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SS カラス男 猫探偵13

あらすじ
 奇妙な機械が歩き回る都市では動物と人間が会話しながら生活していた。人間の娘のニーナを助けると猫探偵のロイは家で飼う事にする。ニーナが生きていると障害に感じる親族は彼女の命を狙い、猫探偵は捕縛されカラス男に尋問されている最中に、思考戦車に助け出された、猫探偵は主犯の館に突撃を開始する。

「来るぞ」
 思考戦車と一体化した所長は俺に通信を送る、俺も黒豹型ロボットの目で確認した、ニーナの祖母のメリル・エリザベス・ウッドの住まいが見える。中世のレンガ造りは古く貴重だ。その前にごつい黒い塊が数体ある。

「サムソン型だな」
 ゴリラ型の大戦で使われた骨董品だ、それでも一般の護衛には過剰なレベル。所長は別れの合図を送る。グッドナイト。特攻の合図で俺はスタンバイする。

 近接戦闘が始まる瞬間で所長の思考戦車はスモークを発射して、戦車は六足型に変形した。前足の部分でサムソン型をぶん殴る。格闘戦だ、嬉しそうに闘っている所長を残してスモークに紛れて俺は邸内に突撃した。

 後ろで爆散するロボットが見える、相打ちでお互いが破壊されていた。これで所長も満足だろう。

 庭に犬型ロボットも居たが、こんな自動兵器は、侵入犯しか制圧できない。俺のゴリアテ型の黒豹ロボットは次々と首筋をかみちぎり排除した。侵入可能な二階のベランダに飛び上がる。

 姿勢を低くしたままベランダから木製の扉を蹴散らして内部に入る、一階からでは無理だ、頑丈なシャッターで閉じられている、しかし二階は手を抜く事が多い。二階から侵入されると予想していない。

 邸内に侵入した瞬間に景色が変わる、俺は見知らぬ部屋で椅子に縛られていた。カラス男が俺を見ている。床の冷たいリノリウムの青い色を俺は眺めながら状況を理解する。湿気が多い不快な場所で俺はまた地下室に戻っていた、夢を見せられていた?

「ニーナは、どこにいる? 」
 鉄製の椅子は冷たくサビ臭い。俺はカラス男を見る、冷徹な黒い巨大な目玉に感情はない。現状がクラッキングなのは理解できた、夢を見せられて情報を引き出すなら、ニーナと出会う方法を探る筈だ。

「クロミ頼む! 」
 固有チャンネルで合図を送る。すぐに俺に侵入したクロミは、俺を呪縛している脳内のレイヤーに侵入中の敵を焼く、激痛で体が勝手に反応した。体が跳ね上がると、黒豹にまたがっていたカラス男がふっとぶと天井に激突する。

 俺が邸内に侵入すると同時に、カラス男は俺の上に乗り黒豹ロボットをクラッキングしていた。

 お互いにダメージがでかい。俺は黒豹をオート攻撃にチェンジした。黒豹は前足でカラス男が踏み潰すと、そのままヨロヨロと祖母が居る場所を探す。

「クロミは容赦しないな……」
 電気ショックで脳の一部を焼いている、マイクロウェーブ攻撃で肉体にダメージが出ていた。暗示を破るために、脳を破壊されるとは思わなかった。

「特定したわよ、三階に移動して邸内の地図を送る」
 クロミが祖母の居る部屋に俺は誘導する。俺は歯を食いしばる、自動で黒豹ロボットは三階への階段を探し始めた。


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