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洞窟の主:約束する娘【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(05/50)

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第一章 洞窟の主
第五話 約束する娘

 あらすじ
 魔女のミナリアは継母から働けと言われて、ギルドに入る。簡単な仕事の筈がゴブリンに襲われてなんとか撃退した。道に迷うミナリアは洞窟の中に入ると、黒髪の少女レオノーアの出会う、ミナリアは封印を解く事に決めた。

 魔女のミナリアは、洞窟の主のレオノーアがイライラしているのは判る。継母が私を見る時の感じ。同い年に見えるのに彼女は私より遙かに年上に感じた。百年も生きていれば落ち着き具合が段違いで貫禄がある。

 レオノーアからの殺気も伝わると洞窟の主は私を殺すのをためらわないと思える。宝石が満杯の洞窟だ、これが外に広まれば大騒ぎになる。私は必死に床を見つめて解決策を考えた。今は素直に約束しよう。外に出れば解決策もある。その時にとても強い殺気を感じる。危ない。

「あ、あの床の傷が気になります」

 内心はどきどきだ。私は彼女から挑戦を受ける事にした。洞窟の主のレオノーアは満足したように指輪を見せる。七色に輝く不思議な指輪だ。

「特別な指輪よ、これを使い封印の洞窟に入って破壊して」

 簡単そうに見えた、そして指輪はとても美しくうっとりと見つめる。レオノーアが私の左手をやさしく包む。そして薬指にゆっくりとはめる。まるで結婚指輪のようで恥ずかしい。彼女の顔を見るとなんかコワイ。

「契約の名の下に力を与える」

 彼女が魔法を唱えるとぶかぶかの指輪がきゅっと閉まる。ちょっと痛い。いやかなり痛い

「イタタタタタ!、あのとても痛いです」

私は左手を見ると指輪は……指に食い込んでいた。いや融合していた。取れないのは見ても判る。

「取れないわ、売らないための予防よ、あとそれを他人に見せないで、手を切り落とされて盗まれるから」

 彼女は私の指を触りながら確認をする、私を逃がさないための契約。裏切らないための契約。確かに合理的だ。ただ指は痛い。私が痛そうにしているとレオノーアから、すぐに痛みは消える、手袋で隠しときなさいと教えられる。

 レオノーアは椅子に座ると私に【赤の洞窟】を目指すように命令する。私一人で大丈夫なのかな?不安そうな私に彼女はニコニコしながら指輪の力を信じなさいつぶやく。レオノーアはお茶を飲み終わると立ち上がり私の額に触れた。

「目をつむって」

 目を一瞬だけ閉じて開けると洞窟の中に居る。元の体だ、指輪を確認すると見事に指と一体化していた。キラキラ光る指輪の宝石は強力な力があるのが判る。

「封印を解けば指輪の力が上がるわ」

霊体のレオノーアは洞窟の外を指さした、私は洞窟の中を外に向かって歩き出す。ふりむくともう霊体のレオノーアは居なかった。外に出れば、深夜の森。街の方向すら判らない。怖くなり戻ろうと後ろを向くと霊体のレオノーアが居る。

「え?外に出られるんですか?」
「その指輪に近くだけね、それにあなた以外には私は見えない」

 まるで幽霊みたいに私と一緒に居てくれる。大きな安心感を得られる。一人なら心細いが、誰かと居ると嬉しい。レオノーアの指さす方向を目指す。彼女は街の位置が判る。

 しばらく歩くとまたゴブリンだ、私は貰ったばかりの指輪を使う。

「業火追撃」

 腕が自然に動く、頭上で一回転をするとゴブリンごと周囲が光る。白熱の光は熱さを超えて痛みすら感じた。周囲が大きく焼き払われるのを呆然とみている自分を感じる。私は何の力を得たのか……


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