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SS ママはロボット 【ウィルス&メタリック&専業主婦】三題話枠

 ウィルスにより人口がかなり減った時代に俺は生まれた、女性は少なくなり男達は家事に苦しむ、しかし科学の勝利だ、家事ロボットが作られる。朝日が心地よい、ベッドから起きると丸いドラム缶みたいな金属製のロボットが進んでくる。
「太郎さん、おはようございます」

 メタリックで旧世代のロボットを愛用している。初代のバージョンなので贅沢に作られているのか、壊れない。相当高額なので捨てられないが本音だ。今は、もっと安く外装がやわらかい素材で出来たロボットが人気で安い。金属ロボットの欠点は倒れると人や家具を巻き添いにして破壊する所だ。軽量でやわらかいと怪我も無い。

「ロボママ、おはよう、今日の弁当のおかずは何? 」
「ハンバーグです、冷凍です」
 俺は冷凍でもハンバーグは大好きだ。弁当を受け取り学校に行く。人ママの方は仕事で忙しい、今の社会に専業主婦はいない。家事は全てロボットがしてくれる。

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 俺は社会人になると家事ロボットを購入した。これで掃除洗濯も食事も万全だ。一人暮らしは食生活が偏る、ロボットの方が健康にやさしい。しかし金属製は販売していないので、今風のやわらかロボット。

「ロボママ、今日の弁当はなんだい? 」
「豆腐ハンバーグとコオロギの佃煮です」
 苦笑いをしながら弁当を受け取る。俺はこれで十分に幸せに感じていた。それでも家族を作らないと人口が減る、政府は「やすらぎの日」を定めて、男女間の『性交を推進する』計画を立てた。

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「始めまして太郎です」
「花子です」
 ちょっと冷たい雰囲気のある彼女は政府がAI診断で選んだパートーナー。義務としてSEXをする、子供が出来た場合の養育費は全て国が金を出す。子供が独り立ちするまでは、母親にも公的支援がある。

 しばらくの間は共同生活をしながら、その気になるまで暮らす事になる。俺は彼女の部屋で生活する方を選んだ。その気にならない場合は自動的に別の女性と暮らす事になる。もちろん暴力などで無理にSEXは出来ない、訴えられて刑務所に入る事になる。

「ロボママ!」

 丸いドラム缶みたいなロボットが家事している。まだ動作しているのがあると驚くと、花子さんが嬉しそうに、リストアしたロボットの話をしてくれる。彼女もロボママが好きだった。中古製品を探し出して修理して使っていた。その日はロボママの話題で盛り上がった。

「太郎さん………」
 意気投合したのはロボママのお陰かもしれない、俺たちは子供を作る事を望んだ。俺はロボママも人ママも大好きだ。彼女と一戦を終えると寝室にドラム缶ロボットが入ってくる。

「太郎さん、長時間のセックスは女性に負担です」
 ずるずると別室に引きずられた……彼女のロボママなので、俺には優しくない。


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