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強い人

まさか過呼吸発作を起こすほど、自分が「応援」「共感」という言葉に嫌悪感を抱いていたとは思わなんだ。

「他人から応援してもらうためには共感が大事」

たまたま会話した相手のそのような話で、ミスコン時代の惨めさがフラッシュバックしてしまいそのまま動けなくなってしまった。

相手にしてみれば迷惑極まりない話で、動けないことに混乱しながらも相手への申し訳なさが頭の中をぐるぐる巡る。

なんとか自力で帰宅したものの実家に預けていた娘を迎えに行くこともできなければそのほかの世話も、夕飯の支度もできず、全てを夫に任せて横になるしかなかった。

「それでも」

あの「執筆活動をしている若い女」として都合よくちやほやされるだけで、その実全く相手にされていなかった屈辱を晴らすにはこうしてパソコンに向かうしかない。

夫に家のことを全て任せ、気力を振り絞り、いつも通りの作業をこなす。

「それでこそ」

そして夫は食事の際、私の頭をなでてくれた。

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