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SS 俺が神になれた理由

「俺は神だ」

 指でくるくるとハンドスピナーを回すがアマゾンで買った銀色の丸い磁石だ。丹念にまわしていると退屈しないが、こんなものでも1000円はするから、本当にアイデア勝負なんだと思う。

「それで神って何?」

 眼の前にいるのは幼馴染でイトコだが、男になりたいからと性転換手術を考えているボブカットの少女で丸い目を大きくしながらまつ毛をパチパチさせている。

「全知全能かな?」
「なんでもできるんだ」
「嘘ぴょーん!」
「それはいいから神って何」

 ギャグを入れて笑わせようとしたが彼女は真面目な顔で問い詰めるのは昔からの癖なのだろうと思うが、なにしろイトコといいながらも血がつながっていないというややこしい関係だ。

「神は神だよ、神と認識することが大事」
「つまりよくある、俺は神様だから金くれみたいな?」
「うーんちょっと違うかな、神は認識なので実利とはむすびつかない」
「じゃあ、証明はできないのね」

 ちょっと残念そうな彼女はきっと自分を男にしてくれとかそんな願いを考えているのは丸わかりだが、俺はそんなことはしたくないので黙っている。

「それでどうやって神になったの」
「それは神になったとわかったからだよ」
「それは頭は変になったとかじゃなくて?」
「まぁ神が頭が変なら、変なんだろうな」

 神なんてまともじゃないとやってられないのはわかる。なにしろ全知全能だから、なんでもわかるしできる。でもそれはなにもわからないで何もできないと変わらない。なんでもできるならできる状態を考える必要すらない。

「証明もできないし、頭が変なら神である必要はあるの?」
「でも神だから」
「神として認めろと言いたいのね?」
「神だから認められる必要もないよ」

 彼女は退屈そうに上着を脱いで乳房を見せた。

「吸いたい?」
「いや別に」
「神様だと性欲ないの?」
「君は自分を男と思ってるんだから、俺は男の乳房を吸うはめになるからな、性欲とは関係ない」
「男が男の乳房を吸っていいじゃん」
「それは自由だが、神の俺は別に吸いたくなればいつでも吸える」

 つまり俺は神の状態になることでいつでも欲望を実現できるわけだから、吸いたいと思っただけで吸った状態になる。リアルに吸う必要もない。

「神様になった気分は?」
「別に何も変わらないかな、神になったことでなにかしたいとは思わない」
「あんた昔からそうよね、頭がいいから行動した結果が見えちゃう」
「うん、限界が見えるからね」
「神なら限界ないじゃん」
「限界がないからやっても意味ないんだよ」
「世界を救うとか?」
「救っても変わらないよ、どこかの誰かが自分の歪みを認識できずに、何回も同じことを繰り返すだけだ」
「苦痛を受けてる人がかわいそうじゃん」
「どんな人間にも苦痛があるから、ただ開放したところでまた苦痛を味わうだけだ」
「じゃあ人類絶滅の方がいいのね?」
「意味ないよ、たかが100年も生きないのに絶滅させるとか無意味」

 彼女は飽きてきたらしい、乳を見せたまま横になる。まるで襲ってくれと言わんばかりだ。

「やりたいのか?」
「べつにぃ」

 俺は神だ、神の俺は彼女が望んでいることは理解している。俺は背中にある大チャクラを回して世界のことわりを変化させた。それは因果を反転して世界の階梯かいていを降りることで俗世化する。

「ゴムないんだ」
「生でいいよ、子供ができたら子宮ごと捨てるの」

 彼女の手が背中に回る、俺は神だ。子供ができたら神の子供だ、ちゃんと育てて見せる。

#小説
#ファンタジー
#ややこしい人間関係
#キャラの会話で延々と説明
#唐突にコミカル過ぎるキャラの言動
#誰も予想できないトンデモ展開
#ポリコレ


案外むずいですな、複数お題しばり



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