ライターが教える正しい志望動機の考え方・書き方

WRPです。
「ライターやってます」
というと、文章力があると思われます。普通、やっぱりそう思いますよね。
そして、自分の情報をさらけ出すと、それに伴った話が舞い込んでくるものです。
今年も3件ほど「志望動機を見てもらえませんか」と言われました。本当は有償で添削したいけど、プライベートなので無料で添削しました。結構時間かかるんで、若干もどかしいですけどね。

しかし、せっかくやったので、気づいたことやノウハウをnoteに残しておこうと思います。

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志望動機を考える前に、就職・転職を考える

まず最初に断っておきますが、すごい具体的なノウハウを語るつもりはありません。どちらかと言えば、心構えみたいなものです。しかし、それができていなくて失敗している人が多いんです。まず、志望動機を適当に書いて合格しようなんて思っちゃいけません。志望動機だけでなく、自己PRや経歴などもみんなそうです。これらを書くことは、すべて「就職活動のスキル」に他なりません。

今、大学を出て新卒で採用されても、定年まで同じ職場で働ける人は相当限られています。東京商工リサーチによると、2018年に倒産した国内企業の「平均寿命」は、23.9年だそうです。数字からは、定年までに1~2回は転職活動をしなければならないことが予想されます。データに上がってこないような小さなお店なども含めると、実際にはもっと企業の寿命は短く、転職の機会も多いでしょう。つまり、多くの人は何度かの就職活動を経験することになります。

よく広告で見られる「転職で年収アップ」は成功した人の言葉です。転職の仕方を知らず、適当に条件を決めて、働ける所で働いてしまうと「うわ・・・、私の年収低すぎ」となってしまうのです。よい転職をするためには、高い就活スキルが必要で、志望動機の書き方を知っていることは、この就活スキルが高いことを意味します。いい会社、いい転職がしたいなら、志望動機が上手に書けるようになりましょう。

就職氷河期といわれた時代の大人たちは、バブル崩壊やインターネットの登場、派遣社員制度などさまざまな社会状況の中、まったく就活スキルがないまま就活をしていました。そのままの感覚で就活サイトを利用し、人材会社を利用しても、たいてい失敗します。

その後の世代は、整備されたノウハウを身につけ、スマートフォンでのエントリー競争や徹底したスケジュール管理などを行うのが当たり前になっています。就活塾などに通ってスキルを磨いた人も多いでしょう。私の知っている就活スキルの高い人は、転職でのキャリアアップ、年収アップを実現している人が多いです。就職氷河期世代をさしおいて上に上っている人もいます。就活力の差は、長い目で見れば本人のビジネス上のスキルとは別に本人のキャリアや年収を決める大きな差になり得るのです。

逆に言うと、志望動機の書き方を知らないなら、その後のキャリアにも不安が残ります。だから、「志望動機くらいしっかり書こう」と思ってください。

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志望動機はセールスライティング

志望動機とセールスライティングは、基本的な考え方が同じです。セールスライティングの手法がどうこうという細かい話は省略しますが、ポイントは「相手に合わせた提案をする」ということです。この部分が意識できていない人が多く、以下のような志望動機をよく見かけます。

・志望動機なのに自己PRばかり
・志望動機が自己中心的
・志望動機なのに、企業に関する話がない
・志望動機がつまらない
・志望動機からやる気が伝わらない

さて、このような志望動機を見たときに採用担当者は採用したいと思うでしょうか。答えはもちろん「ノー」です。相手に合わせた提案をしよう、自分を売り込もうと思っていないために、このような志望動機が生まれてしまっています。

セールスでは、商品やサービスの特徴や、競合との違いをしっかり理解すること、相手の状況に合わせた提案をすることが大切です。声の大きさと愛嬌だけで押し切れる営業現場はかなり少なくなっています。ましてや就職活動、しかも書類ならなおさらです。いかに自分を知り、競合を知り、相手を知るかといったいわゆる「3C分析」をしっかり行ってから志望動機を書かなければなりません。

付け加えますが、企業の採用サイトによく見られる「求める人材像」は、企業が欲しいと思っている人材のイメージです。相手がニーズをさらけ出しているのですから、利用しない手はありません。ニーズを無視して自分をアピールしても、ただの「押し売り」です。

