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残らない写真

いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。
イヤホンから心地良い音が流れ、
古い窓の隙間から吹く冷たい夜の兆しが
体温をほどよく下げていた。

外はもう日が沈み、
淡い桃色に濃い青が溶けて紫の残照があった。

______いつぶりだろう、
こんなに心奪われる宙の表情を見たのは。
私の寝起きには勿体ないくらいだった。
せめて自分の記憶のシャッターを切ろうと
空と目を合わせて瞬きをする。

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