自分にダメ出しをしないということ・自分を受け入れるということ
半年前に受けた占い
今から半年ほど前に手相占いを受けた。その占い師は一般的に「手相」と言われて想像されるものを見るだけでなく、手のひらのどの部分が固いか・柔らかいかを見た上で運勢を占ってくれる占い師だった。初めて説明をされたとき「そういう占い方もあるのか」と驚いた。
私はその占い師に自分の仕事雲および金運について尋ねた。
「では手を出してください」
私は言われた通り両手を占い師に差し出した。占い師は時々マッサージするように私の手のひらをもんだ。
「あ、そこ気持ちいいです」
マッサージが気持ちよくて思わず私はそうつぶやいた。するとその占い師は、
「私にもまれて気持ちがいいということは、その部分が張っていて硬くなっているということです」
と、占い師ではなくマッサージ師のようなことを言った。
「両手とも人差し指の付け根と親指の付け根のあたりがとても固くこっています」
一通り私の手をマッサージした後に占い師はそう言った。
これだけではただのマッサージ師である。でも、その後に占い師はこう続けた。
「ここが凝り固まっているということはあなたは頑張りすぎと言うことです。自分にダメ出しをすることをやめ、もっと自分を認めてあげてください。認めてあげるようにすると仕事運も金運もあがります」
その後も次々と私の過去や日頃感じているストレスを言い当てていく。あまりにも的確な指摘をしてくるので、手のひらに私のことが文章として書いてあるのではないかと疑うほどだった。
「旦那さんとの相性もとても良いみたいですね。旦那さんに今凝っている人差し指の付け根などをマッサージしてもらうようにしてください。そうすると開運します」
占い師は最後にそう締めくくって占いを終えた。
その後思い出したときにマッサージをするようにはしていたが、結局手のひらのケアはいつも後回しになっていた。
仕事も順調に伸びていき、私は舞い込んでくる仕事を次から次へとがむしゃらに取り組んだ。
あの占いから半年経った今、私は腱鞘炎を発症している。今、人差し指の付け根と親指の付け根が痛くて仕事が満足にできない。
人事を尽くして天命を待つ
それでも痛む手を騙し騙しケアしながら、仕事をしていた。長年私が望んでいた仕事。自分の好きな仕事。それが伸びつつあると感じている中で、休むのが怖かった。
でも、いつものペースで仕事ができないことにストレスを溜めていたのも確かだった。普段なら2時間でできる仕事が、3時間以上かかることもある。手のひらに負担をかけないように配慮するがために、肩や肘が疲れることもあった。
そんな中でたまたま友人とオンラインお茶会をする機会があった。
「詩織ちゃん頑張りすぎじゃない?自分にダメ出しするのやめて、自分を受け入れなよ」
今まで何度もいろんな人に言われてきたセリフを、彼女にも言われた。
「腱鞘炎なっちゃったんでしょ。それもう体が限界ってことだよ。もう十分頑張ったってことだよ」
自分にダメ出ししない・自分を受け入れる……今までにも何度も言われてきたが、未だに分かるようで分からない言葉だ。
ようやく仕事が軌道に乗ってきた。夫婦で北海道に移住する夢もある。夢や目標のために努力するのはある意味当たり前だ。
でも、「自分はまだまだだ」と思いながらする努力と、「自分は大丈夫」と思いながらする努力では、心身にかかる負担が全く違う。「自分はまだまだだ」という思いは自分の成長の足枷にもなりかねない。
20代の間に、私はもう十分努力をした。
腱鞘炎になったことだし、「人事を尽くして天命を待つ」というのも悪くないかもしれない。
それが彼女を始めとするいろんな人が言ってくる「自分にダメ出しをしない・自分を受け入れる」なのだろう。
自分の努力を認め、あとは流れに身をまかせるのみ。
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