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インターハイ2024鹿児島県予選リポート③男子優勝「県立川内高校」

第77回鹿児島県高等学校バスケットボール競技大会(全国・九州大会予選)男子決勝リーグ最終戦川内vs鹿児島工業までの道のりを川内・狩集キャプテンのコメントをまじえて振り返ります。

キャプテン狩集心翔

2023年のウインターカップ本戦では、最終盤に追いつきながらOT(延長)に突き放され、全国での一勝は本年に持ち越された川内。惜敗は手ごたえと悔しさの両方をチームに残した。2年時から主力として試合に出ていた3人を中心に新チームがスタート。「先輩たちが抜けた当初は練習で行き詰まったり、意見が合わない時が多かった」と振り返る狩集キャプテン。「コミュニケーションを取りながら練習を重ねて、新人戦を通して少しずつかみ合ってきた」という。3月の九州大会では福岡第一と対戦。全国王者に胸を借り、さらなる向上心が生まれた。「新年度になり、小栁くんなど力のある1年生が入ったことで上級生に危機感が出たと思う。練習の質が上がりました。1年生の宇都智晃くんがめっちゃ声出ししてくれるんですよ。チーム全体で声が出るようになった。自分がキツくて声出しできない時でも率先して声を出してくれて、本当に助かりました」

ふたつの決勝ゲーム

1月新人戦、4月南九州四県対抗予選、そして5月インターハイ予選。川内高校と鹿児島工業は三度、頂点を争った。新人戦では川内79‐54鹿児島工業で川内が優勝。優位に立ったかに思えたが、四県対抗予選決勝は手に汗握る一戦に。35-31とわずかにリードし前半を終えた川内だったが、後半に入ると鹿児島工業のディフェンスに攻めあぐね、逆転を許す。得点を重ねる鹿児島工業に対し敗色濃厚の最終盤、川内は残り1.9秒で得たフリースローを新村が2本とも沈め延長(OT)に持ち込む。OTも一進一退、残り1分を切り70-71と鹿児島工業が一歩前に出たところで川内最後のポゼッション。相手がゴール下を固めたところに、フリーになった鮫島がトップからスリーポイントを射抜いて逆転。土壇場での勝負強さを発揮して勝ちをたぐり寄せた。

「四県対抗の反省から3年生を中心に練習の質を改善して、いいムードでインハイ予選に入ることができた」と話す狩集キャプテン。ところがその初日。2回戦の試合で頭を打った狩集に脳震盪の診断が下る。翌日にはチームに帯同したが、プレーはドクターストップ。仲間を信じて見守るしかなかった。「決勝も正直不安がありました。代わりに入った(山口)蒼仁がリバウンドなど積極的にプレーしていた。ベンチで声かけしながら『頼んだぞ』と」祈る気持ちだった。

川内 vs 鹿児島工業

試合は両校のエースがマークを受けながらも着実に得点し、つづく選手も高い集中力でどちらもシュートを落とさない。3Q終わって50-50、まさに勝負は五分と五分の展開となる。

鹿児島工業・叶慈平がターンシュートを決める

4Qなかば、ディフェンス、リバウンドで体を張ってきた山口(蒼仁)が5ファウルで退場。態勢を整えて逆転を狙う鹿児島工業のタイムアウト後、川内は鮫島のスリー2本と大山の連続得点で8-0のラン。9点差をつけられたが鹿児島工業も退かない。残り40秒を切り70-68とワンポゼッション差に追いつめ、川内はたまらずタイムアウト。

鹿児島工業・木ノ下のスリーポイント
勝負どころで決めた川内・鮫島

両校とも死力を尽くし、チームファウルはボーナス状態。少しのミスも許されない緊張感のなか、鮫島の放ったミドルがネットを揺らす。川内の田中俊一ヘッドコーチも「勝負強い」と認める、クラッチシューターに成長した。73-71。奇しくも四県対抗の決勝と同じスコアで川内に軍配が上がった。

川内高校体育館にて

大会から10日。練習に復帰した狩集キャプテンに話を聞いた。「僕、試合に出てないですから」と自嘲するが、優勝はチームを率いるキャプテンの仕事があればこそ。「後で知ったのですが『キャプテンがいない時こそ、みんなで頑張ろう』と、メッセージを共有してたみたいです。初日に自分が出ていた時とは動きが全然違っていて、気持ちが入っているな」と、チームの変化を実感したという。「キャプテンとしてのプレッシャーはあります。練習がだらけてしまった時、キャプテンが引き締めないと、という責任感。去年のキャプテン山元獅土さんが上手くやっていたので、自分にできるかなと不安もあったが、チームのことは自分がやると決めた。ゲームにおいては(鮫島)颯介に頼む」と笑う。「自分たちは全国でまだ勝ったことがない。全国での一勝を勝ち取りたい。キャプテンらしく、最後全力で相手エースを止めたいと思います!」

④川内高校・選手のコメントに続きます。


2024年6月
取材・文/泊 亜希子

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