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観客動員数で振り返る 2023年の埼玉西武ライオンズ

 2023年9月27日、東北楽天ゴールデンイーグルスとの試合で2023年ペナントレースのライオンズ主催試合(ホームゲーム)が全て終了しました。2023年シーズン、ライオンズは71試合を主催して、合計1422853人、1試合平均20040人を動員しました。今年から声出し応援が復活、自粛ムードから解放され、ライオンズは2022年の観客動員数1212233人(主催試合72試合、1試合平均16837人)から数を増やしましたが、2019年にリーグ優勝を果たした時は1821519人(主催試合72試合、1試合平均25299人)を動員したため、コロナウイルス流行前と比べると観客動員に苦労しています。今回は様々な視点でライオンズの観客動員数について考えていきます。

①チケットの販売枚数を減らしている

 2023年シーズン、ベルーナドームの最大収容人数は31552人と公表されています。しかし、2023年にベルーナドームで開催されたライオンズの試合の観客動員数を見ると、おそらく、チケットは1試合最大で28000人分ほどの販売に抑えていると思います。

 その理由の1つとして、2017年のシーズンオフから2021年の開幕前の3年半に180億円を掛けて実施したベルーナドーム(当時はメットライフドーム)とドーム周辺エリアの大改修が挙げられます。外野の芝生席などの廃止により、2019年の32725人から1000人以上、現在は収容人数が減っています。

 もう1点は「そもそも収容人員とは何か」ということです。収容人員とは、「防火対象物に出入りし、勤務し、又は居住する者の数」と消防法で明記されています。つまり、収容人数に含まれるのは観客だけではなく、売り子さんや警備員さん、売店の店員さんなどドーム内で働く人、選手・監督・コーチ・球団のスタッフ・放送の関係者なども球場内に出入りをしているため、数に含まれます。そうなると、動員できる観客が28000人ほどになり、チケットの販売枚数を抑えているのだと思います。

②現地で観戦したい選手が減っている

 2019年にライオンズはリーグ優勝を達成しましたが、7月には5位になった時期もあり、8月の終わりにホークスとのゲーム差が2.5ゲーム差となるまでは優勝争いをしているわけではありませんでした。当然、優勝争いをしているほうが観客動員には繋がりますが、2023年にライオンズの観客動員が伸び悩んだ根本的な問題はそこではないような気がします。

 最近のプロ野球ファンの傾向として、推しの選手を応援しに行く人が多い印象を受けます。特に女性のファンの方の中にそのような人が多い傾向があると思います。ライオンズは多くの選手がFAで他球団へ移籍してしまうことが長年の課題になっています。これは戦力ダウンという意味でも痛いのですが、観客動員の観点から見ても、影響は少なくありません。2022年シーズン終了後に森友哉選手がオリックスバファローズへ移籍、WBCの試合中のケガで源田壮亮選手が2ヶ月間の離脱、山川穂高選手がプライベートのトラブルによってシーズンのほとんどを離脱、現地へ観に行きたい選手が減ってしまったことが観客動員数の伸び悩みに響いた部分はあったと思います。

 また、投手に関してはチームの軸として活躍している選手が増えているのですが、野手に関しては連覇を果たした時から新しい主力選手が出てきておらず、新規のファンを取り込めていない現状もあります。

③平日の観客動員数をどのように増やすか

 ライオンズのベルーナドームでの集客に関して、立地の関係もあり、どうしても平日の動員に苦労をしています。当日、仕事や学校が終わった後に来場をするのが難しいことや、ナイターでの試合の場合は帰宅時間が遅くなるため、来場を諦めるケースが多いことが考えられます。

 平日の観客数を増やすためにできる取り組みの1つとして、4月の(火・水・木)はデーゲーム開催を考えても良いと思います。平日のナイターは仕事や学校が終わった後に来場をするのが難しかったり、試合後の帰宅時間が遅くなるため、来場を諦めるケースが多いのであれば、その日が休みの人にターゲットを絞ったほうが観客動員数が伸びるかもしれません。現状、ベルーナドームでの平日ナイターはその日に予定がある人、その日は休みだが翌日に予定がある人、どちらの人も来場がしづらく、どっちつかずになっている気がします。

