SS 丘の上の旗 【#朝焼け】#青ブラ文学部
「これをもってけ」
うす暗闇の中で渡されたのは手榴弾だ。使い方を教えてもらうと洞窟から追い出される。兵隊は、苦しくなったら使えとだけ言い残して、自分は銃をくわえて死んだ。
(そうだ、旗のある場所にいけば、みんながいるかも)
幼い少年は、まだ暗い空の下で丘にある旗を目指す。最初は女先生や同級生と一緒だったが、敵の上陸でみんな死んだ。
「おなかすいたな」
空腹でふらふらする。丘の上には旗がなびいている。銃も置いてある。大事な場所だから、ここを守るための武器だろう。