志望動機だからと自己分析、内観ばかりしていても、志望動機は書けません。自分・競合・相手をしっかり考えるようにしましょう。

相手の知りたいことを伝えよう

志望動機では、自分が伝えたいことを伝えるのではなく、相手の知りたいことを伝えることが重要です。多くの人は、採用の立場に立ったことがないため、相手の状況が把握できていないのかもしれません。

企業の種類や規模、担当者数などによって、相手の立場はさまざまです。会社情報や採用ページ、IR資料などの基本的な情報や数字から、できる限り相手の状況を具体的にイメージしましょう。

たとえば、従業員数が30人程度の企業であれば、採用専門の人事部はまずいないでしょう。労務も含めた人事全体を担当していたり、どこかの部署の部長だったり、総務・人事の両方を担当していたり、とにかく他の業務もたくさん抱えている人です。
数百人単位の企業なら、採用を専門的に行っている人でしょう。しかし、人気企業ならエントリーシートや履歴書を数十、数百と目を通さなければならず、やはり大変なのは違いありません。

採用側は、「組織の役に立つ」「一緒に働いていきたい」人を採用します。
脱線しますが、「顔採用」と言われたとしても、美人なら採用する価値があると私は思います。頼られた時のやる気が違いますし、教える際のやる気が違います。ぜひ一緒に働きたいです。もちろん、人並みに組織の役に立たないといけませんが、そもそも「一緒に働きたい」と思える人はそう多くないのですから、そういった食指が動く相手は大切に検討すべきです。

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さて、本筋に戻ると、採用側は志望動機を通して、「本気でこの企業で働きたいのか」を見ていますし、「この人はこの企業で何をしたいのか」を知りたいと思っています。
また、リスク管理のために「変な人じゃないか」「ネガティブな理由で転職してないか」を見ています。
つまりは、志望者の「人間性」を見て「一緒に働きたいか」を判断しています。それに加えて、能力や実績といった「役に立つか」を見ているのです。

そういった観点で自分の志望動機を見たときに、知りたいことは入っているでしょうか。「向上心がある」と言って、意識高い系のサークルや活動を自慢している人も多いものです。
また、「リーダーシップがある」と言って、全国大会に進出した実績を語る人も多いものです。
これを読んでみて、アピール内容と、説明している内容が違うと感じませんか。こういう人、本当に多いんです。
向上心があるなら、その向上心が役だった、成長につながった実例が、リーダーシップがあるならリーダーシップを発揮して成果に導いた実例が求められます。
他の話をしたり、何の話をしているかわからなかったりする人は、ぶっちゃけ不安です。信用なりません。大事なことは煙に巻いてしまう怖い人かもしれません。そこまで用心深くならないとしても、いい印象はまずありません。
文脈から行間を読み取り、相手の人間性に思いを馳せる暇なんて採用側にはありませんし、そんなわかりにくい奴はまず「お断り」です。

だから、相手の知りたいことを必ず伝えるようにしてください。自分の伝えたいことは、その後少しだけで十分です。だいたい、採用側はこういうことが知りたいと思っています(太字は特に重要)。

【新卒の場合】
・どうしてこの業界を選んだのか
・どうしてこの職種(仕事)を選んだのか
・どうしてこの企業を選んだのか
・何ができそうか
・適性がありそうか
・将来は何がしたいのか
・将来のビジョンと自社のキャリアパスは合っているのか
・性格面の問題はないか

【中途の場合】
・どうしてこの業界を選んだのか(他の業界からの転職)
・どうしてこの職種(仕事)を選んだのか(他の職種からの転職)
・どうしてこの企業を選んだのか
・何ができそうか、どんな仕事をしてきたのか
・適性がありそうか
・企業と相性が合いそうか
・待遇は希望と合致しているのか
・将来は何がしたいのか
・将来のビジョンと自社のキャリアパスは合っているのか
・性格面の問題はないか

これを全部書いたら、文字数が全然足りなくなるでしょう。そのため、表現や項目を絞って書くことになります。曖昧ですごみのある冗長な表現で水増しする余裕はありません。だから文章もきれいで簡潔になります。

しかし、最初からこれらを意識せずに、自分の書きたいことだけを書いて終わり、文字数が足りないからと針小棒大に表現したり、迷路のような日本語を書いてしまっている人が多いのです。日本語の上手さも大切ですが、基本の方向性が間違っているため、指摘するにもキリがありません。

あまり楽をしようとせずに、長い人生の中で使う就活スキルを磨くと思って頑張って取り組んでください。相手を意識するだけで、ずっと志望動機は志望動機らしくなります。

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