SS 立方体の思い出 #毎週ショートショートnoteの応募用
立方体の思い出は色々ある。幼なじみの彼は工作が得意で贈り物を色々とくれた。
「ハコちゃん、あげる」
私の箱林の名字からアダ名がハコだ。四角いノートの切れ端で作る箱は器用に蓋まである。開けるとダンゴムシが居た。呆れた顔で見ると彼は得意げに笑っている。箱の作りなのかダンゴムシを見せた事なのか判らない。
小学生から中学までそんな具合で子供みたいな事をしていた、さすがに高校になるとラッピングをする。中身は他愛の無いハンカチみたいなプレゼントだ。
大学になると彼は工学部で忙しいのか会えない。彼は四次元空間の箱を作りたい。その日は私に会いに来ると成果を見せたいと研究室に招く。
「大きな箱ね」
見上げるような箱は透明だ。
「超立方体だよ」
彼は設備のスイッチを入れる。ブーンと音がすると透明な箱は光る。そして……
「箱をあげるよ」
過去の映像が箱の表面に映る。過去を見る箱だ。少女の私が箱を貰う。
「君に箱をあげるのが嬉しくて」
手渡された箱を開けると結婚指輪。
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