婚約者:不思議な依頼人【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(22/50)
第五章 婚約者
第二話 不思議な依頼人
あらすじ
魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む。赤と青の洞窟を攻略したミナリアは次の攻略へ向かう。
「ミナリア、あんたに仕事を頼みたい人が居るよ」
魔女ギルドの案内人のマリアさんが、私を呼び止める。貴族が私を雇いたい。指名で来るのは珍しい、新米の私は名前や顔を覚えて貰えない筈なのに?
「私ですか? 」
「若い娘に頼みたいんだってさ、あんたくらいの歳の娘が欲しそうなプレゼントを選んで欲しいみたいね」
恋人にでもプレゼントするのだろうと思う。確かにプレゼントされれば、なんでも嬉しいけど、贈られて嬉しい物ならば何倍も効果がある。
「私でいいんですか? 」
「貴族で若いのは、あんたしか居ないんだよ」
マリアが笑って説明する。もうベテランが多いギルドは若い娘が少ない。危険な仕事だし、ソロ活動をする女魔法使いは希少だ。大半は大きな部隊で活躍したり、専門のパーティか魔女仲間同士でつるんで働く。私の場合は、実績もない若い娘で誰からも声をかけてもらえない。
「判りました受けます────どうすればいいのかな? 」
「店で欲しい物を選んでリストにすれば? 」
なるほどマリアさんは、頭が良い。私は頭をうんうんと縦にふる。
「あとね…………私からも依頼があるんだよ」
「マリアさんから依頼? 判りました、まかせてください」
内容も聞かないうちに安請け合いをする私にマリアさんは笑う。彼女には娘が居るという、シーフの彼女は何週間も前から、洞窟の一つで苦労をしている。様子を見て来てほしい。
「親ばかだよね、私に似ないで魔法は使えない娘でね」
親になる気持ちは私には判らない、心配で仕方がないのねと思う。それに比べて私の継母は、私がこんなに苦労しているのに、少しも心配をしてくれない。実子じゃないから無理はないか────ちょっとだけさみしい。
「どうしたの? 難しそう? 」
私が落ち込んだ事に誤解をしたマリアさんが心配をしてくれる。
「あ!違うんです、私の継母も心配してくれるのかなと……」
「心配するのは当然だよ、あんたには判らない苦労があるかもよ」
マリアさんが私を見る目は…………継母に似ていた。あなたには判らないでしょうけど────理解できない子供を見る目。私は自分の鬱屈した考え方に憂鬱になる。まずは貴族からの依頼を達成させよう。
私はマリアさんに今日中にリストを作りますと告げてギルドを出た。さて、どんなリストを作ろうかな。
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