マガジンのカバー画像

創作民話 関係

111
創作民話をまとめています
運営しているクリエイター

#童話

SS わがまま姫様【真夜中万華鏡】#毎週ショートショートnoteの応募用(480文字くらい)

「万華鏡が欲しいの」  わがままな姫様は万華鏡に夢中で職人に次々と作らせるが、それも似たようなモノしか作れない。 「もっともっと不思議なものを見せて」  そこに一人の若い技師があらわれた。姫様に誰も見たことがない万華鏡を作って見せると約束する。 「ただし……とてもお金がかかります」 「いいわ、お父様に頼むから」  技師は監督となり、職人を大勢集めて塔を作る。塔は白いレンガでとても美しい。 「姫様、万華鏡が完成しました」 「これが?」  指さす塔は先端にレンズをつ

姫と魔物【新生活20字小説参加作品】

暗い森を歩む姫は素足のまま血まみれで迷う 私が死ねば世界が終わる、騎士はみな死んだ 生き残るためならどんな屈辱でも耐えてよう 「そなたは高貴な生まれ」ふくろうが鳴いた 「高貴さは魂に刻まれる」生まれを否定する ふくろうに迷わされて森をさまよい池につく 澱んだ池の水面から顔を出すのは、魔物の王 「そなたの体を食わせろ」うなずく姫を飲む 魂は不滅の力を持って姫は魔物の王となるか 笑う魔物は姫の顔になると世界から戦を消す #新生活20字小説 #童話

SS 動けない影 #爪毛の挑戦状

「やあ ひさしぶり」たぬきさんが、うさぎさんに挨拶します。うさぎさんは落ち込んでいるようです。昔からの知り合いなので心配です。「うさぎさん、どうだい釣りにでも行くかい」親切なたぬきさんは、うさぎさんと川に行きます。 たぬきさんとうさぎさんが散歩をしていると、地面に影がある。「あれ?なんの影なんだろう?」たぬきさんが不思議に感じます。 上を見ても何もありません。うさぎさんは何やら困惑している様子です。「この影はなんだろうね?」たぬきさんが、うさぎんさんに聞いてみました。「動

SS 金持ち鬼 #爪毛の挑戦状

 赤鬼は人に好かれたい。自分が鬼というだけで嫌われるのは納得できない。人間達と親しくなりたい。 「青鬼さん、なんとか人間と仲良くなりたい」  俺は親友の青鬼に相談をしてみると彼は一つだけ提案してくれた、自分が悪者になるので君が人間を助ければ良い。俺は躊躇をした、それでは青鬼はどうなるのか? 青鬼が嫌われるし、自分も鬼だ、同族として見られる。 「それは危険な行為だ」  青鬼も熟慮すると危険を理解する。鬼が人を襲うイメージを定着させるのはまずい。鬼は人間の味方だ、そう信じさせ

SS 無理無理童話88 #毎週ショートショートnoteの応募用

「馬鹿のハンス、前に出るな! 」 「豚は、陣形を崩すな 」  無理無理童話88は、悪魔に対抗するために作られた傭兵部隊だ!童話の登場人物達が頑張っている。 ◇◆◇ そのお姫さまは、みすぼらしい、気品が無くまるで平民のようだ。だから付き添いのメイドの方が姫に見えた。 「お前が姫の影武者となれ」  王は姫を守るために、メイドを姫と偽り外国の賓客に対応させていた、メイドは賢く美しいので、とても評判になり、本物の姫の方を粗雑に扱う。最初は演技だったが、悪心を持ってしまう。 「

SS 惰性のエッヘン開放 #毎週ショートショートnoteの応募用

「やはり針が怖いのかな? 」  小さな村でハリネズミ村長は悩んでます。癖で『エッヘン』とつぶやいてしまう。針を持っている上に偉そうにしていると評判が悪い。 「針があるから無敵よね」  もしかしたら無意識で威張っている? 針が大量にあれば攻撃されません、武器あるよ、攻撃すると痛い目に合わせるよ。威嚇しなければ小さな動物です、食べられてしまいます。悩んでいるとそこに、山猫さんが来ます。 「村長を、他の動物に譲るといいのでは? 」 「なるほど、村長だから威張って見えるのか」

SS 響く礼節をペンペンしてみる#毎週ショートショートnoteの応募用

 私はレディに生まれ変わっていた。図書館の本の虫だった私は超有名なライトノベルの新作を楽しみにしていた。そこで事故った。本屋にファンが殺到してエレベーターが停止して巻き込まれて死んだ。 「読みたかったなぁ」  流行の転生ものだ、自分が悪役に生まれ変わる不思議な話。悪役だとヒロインから命の狙われる危険もある。そこを上手に回避してハッピーエンド、それが楽しい。 「この服は? 」  私は寝室で横になっていたが、西洋風のベッドで、私はナイトドレスを着ていた。明らかに私の居た世界と

