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創作民話 関係

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#マヌル猫のマヌルさん

SS 洞窟オオカミ 坊ちゃん賞習作用

「マヌルさん、こんにちは」 「コトミさん、いらっしゃい」  人の少女が扉を開けて入ってくる。 「素敵なお店ですね」 「道楽ですよ」 「きれいな宝石が一杯で見ているだけで楽しい」 「そこらの洞窟で拾ってきて磨いてます」  店主はマヌル猫で、いつもぼんやりしている。 「私も洞窟に入っちゃダメですか? 」  コトミは迷い子だ。この宝石街は動物しか住んでいない。人の存在は知っていたが実物を見るのはみんな初めてで驚かれた。 「そうだね、石が欲しいならあげるよ」 「……変な事

SS チョロいの、くさび #毎週ショートショートnoteの応募用

 マヌルはマヌル猫だ。いつもの宝石店でぼんやりしているとヨシダさんが入店する。 「チョロいの、かなずち」  宝石街は名前が適当だ。ニックネームと同じでゆるくつけている。ヨシダさんはハリネズミで長く生きているから、最近は単語だけで意思疎通する。  大工がアレソレで何が欲しいのか判るように、空気を読め。みたいなスタイルだ。 「ヨシダさん、かなずちが壊れましたか? 」  うんうんとうなずくハリネズミは小さな手を出して、早くよこせと催促する。こぶりの破砕用のハンマーを渡すと

SS 訓告したいの四六時中 #毎週ショートショートnoteの応募用

※すいません、下品です。 「訓告したいの四六時中」  とがりネズミの真紀が、鼻をひくつかせて匂いを嗅いでいる。マヌル猫のマヌルは、扉から入ってきた真紀を、ぼーっと見ている。 「真紀さん、何かありましたか?」 「マヌルさん、発情してましたよね」 「え?」  たしかに動物が住むこの街でも、発情行為はある。たまに道路のど真ん中でしている場合もある。  でも自然な行為なので誰もとがめはしない。 「私は、もう歳でできませんよ」 「違います! 匂いをつけてますよね」 「ああ、あ

SS 木の実このまま税理士 #毎週ショートショートnoteの応募用

「マヌルさん、こんにちは」 「コトミさん、いらっしゃい」  珍しい石を加工して売っているマヌル猫の店に、少女が訪れた。 「実は税金の話なんです……」  マヌルの町も税金はある、住んでいるだけで住民税が取られる。水を使えば井戸税、なんでも税金だ。 「そうか。オオカミの子供を拾ったから大変だね」  コトミは洞窟で古代のオオカミ男の子供を助けている。子供にすら税金はかかる。 「どうすれば払えるのか判らなくて……」 「食事はどうしているんだい?」 「ヒマラヤン婦人の下宿を