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SS 羊の初恋 ケモナーワールド

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ミロは猫族の女の子。この領域の監視や不審者対策を仕事にしている。今日もだらだらと散歩をしながら監視をしている。「ミロちゃん」羊族のメイドの女の子が手を振っている。私は「メイカ」と名前を呼びながら高速で走る。メイカはびっくりしたように木の陰に隠れた。羊族は肉食動物を恐れているのを忘れていた。「あ!ごめんね、なんか用?」

ちょっとはぁはぁしながら、メイカを見ると恥ずかしそうに、木陰から顔をだす。「びっくりした、どきどきしたわ」「えへへへ、大丈夫だよ、食べないよ」羊族は、体の体毛を利用してコミュニティーに貢献をしている。彼女も髪の毛が長い。人工で作られる毛とは違い、保温や保湿は生物由来の体毛の方が優れている。彼女は、まだ毛刈りはしていない。

「あのね」羊の娘は体を少しだけくねらせると、少し夢見がちな目をしながら「牧羊犬のガウンドを知っている?」と聞いてきた。たしかガウンドは犬族の若者だ。私と同じく傭兵や警護をするが、主にコミュニティーの中の活動が多めだ。雑用が多いから私とは違う感じ。

「ガウンドは犬族だから、犬族が好きなんじゃないの?」彼女の様子を見れば判るが、牧羊犬に惚れたのだろう。しかしさすがにそれはまずい。私たちは数百年前に遺伝的に人間と異なるDNAを導入されて、その上で様々な動物達として独立して生活をしている。

たぶん好意を抱いて結婚は出来るが、子供はハイブリッドになる。子孫を残せない筈だ。それよりも流産の可能性が高い。「ガウンドに聞いてみる?」羊族の娘のメイカは嬉しそうに「ありがとう、お願いするわ、私は恥ずかしくて」と両手を握ってくる。ぶんぶんと振られる腕をみながら、どうしようか考えていた。

「ガウンド居る?」警護の待機所に行くと探す。ここは私がよく寝ている所だ。目つきのするどい牧羊犬の男子が入ってくる、まだ未成年の彼は見習い中でもあるし、真面目な男だ。「はぃ、なんですか?」「あんた、メイカ知ってる?」目を泳がせるとうなずく。様子がおかしい。「もしかして好きなの?」直球で勝負だ。

ガウンドは少し悲しげな表情をすると「でも僕は犬なんで・・・」確かに犬と羊ではDNAはかなり違うと思える、食性が違うし一緒に暮らせるのだろうか?「メイカがあんたに彼女居るのかって聞いてたよ」「・・・すいません」彼は謝ると外に出てしまった。

私はやっぱり恋は無理だろうなと思いながら、その日は待機所で寝てしまう。朝になると待機所が騒がしい。「ミロ起きろ、羊の子が消えた」私はメイカを探すが、メイカは死んでいた。崖から落ちたのか仰向けに倒れている所を発見される。

事故なのか事件なのかは判らない。周辺の監視カメラとロボット達の情報から犬族が追いかけた事が判る、ガウンドが尋問されると、あっさりと白状をする。「そうです、私は彼女を家に戻そうとしました」私と別れた後に、すぐに彼女と会う。断ると彼女はその場から走り去った。

本能なのだろう彼は追いかけた、メイカは追いかけられる事に快感があったのかもしれない。逃げ回って最後が崖から足をすべらせた。故意では無い事が証明されて、牧羊犬のガウンドは釈放されたが、いつのまにかコミュニティーからは失踪していた。

私は考える、同じ人間のDNAを持っていても仲良くなれないで悲劇が起きる、昔はどんな人間同士でも結婚できた。でも戦争で世界が滅んだ。どちらが幸せなのかなと「私は今の方がいいかなぁ」いつものようにぶらぶらと散歩しながら、私は樹木にくっついている甲虫を掴むとむしゃむしゃ食べる。

終わり

ハジマル画 牧羊犬種族

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ハジマル作画 羊娘

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ハジマル作画 ミロちゃん(飼い猫の擬人化)

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