SS ダジャレバナナ #爪毛の挑戦状

 顔を白く塗った道化が恐怖の表情で固まっている、手には黄色いバナナを持って舞台に立っていた。王はつぶやく。 「ダジャレバナナだ、笑わせろ」 「このバナナが黄色いのは……、太陽が黄色いから……」  王様は黙って首を切るまねをする。舞台の上の道化は悲鳴を上げながら兵隊に連れていかれる。 「つまらん、次を呼べ」  王様は気まぐれな性格で無能だ。主君に落ち度があったとしても、交代は難しい。無能でも害にならなければ放置される。彼はひたすら笑いを求めた。面白いことが大好きな王様は、

SS 洞窟オオカミ 坊ちゃん賞習作用

「マヌルさん、こんにちは」 「コトミさん、いらっしゃい」  人の少女が扉を開けて入ってくる。 「素敵なお店ですね」 「道楽ですよ」 「きれいな宝石が一杯で見ているだけで楽しい」 「そこらの洞窟で拾ってきて磨いてます」  店主はマヌル猫で、いつもぼんやりしている。 「私も洞窟に入っちゃダメですか? 」  コトミは迷い子だ。この宝石街は動物しか住んでいない。人の存在は知っていたが実物を見るのはみんな初めてで驚かれた。 「そうだね、石が欲しいならあげるよ」 「……変な事

SS ちっちゃな願い【秋桜】 #シロクマ文芸部

 秋桜の花びらが落ちる、大きな花びらは地面にふりつもると歩くのが大変だ。 「秋桜の花びらは大きいからね」 「当たると危ないよね」  双子のミルとモルは、薄紅色の秋桜の森を抜けて家に戻る。今日は大事な話があるから早く帰らないといけない。  ミルは女の子、モルは男の子でとんがり帽子をかぶっている。妖精の姉弟は、とても小さく身長は人間の指くらいしかない。 「ただいま、何の話?」 「おかえり、今日は修行の話だよ」 「人間にサービスするのね」 「妖精だからね、人へ奉仕しなくちゃ

SS サーカスの馬【りんご箱】 #シロクマ文芸部 ※悲しいので注意

 りんご箱に子馬が顔を入れる、器用にりんごを箱から取り出すとカリカリとかみ砕く。 「めんこいの、まふゆ」 「ゆり、お別れだから」  父親が少女の手を引くと馬小屋から連れ出す、子馬は売られてしまうので、おいしいリンゴをあげた。真っ白な子馬だから、まふゆと名付けた。 「サーカスに売られるの?」 「珍しい色だからな、きっと人気になるさ」 「サーカスって怖くない?」 「怖くないさ、怖くない……」  歯切れの悪い父親の顔を見ながら少女は心配になる。 xxx 「ゆりさん、ゆり

SS サーカスの馬※解決編【りんご箱】 #シロクマ文芸部

※BGMにどうぞ  りんご箱を見ると涙がとまらない。まふゆは泣いている子馬を見捨てた。  悲しげな声が耳に残る、激しい後悔と苦悶を感じて、まふゆは猿に相談する! 「なんでゆりちゃんをサーカス団に行かせた!」  古来から馬の守り神とされる猿は、神通力を持っている。猿は印を結ぶと真言をとなえた。 「おんあびらうんけんそわか」  巨大な猿に変化すると、まふゆを抱きかかえて、そらかける。漆黒の天空を豪速で駆け抜けた。あまりの早さに月さえもあわててよける。 「あのサーカス団

SS 信者ブラスバンド #毎週ショートショートnoteの応募用

「全体、整列!」  ごつごつとした革のよろいと鉄の直剣で武装した兵士達がずらりと並ぶ。私は腕にかかえた縦笛を緊張しつつ持ちなおす。 「邪教徒に死を!」 「地獄で焼かれろ」 「神の鉄槌を受けろ!」  怒号が地響きになる。兵士達が足踏みをして土埃が立つ、私はむせるように咳をした。 「進軍開始!、突撃行進曲、はじめ!」  私は先頭で縦笛を吹く、太鼓とラッパが勇ましく鳴り響く。  この高揚感が信じられない、音楽に触れる事で無敵に感じる。後方から矢が放たれて前方の敵にふりそ

SS 親切な暗殺 #毎週ショートショートnoteの応募用

「暗殺ですか……」 「暗殺だ」  跡目争で、護衛騎士に幼い皇太子を殺せと命令される。 xxx 「今日も遊ぼう!」  目がくりくりした皇太子が走ってきた。金髪の少年は十二歳くらいで活発な子供だ、やたらと剣の練習をしたがる。 「キミには負けない」 「立派な王様になれますよ」  剣を受けながら、その力強さに感心する。この子を殺さなくてはいけない…… 「ねぇ、相談したい事があるんだ。誰にも知られずに会いたい」 「判りました」  都合が良い、自分から死ぬ場所を選んでくれ