少女は自分の弱さを少年に向ける。私はこの人が好きになる事で彼も私も救える筈だ。その傲慢さに気がつくと少女は嫌悪感からシャーペンでガリガリとノートにいたずらがきをしていると、ふと視線に気がついた。少年がこちらを凝視していた。「なるほど、この世界に来て正解だ、俺はお前を殺しに来た」敵意をむき出しにする少年に私は体の中が熱くなり彼に抱かれたく……』
「なんやこのエロ小説は!」
べりべりとプロットを破りすてる、今度は配役をBLにして妄想しながらニヤニヤ笑いを浮かべて徹夜する少女だった。
※お題があって助かりました!
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