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雑多なSF設定

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SF設定の小説を集めます ・ケモナーワールド ・ジェリービーンズ ・猫探偵
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2023年4月の記事一覧

SS リストラのおと #爪毛の挑戦状

「いまどき追い出し部屋があるのか……」  俺は殺風景な部屋を見る、四〇代で職級が上がらない社員を、この部屋に入れて精神的に追い詰めてから退職させる。裁判になる場合もあるが、そこは会社の弁護士が違法にならないように、目を配っている。  人工知能の導入で社員がどんどん不要になると、人を管理する上司の役割が減って行く。人が多いときには必須だった仕事も無くなる、チームビルディングなんて言葉も死語だ、人を管理する必要が無い。 「林さんもこの部屋ですか? 」  営業の山田さんも来てい

SS カラス男 猫探偵13

あらすじ  奇妙な機械が歩き回る都市では動物と人間が会話しながら生活していた。人間の娘のニーナを助けると猫探偵のロイは家で飼う事にする。ニーナが生きていると障害に感じる親族は彼女の命を狙い、猫探偵は捕縛されカラス男に尋問されている最中に、思考戦車に助け出された、猫探偵は主犯の館に突撃を開始する。 「来るぞ」  思考戦車と一体化した所長は俺に通信を送る、俺も黒豹型ロボットの目で確認した、ニーナの祖母のメリル・エリザベス・ウッドの住まいが見える。中世のレンガ造りは古く貴重だ。そ

SS 建設の頓珍漢 #毎週ショートショートnoteの応募用

「そこの廊下は曲げてくれ」  動線をまったく考えずに頓珍漢な指示を出す客に営業も困っていた。老いた科学者から、複雑な間取りの注文をされた。 「言われたとおりにしろ」  上役は、儲かればなんでも良い。俺は設計に頼み込んで奇怪な家を作り上げた。建築の頓珍漢具合は最高レベル。迷路のような家を作る。現場の職人も困惑していたが建築が終わり引き渡し当日に、俺も現地検分に行く。郊外の二百坪の家は堂々として見栄えも良かった。 「良い出来だ」 「木材を豊富に使いました」  俺の話を聞きなが

SS 疾走する思考戦車 猫探偵12

あらすじ  奇妙な機械が歩き回る都市では動物と人間が会話しながら生活していた。人間の娘のニーナを助けると猫探偵のロイは家で飼う事にする。ニーナが生きていると障害に感じる親族は彼女の命を狙う。捕縛されたロイはカラス男に尋問されている最中に、思考戦車に助け出された、猫探偵は主犯の館に突撃をする。  手配でもされているのか警察が動き出していた。スピーカーから、やかましく止まれと叫んでいるが、所長が操る思考戦車は自閉モードで電波などを遮断していた。音波すら届いてない可能性がある。

SS メガネ冠婚葬祭 #毎週ショートショートnoteの応募用

 俺は暗闇に落ちる、無限に続く落下を体感しながら光が見えた。出口だ。 「元気な男の子ですよ」  俺は無難な人生を歩んでいる、郊外の一軒屋で二階に部屋を与えられた、メガネをかけた俺は、日本のどこにでもいる子供。虐待もされない、いじめも受けない、生活に困らないだけの給料を貰う両親は、いそがしいが俺を愛していた。 「A君は真面目よね」  B子は俺が好きなのか、よく会話をした。幼なじみの彼女とは大学まで一緒に過ごし同棲をする。何も問題は無い。  俺には悪い癖がある、殺人衝動だ。