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SS 猫提灯【創作民話】

「よく見えない……灯りが欲しい」
歳で猫の目がよく見えない。猫はロウソクを買いに外にでる。外はまっくらだ、これなら提灯でも持ってくれば良かったと後悔をする。猫なのに夜に弱いのは本当に困る。ネズミも捕まえられない。

「ちゅーちゅー 旦那さん ロウソクありますよ」
ネズミの行商人だ。ネズミから買うのは忌々しいが我慢する。
「いくらだい」
「ヒゲでいいですよ」

猫提灯003

ヒゲなんて何に使うか知らないが引っこ抜くと一本だけ手渡す。
「毎度」
猫はロウソクを買うと家に戻って火をつけようとするがマッチがない。がっかりしながら外に出るとさっきの場所にネズミが居る。

「ちゅーちゅー 旦那さん マッチありますよ」
あるなら最初から売れと思うが、またヒゲを渡してマッチも買う。でも湿気ってるのか一箱を使い切る。
「ネズミめ こらしめてやる」
外に出て同じ場所に行くとネズミが居る

猫提灯005

「ちゅーちゅー 旦那さん ライターありますよ」
「マッチが湿気ってたぞ」
「ちゅーちゅー 旦那さんの家が湿気ってたんですよ」
屁理屈を言うネズミに文句を言ってもキリが無い。腹が立つが今は灯りが必要だ、灯りさえあればこいつを食ってやる。ヒゲを渡してライターを買う。

ロウソクに火をつけると。なんか暗い。すぐに溶けて倒れてしまった。ネズミのロウソクは不良品だ。
「ネズミめ、ゆるさん」

外に出るとネズミは提灯に火を入れている。猫のヒゲを使って火を入れて、とても明るい。猫は喜んで飛びかかるとネズミはさっと避ける。猫は提灯にぶつかると表面に張り付いた。

「うん 出来がいいな猫提灯」
ネズミはそれを売りに行く。

終わり。

猫提灯002


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