見出し画像

SS 占い師マイカの毎日:誘惑【ワールドザワールド】

設定 前話 次話

あらすじ
女神の見習いのヒサギが悪魔に取り憑かれた。ほこらの中にある万魔殿パンデモニウムは日本の東京の街が広がっていた。ヒサギは自分の力で作り上げた東京の中の人達を大事にしたいと伝えた。【正義】のカードが突如出現すると同時に悪魔へ敵意を向ける。

「断罪の剣を受けよ」
悪魔にいきなり剣を振り下ろした。部屋が爆散する。アパートが吹っ飛ぶ。私は自然に結界を作り上げていた。半球状の白いドームが世界を覆う。中に居る限りはカードも愛娘 アイニャンも本来の力を得る。

「馬鹿の一つ覚えのように正義の説教をしやがる」
悪魔は薄ら笑いを浮かべている。本来の力を得た悪魔は世界全体を混乱させる。

ヒサギ来い」
悪魔は娘として利用している女神候補のヒサギを操る。少女のヒサギが黒く変色すると奇怪な翼を生やした大きな女神になる。恐ろしげな姿は、悪魔そのものだ。

【コレクター】がつぶやく
ヒサギ様はまだ愚かさから抜け出していません…」

悪魔に囚われたヒサギは自分で正しい判断を出来ない。そして東京の人達を人質にされている。

私は選択を迫られる。ヒサギを残してこの世界を脱して、万魔殿パンデモニウムを封印する。そして大樹の女神に助けを求める。最善の策に思えた。

黒く変色した女神候補を見る。女神候補のヒサギは泣いていた。苦しんでいる。私はヒサギを助けるために行動した。白い半球状の結界が私中心に展開をしている。自分の力なのに制御できていない。悪魔は結界の中で本来の力を取り戻していた。

「裏切り堕落させ束縛して誘惑しながら憎悪を埋め込む。憎しみ、恨み、憤怒、破滅の全てが俺の力だ」

悪魔は笑う。この世界の最大で最悪の力。負の全ての力を利用できる。ヒサギは彼に影響を受けている。

「無音の神呪文が来るよ」
愛娘 アイニャンが叫ぶ。ヒサギの力だ。本来の義憤ネメシスの女神の力を私達に使う。私は反射的に自分のカードを引いた。

「大樹のカード!」
世界を守護する力、大樹により多元世界が安定している。限りなく絶対の守りの力。悪意を粉砕して敵の攻撃を無効化する。カードが砕け散る。私は後方に吹き飛ばされた。ライオンが私を抱えて守る。

「イテテテ、なんつう力だ。マイカ、俺たちを使え」
ライオンが叫ぶ。タロットカードを使い悪魔化した義憤ネメシスの女神、ヒサギの力を抑える必要がある。私は鞄から全てのタロットカードを取り出すと一枚引き抜いた。

「運命の輪!」
これは賭けだ、逆位置で出れば最悪の結果になる。車輪が出現する。
「幸運の到来、絶対の解決、チャンスです」

私はライオンを見る。【力者】とライオンは同時にうなずいた。
「私は潜在能力の引き出す、力と勇気を彼女に!」

愛娘 アイニャンに向けてカードの力が集約する。
剛力将来ごうりきしょうらい
怒号と共に彼女の姿が巨大な獣に変化する。黄金の尾を持つ彼女は巨大なキツネだ。ヒサギに突っ込んだ。

「もうやめなさい!」
巨大な前足でビンタする。彼女は人形のように吹き飛んだ。本来は女神だ。防御魔法を使える筈だが、悪魔の洗脳で騙されているだけのヒサギは無抵抗で殴られた。女神の姿から少女の姿に変化する。倒れているヒサギを見ながら悪魔は悪態をついた。

「なんだよ、使えない女だな、こんなもんなのか」
【コレクター】がそれに答える。
ヒサギは、この世界を維持している。その上で力を使えるわけがない」
なにか傲慢な響きがする。嫌な予感がした。悪魔も嫌な顔をする。【正義】が悪魔を睨んでいる。ライオンも愛娘 アイニャンも私も悪魔を憎む。暗い感情が芽生える。何が悪いのか?元は別世界から来た男の責任だ。タロットカードを落とした奴だ。

「悪魔のカードが最強か…」
【コレクター】が邪悪な顔をする。彼は薄ら笑いをすると悪魔に手を伸ばしカードに変化させる。一枚のタロットカード。悪意と怠惰と愚鈍を象徴する最強のカード。

「お前達は、用済みだ。」
【コレクター】が他世界から取得した大量のカードが展開する。

「私はカードの力を試していた、タロットの最強のカードは悪魔だ。この力を手に入れて、また別の世界に移動する」
【コレクター】の後ろの空間が黒く穴が空くように出口を作る。

続く


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?