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SS 穴の中の動物園 #爪毛の挑戦状

「動物園に行かない?」

倦怠期の僕たちは刺激に飢えていた。動物園の提案に応じる。ペンギンを見るのかなと思う。土曜日になると彼女は夜に動物園に行きたいと言う。

「開園しているの?」

彼女は夜の動物を見るためのイベントの話をした。夜行性の動物を見られる。昼間は寝ている動物は夜の展示では活発に動いていた。僕と彼女は喜ぶ。

動物を見ていると一人の女が近づく。神秘的に見える彼女は僕たちに提案する。

「穴の中の動物園に行きませんか?」

「穴?」

何かのイベントがある?僕は興味があるが彼女は僕を引っ張ると移動した。彼女は睨んでいる。嫉妬されているのが嬉しい。

結局は彼女とは長く続かない。別れると僕は夜の動物園に参加する。予想した通りに神秘的な女性が近づく。

「穴の中の動物園は楽しいですよ」

僕は彼女が好きになる。僕は約束の日に待ち合わせをした。彼女の指定した場所は、埼玉県の古墳だ。意外な場所に驚く。彼女は古墳の中を見られると言う。LEDの懐中電灯を使い石棺のある場所に入ると、外に出た。

「ん?ここはどこ?」

やけに古びた家屋がある。古びているどころじゃない。丸太で組まれている。高床式の建物もある。僕の両側に人が近寄ると古い甲冑を着た男性二人が僕を捕らえた。

「この穴が動物園です……」

囚われたまま僕は建物に入ると、中央に大きな穴がある。穴の周囲は石組みで頑丈だ。そして穴の中に様々な男が上を見上げる。着物姿もあれば半裸の男も居る。武士や兵隊もいる。

「穴の中で争ってください、強い男を夫とします」

蠱毒だ。争いの中で強い男を見つけたい。彼女は日本を強くするために、時を超えて男を集めていた。僕は日本の為に穴に降ろされた………

終わり


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