SS 田舎の池【ラムネの音が】シロクマ文芸部参加作品 (940文字位)
ラムネの音がする。かすかで小さくて聞こえない。栓を抜くとビー玉が容器の中に落ちてくるりと回る。神秘的な蒼い瓶をいつまでも、あきずにながめる。
ラムネの飲み口に耳をよせるとシュワシュワと小さくつぶやくような音が聞こえた。
「――なにかしゃべってるみたい……」
「よう子ちゃーん」
遠くで母が私を呼んでいる。池のほとりでラムネを飲むのが好きだ。池の蒼い色で心がやすらぐ。田舎の舗装されていない農道を、雑草を踏みながら家に戻ると母がにこやかに笑っていた。
「お父さんがおみ