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結果としてのパラレルワーク

私は現在作家・モデル・ライターの仕事をしている。

こうやって複数の仕事をしていると、時々聞かれることがある。

「本業はどれなんですか?どれがメインの仕事なんですか?」

正直こうやって聞かれると答えに困ってしまう。私にとってはどれも大切で大好きな仕事なのだ。もちろん収入に偏りはあるが、「どれか一つ」を選ぶことなどできない。

昔はこの質問に答えられないことに罪悪感を感じていた。実際こうやって答えると、

「自分の軸がない人」

「なんの考えもない薄っぺらい人」

「どれも中途半端にしかやれない適当な人」

などの批判もされてきた。

でも最近「どれも本業」という考え方が受け入れられつつあるのも実感する。働き方の多様性が認められつつある中、一人の人間が複数の仕事をしている「パラレルワーク」という働き方がひと昔よりも一般的になったのだ。

まだまだ社会全体にパラレルワークの考え方はそこまで浸透していないが、それでも以前より複数の仕事を本業として行うことは受け入れられるようになった気がする。

複数の仕事をしているということは、収入源がいくつかあるということでもあり。仮に今、私の作家・モデル・ライターの仕事のどれかがなくなっても、私は他の仕事でその空いた穴を埋めることはできる。ついでにいうと最近は電子書籍出版である程度のお金は入ってくるので、あまり焦る必要もない。

パラレルワークは何らかの事情で一つの仕事ができなくなった場合の保険になる。……そんなメリットは確かにある。

でも、思い返せば私はそんなメリットを目当てにパラレルワークをしようと思ってパラレルワークを始めたわけではなかった。

数年前にミスコンに出場したことをきっかけに、漠然と「ただ文章が書ける人でもなく、ただきれいな人にもならない。それらを掛け合わせた人間になる」と思い続けてきた。

そして自分の可能性を試したくなり、勤めていた会社を辞めて、今の作家・モデル・ライターの仕事を始めた。もちろんそこにはこれらの仕事への憧れもあった。

しかし、モデルの仕事はスケジュールが不安定だ。スケジュールの融通をきかせやすい執筆の仕事と組み合わせたらうまくいくという考えもあった。実はこの組み合わせはかなり現実的なことを考えた上で生まれたものでもある。

その頃は「パラレルワーク」という言葉も知らなかった。

ただただ、自分の憧れと、「スケジュールの融通をきかせたい」という現実的な思いだけで選んだ仕事と働き方だった。

私は結果としてパラレルワークになっただけの人間であり、自らなろうと思ってなった人間ではないということ。

そして結果として落ち着いたパラレルワークという働き方で、私は幸せを得た。

企業で副業が解禁され、私のようなパラレルワークという働き方も浸透し、さまざまな働き方が生まれている現在。

そんな世の中では、一人一人が自分にとって最適で最善の働き方を見つけることが、社会全体を豊かにするのだと思う。

ただ結果としてパラレルワークに落ち着いただけの私が、どうして従来の「一つの仕事を本業として取り組む」働き方を批判しようか。それで本人が落ち着くのであれば、それ以上私が何かを言うことはない。

私にとっては最適・最善の働き方がパラレルワークだったというだけ。従来の「一つの仕事を本業として取り組む」働き方が本人にとって最適・最善ならばそれもまた素晴らしい。

働き方の多様性が広がる中では、個々人に最適・最善の働き方を考えることが求められている。





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