見出し画像

婚約者:素敵なプレゼント【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(23/50)

設定 第一章 第二章 第三章 第四章
前話 次話

第五章 婚約者
第三話 素敵なプレゼント

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む。赤と青の洞窟を攻略したミナリアは次の攻略へ向かう。

「こんなもんかしら? 」
 私は流行りの小物をリストアップした。高額な商品はもとから除外している、高い金を出せば職人から素敵なアクセサリーは作ってもらえる。その手の特注品は普段使いはできない。友達同士で見せ合ったりする程度のプレゼントに絞る。流行りのお芝居で使われたアクセとか、俳優さんの名前入りのハンカチとか、そんな程度で良い。私はまだ現役なので受けそうなものはピックアップできた。

「後は洞窟の話かぁ」
 そう言えば、最近はレオノーアが一緒に居てくれない。街を一通り見たら飽きたらしい。指輪で呼べば来てくれるが封印を順調に解いているので安心しているのかもしれない。

「リスト作りました」
 魔女ギルドのマリアさんに書いたものを渡そうとすると、ギルドカウンターの近くに居る長身で金髪の顔の長い貴族が声をかけた。

「君がミナリア? 」
「――どなたです? 」
「これは失礼した、君の婚約者のライアンだ」
 突然の話で私は言葉を続けられない、婚約者が居るとは思わなかった。婚約は家同志の関係にも影響がある、私のような追い出された娘と婚約できるとは思えない。

「私はミナリアですが────父からは何も聞いていないのです」
 こんな私が婚約者とか、彼も不幸に思えた、見ればそれなりにハンサムで女性にモテそうに見える。私なんかよりも別の人を選んだ方が良い。

「私は家を出て働いています、別の家の人と婚約された方がいいですよ」
 ニッコリ笑いながら首を少しだけかしげた、こうすると父は嬉しそうに私を抱きしめた。男性にはこれが一番だと思う。彼は憮然とした表情する。

「んん……君が働いている理由は判らないが、婚約して結婚すれば働く必要もない、私の妻だ」
 私は困惑する、確かに貴族の奥さんになれば働かなくても良い────でも、魔法の勉強もできない。私は私にできる事で社会に貢献したいと前から思っている。働くのは大変だけど楽しいのは事実だ。それに今は、レオノーアの封印を解かなくてはいけない。

 私は彼にどう説明すればいいのか考えた。
「一年くらい待ってください、継母にも相談します」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?