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インターハイ2024鹿児島県予選リポート②れいめい高校選手・監督コメント

2024インターハイ鹿児島県女子代表チームとして九州大会、全国大会に出場する「れいめい高校バスケットボール部」の3年生と松永真至人ヘッドコーチに話を聞きました。

キャプテン山下小春

部員投票でキャプテンに就任。「最初は不安だったが小学校中学校とキャプテンの経験もあり、今は自信を持ってやっている」と話す。プレーでは視野が広くなり、パスの範囲、距離が伸びた。チームで力を入れる3ポイントシュートは状況を設定して、パスから打つ練習を行う。攻撃を演出するPGとして「セットオフェンスも決まるようになり楽しい」と笑顔だ。県四冠達成を目標に掲げる。「九州大会で結果を出して、自信をもってインターハイに臨みたい。迫力のあるプレーで観客の皆さんに元気を届けたい」

副キャプテン濱田りこ

「1年生の時は、まだお客さん気分で」自分の良さや気持ちをチームに乗せられなかった。ケガから復帰した今年、プレータイムを着実に伸ばしてきた。鹿屋東中出身。「家族や鹿屋で応援してくれる人にガッツのあるプレーを見せて、後輩に勇気を届けたい」と頑張る副キャプテンだ。ケガの経験があるからこそ、悩みを抱えている選手の相談にのることも多い。「今の3年生はけっこうガンガン言い合います(笑)。オフェンスの爆発力を出して、波にのってインターハイに臨みたい」

孝 美空

コートに笑顔とエナジーをもたらす存在。「モチベーションアップリーダーとして、コート内での声かけ、各選手の表情を注意深く見ています。決して得意ではないけど拍手して盛り上げたり、意識してやっている」そうだ。「自分の調子が悪い時でもムードメーカーとして頑張りたい。相手にダメージを与える3ポイント」を狙う。

栗下羽瑠

苦しい場面でも表情を変えないクールビューティ。チームでは東郷と共に分析係を担う。「やるべきことを全員が理解して、攻めの意識を持ってプレーできたことが優勝につながった」とほほ笑む。れいめい中学校からの生え抜き選手で、大舞台の経験も豊富だ。「6年間の集大成、全国で結果を出してみんなで笑顔で終われたらと思う。自分の武器である3ポイントで流れを持って来れるようにしたい」

東郷朱莉

この一年でフォワードとしてめきめき頭角を現した。きっかけは「考え方を変えた」から。「以前は自分が上手くいかないと落ち込むタイプで、先生の話も素直に聞けなくなっていました。話をよく聞いて、周りに声かけすることで、自分も上手くいくようになった」という。「ケガで体重が増えていた分を減量し、動きにキレが出てきた。今はいろんなスキルを取り入れ、意欲を持ってプレーしている。トリプルダブルを達成したい」と、目を輝かせる。

吉井陽南

インハイ予選前はチームの不調、自分も不調で、それが表情に出てしまっていたと反省する。「自分の持ち味である泥臭いプレー、ディフェンス、リバウンドを頑張ることでチームに貢献したい」とチャンスをうかがう。「応援している人たちを笑顔にしたい」と、にっこり。

田畑友紗

昨年のインターハイ本戦前に膝蓋骨脱臼。ケガをした瞬間は「終わった」と絶望した。思ったより早く動けるようになったものの、本格復帰まで約1年かかった。「今は100%で動ける。いつ呼ばれてもいいように。リバウンドだけは絶対に取る」その準備はできていた。ケガをしている間、裏方の仕事をしたこともあり、精神的に成長できたかなと胸を張る。「全国に行くチャンスをもらった。自分のできるセンタープレイをして貢献したい」

松下七海

得点を量産し、勝利に導いてきた松下。常にチームの中心選手として活躍してきた印象だが、入部当初は不安もあったという。「ほかの部員は小学校中学校と、県のトップで活躍している子たち、と思っていたので。自分がその中に入れるのは楽しみでもあったんだけど、怖くて(笑)」現在、同じレベルでやれていることが嬉しいそうだ。「自分の強みはパワーとスピード。ディフェンスでも抜いてきた相手をヘルプアップでバチっと止めるのが好き。リバウンドを取る、ブレイクを出せるようしっかり走る。数字に残る部分、残らない部分、どちらも頑張りたい」と、頼もしい。