 また、4月のベルーナドームはまだ肌寒い日が多いため、ナイターよりもデーゲームのほうが観戦の環境が良いのもメリットです。

④実は休日も観客動員数が少ない日がある

 ベルーナドームでの試合のチケット販売数を28000人分と考えると、9割を動員すれば25200人になります。しかし、2023年の(土・日・祝)に開催されたベルーナドームでの試合で観客動員数が25000人を下回ったのが11試合、その中で20000人を下回った試合が4試合あります。特に7月の(土・日・祝)にベルーナドームで開催される試合は暑さ対策のため、ほとんどがナイターでの試合になるため、デーゲームであれば観戦ができる学生の集客があまり見込めず、観客動員数が伸び悩む傾向があります。2023年7月の(土・日・祝)にベルーナドームでは7試合が開催されたのですが、25000人以上を動員できた試合は2試合のみで、20000人を下回った試合は3試合あります。

 ライオンズの主催試合は現在、試合日ごとにチケット価格が変動する「フレックスプライス制」を導入しており、スーパープレミアム、プレミアム、スタンダード、バリューの4種類のカテゴリを設けています。(土・日)に開催されるグッズ配布日などの試合はスーパープレミアム、平日の集客が難しい試合はバリューというように設定がされているのですが、今後、7月の(土・日・祝)の試合に関してはカテゴリを今までよりも下げたほうが良いと思います。

 7月23日(日)に開催された東北楽天ゴールデンイーグルス戦はスーパープレミアムに設定され、来場者全員にユニフォームデザインフード付き冷感タオルの配布日だったのですが、観客動員数は15685人でした。グッズ自体は魅力があると思うのですが、スーパープレミアムのチケット代とのバランスを考えた時に来場を控えたファンが一定数いたのだと思います。それならば、グッズ配布がないとしても、チケットをバリュー価格で販売したほうが「休日なのに安く観戦できる」という特別感が出て良いと思います。以下はカテゴリ別の内野指定席S(大人)の前売り価格です。

◯スーパープレミアム
ファンクラブ会員5400円、一般6000円

◯プレミアム
ファンクラブ会員4500円、一般5100円

◯スタンダード
ファンクラブ会員3800円、一般4400円

◯バリュー
ファンクラブ会員3400円、一般4000円

⑤売れない座席に付加価値をつける

 プロ野球の試合のチケットは列のいちばん端の席、通路の前後の席から埋まる傾向があります。逆に出入りが大変な列の真ん中の席は最後まで残る場合が多いです。実際、私も同じ値段を払うのであれば、移動がしやすい座席を確保したいですし、自分がチケットを購入する段階でそのような席が残っていなければ、観戦を諦めることもあります。しかし、これは視点を変えれば、大きなビジネスチャンスだと思います。

 例えば、平日の観客動員が見込めない日があるとします。このような試合の列の真ん中付近の座席をバリュー価格のさらに半額で販売すれば、来場する人が増えるはずです。ベルーナドームは球場グルメが豊富で店舗数は12球団最大級を誇り、メニュー数は1000種類以上に及びます。極端な話、座席に座ってもらわなくても、球場の外周エリアを散歩しながら、グルメを楽しんで帰ってもらうだけでも良いと思います。幸い、ベルーナドーム内にはDAZNデッキなど、座席以外に休憩ができるスペースもあります。試合を観るだけがプロ野球観戦の価値ではないので、ぜひ、このような取り組みを検討して、多くの人が幸せになれる観戦環境を作ってもらいたいです。

 いろいろ書きましたが、私はライオンズの営業部はめちゃくちゃ頑張ってくださっていると思います。2024年、その頑張りが報われることを心から祈っています。


◯出典
・プロ野球Freak 埼玉西武ライオンズ観客動員数 2023年9月30日
https://baseball-freak.com/audience/lions.html

・LIONS BUSINESS 2023年9月30日
https://bellunadome.seibulions.co.jp/business/

・東洋経済ONLINE 西武ライオンズ「ドーム改修」で大胆な変貌の訳 野球観戦の楽しさだけではない施設の魅力演出 2023年9月30日(配信 2021年3月14日)
https://toyokeizai.net/articles/-/416460?display=b

・株式会社西日本防災ビジネス 2023年9月30日
https://www.nbs119.co.jp/syuyou.html

・埼玉西武ライオンズオフィシャルサイト ライオンズグルメ 2023年9月30日
https://www.seibulions.jp/gourmet/


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