狻猊(さんげい)様(08/15) 【幸蔵の旅】
あらすじ:姉を人質にされて幸蔵が捕まる
土蜘蛛は幸蔵の体を糸でぐるぐる巻きにして引きずりながら山を下りる。妖怪達は人が増えすぎたのが心配になっていた。徐々に自分たちの領域を浸食している。このままでは、いつか自分たちが住む世界が無くなると人間に恐怖した。
「狻猊様に頼もう」
島国が形成される前から地下深くで生きていた妖怪は、マグマの中に住んでいた。ドロドロの体を灼熱の池の中で世界を見る。
「塵芥のような生き物を恐れるのか?」
「ゴミでも多ければ邪魔になります」
狻猊は、みなに力を与えると約束する。自分のマグマの熱を妖怪に与える。原初のマグマは世界に生物が生まれた時から存在する。熱があるから生物は生きられた。
人外の力を持つ妖怪達すら、与えられた大きな力に震えた。これで人間を殺せる。土蜘蛛も同じだ、元は人を一人襲えるくらいの力しかないが、今では天狗の力を持つ子供を捕らえられる。
「天狗も妖怪なのに、なぜ邪魔をする?」
「妖怪も人もない、姉ちゃんを返せ!」
土蜘蛛が不思議そうに幸蔵を見ている、幸蔵はただ姉を助けたいだけだ。幸蔵は天狗の木の上で修行で文字の読み書きはできるが人生の経験が無い、妖怪達を説得するような理屈を語れない。
「お前の姉はもう半妖だ、狻猊様に、人外にしてもらえ」
土蜘蛛は、幸蔵も狻猊から力を与えられれば、人を超えると説得する。その上で姉と一緒に暮らせば良い。
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