田中美妃

「3年生は最後という覚悟を持ち、下級生も伸びてきてチーム内の競争もある。質の高い練習が毎日できています」と充実の時を迎えている。昨年はスタートから外れ、シックスマンで出ることも多かった。「他のスタートメンバーは変わらずだったので、悔しい気持ちは大きかった」そうだが「バスケは個人スポーツじゃなくチームスポーツだから」と受け止め、再びスタートとして出られるよう、目標を設定して自主練習を重ねた。それが最終戦でのスリーポイントシュートにつながる。「朝練、昼休みの短い時間を惜しんでのシューティング。頑張ってきて良かった」と、実を結んだ喜びをかみしめる。最後にひとことありますか?と尋ねると「れいめいは最高です!」と満面の笑み。「中学の時はタイトルとは縁がなかったので。入学した頃は練習がきつくて、何度もやりたくないと思いました」とは意外!努力でここまできたことを、プレーで証明する。

松永真至人ヘッドコーチ

「プレッシャーはありました。連覇できて良かった」と安堵の表情を浮かべる松永HC。今季は県外チームが来校しての練習試合も増え、遠征では広島で開催されたモルテンカップにて決勝進出、実力校である広島皆実高と対戦した。「県外チームとも戦えるようになってきた」一方で、県内では結果こそ出ていたが、内容が良くないというジレンマもあった。

LINKのリズムトレーニング

インハイ予選まで一週間を切り、なかなかチームの調子が上がらないところで、講師を招きリズムトレーニングを行った。「リズム感はバスケですごく大事、心も高揚する。『バスケは楽しい』と、全員で気持ちを上げることのできるトレーニングでした」。バスケの動きを取り入れたリズム、ウォームアップを短時間のレッスンに凝縮。「川口千聡コーチがチームの目的に合わせてカスタマイズしてくれた。そのままゲームにつながるアップになっていて、試合前にこのルーティンを行うことでチームに落ち着きが生まれた。優勝は千聡さんのおかげ」と感謝する。

たくさんの準備をしてきたが、最終戦では動かなかった。「気持ちよくシュートを打つ、ハイポストにこだわりすぎない、一対一をしっかり守る。いつも通り、当たり前のことを言い続けた結果、うまくいきました」と振り返る。「立ち上がりの爆発力を安定して出せるようになった。ドリルをこなし、練習の成功体験をゲームに落とし込めたのが良かった。『いい選択』と思えるシーンが多かった」と、手ごたえを感じる一戦となった。

メンタルマネジメントも大切にしてきた。昨年に続き、大型連休に合宿を実施。「今年は迷いました。いろんないいチームと対戦できる機会があり、すごく迷ったけれど…やはり、自分たちの足もとを見つめ直し、心身を整えて臨もう」と決断した。「思い込みの力が人生を変えるぞ」と言い続けている。松永HCの信じるように「気持ちひとつでパフォーマンスも変わる」のが高校バスケの醍醐味だろう。

これからの戦いに「れいめいの未来がかかっている」との覚悟で臨む。「(2021年コロナ禍によるインハイ予選辞退を乗り越え、ウインターカップ出場を勝ち取った)岩下ふうかキャプテンの代を見て、入部してくれた子たちがいる。今年もそういう姿を見せられるように」と表情を引き締める。

若き指揮官として、就任2年目にインターハイ初出場を叶えた松永HC。今年で7年目となり、中堅の域へと差し掛かった。「いろんな先生方に勉強させてもらって今の自分がある。感謝の気持ちをもって、鹿児島のバスケットに還元したいと思うようになりました」との心境を語った。道はまだ半ば。選手と共に夢への日々は続いていく。


2024年6月
取材・文/泊 亜希子


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