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短歌 令和版百人一首 恋の巻【春の部】参加作品
春の花
まだ見ぬ彼と
むすばれよ
花をまといて
十六娘
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「おかあさん、いってきます」
「どこいくの」
「おまいりよ」
「車に気をつけてね」
新しい着物は、花を散らして美しい。
誰かに見せたくて仕方ない。
玄関からでるとコンビニ帰りのツトム君
「なんだ、ナオミ」
「なに買ってきたの」
「弁当、弁当だよ」
彼の前でくるりと回る。ちらりと見るツトムは
不思議そうな顔をした。
「女の子っぽいな」
「ぽいって何!」
これからお参り、怒っちゃだめ。ニコニコして
見せると彼は一言
「きれいだな」
顔が赤くなりそうで我慢できない。
頭の中でツトムの言葉を繰り返しながら
歩き出す。後ろで何か言っていた。
「着物だよ、キ・モ・ノ」
照れたようなツトムの声がした。
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