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SS 占い師マイカの毎日:吊された男【ワールドザワールド】

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あらすじ
平行世界に含まれる大樹の世界で占いの店を経営するマイカ。異世界のカードは絵のシンボルが実体化する特別な物だった。女神の見習いのヒサギが悪魔に取り憑かれた。大樹の女神がマイカ達を異世界へ転移させる。そこにカードの【コレクター】と呼ばれる男が立っていた。

立っていた男は、この世界の住人ではない。【コレクター】と名乗ると謝罪をした。

「私がタロットカードを落としました」
頭を下げる彼は申し訳なさそうに説明する。その世界で数百年は使われているカードがある。それを入手して調べようとした。移動中に落とす。

「あんたかなり適当な性格なのね」
力があっても迂闊すぎて私は頭が痛くなる。影響が大きい。もっとも今回は、悪魔のカードを持参してヒサギと試練の場に居合わせた自分の責任もある。タロットカードをなんらかの形で封印すれば良かった。人の事は言えない。

【コレクター】は緊急事態である事を告げる。
「ヒサギ様の力が暴走を始めています。重力場を作り光すら逃がさない世界を形成しています」
彼は悪魔がヒサギの力を使いながら奇怪な世界を生成していると説明した。私は想像すらできない。いつものように鞄が動くと、カードの住人が出現をした。逆さまになった男は木から吊されていた。【吊された男】だと名乗る。

「私にまかせてください、私は吊された状態で重力場に穴を開けます」

【力者】の連れのライオンが説明してくれた。
「こいつ、元は死刑囚なんだよ、正位置なので忍耐、奉仕って意味もあるな」
体を張りすぎだがカード属性の宿命だ。【吊された男】によりヒサギの世界へ行く事は可能になる。【コレクター】と愛娘 アイニャンと【力者】とライオンを連れて私達はヒサギに逢いに行く。

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「なにこれ?」
万魔殿パンデモニウムだと説明された。巨大な半球が地面から小山のように盛り上がっている。表面は黒い。確かに光すら逃がさない。見ているだけでぞわぞわとする。【吊された男】が再び現れると万魔殿パンデモニウムの真上に移動する。浮かんだ彼は苦痛の表情で叫ぶ。

「今です、入り口です」

確かに表面の一部が白くなり始めた。光の入り口が出来ると私達は飛び込んだ。万魔殿の中は……灰色だ。空が青い。見た事が無い世界は人で一杯だ。

私は…奇妙な服を着ている。独特な襟やスカーフのある上着とスカートだ。そして若返っていた。【コレクター】はスーツ姿で近くに居る。頭の中に大量の新世界の情報が入る。頭痛がする。

「痛い……」
額を触る。短めの髪の毛はさらさらだ。洗い立ての体は若々しい。私がどこに居るのか、私が誰なのか理解をした。

舞夏マイカさん、大丈夫ですか」
【コレクター】が近づく。見た目はサラリーマンだ。彼は四十代の男だ。

「おい、どこだ」
チンピラ風の恰幅が良い男が近づく。ライオンだ。

「えーどこよ、ここ」
茶髪のお水風は愛娘 アイニャンだ。

自分たちが日本の東京に居る事は理解した。

続く


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