みんな大好き お金の話/コピーライター、「お菓子屋さん」になる。#5
ライターの炭田(すみだ)です。
シフォンケーキづくりにハマり、期間限定で「自分のお店」を開くことにしました。このnoteでは、開業までのあれやこれやを発信中です。
今回のテーマは、嫌いな人はいないよね?
みんなが大好きな「お金」の話です。
開店準備に掛かったお金を、大・公・開。
私がお菓子の製造・販売を行なうのはシェアキッチンなので、お菓子づくりに必要なボウルやホイッパー、ゴムベラなど、あらかたの道具はそろっています。
設備に関しても、コンベクションオーブン15万円!とか、コールドテーブル10万円!とか、キッチンエイド(猫が入るくらいのデッカい泡立て器)5万円!とか、冷蔵ショーケース5万円!などは不要です。
※すべて中古での購入を想定したお値段。
また、販売するカウンターもそもそもがイケてる外観なので「施工業者さんのツテなんてないよぉ…センスもないよぉ…内装どうしたら…」みたいな悩みは、抱えずに済みました。
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そんなわけで、お店をやるぞ!と決めたものの「ポスター作ればいっか。支出はコピー代くらい?」とタカをくくっていました。ところがどっこい、お店を開くというのは、そんなに甘いものではなかった。
開店準備がほぼ10日しかないのに、毎日湯水の如くお金が出ていくわけです。
湯水の一覧はこちら!
※すべて税込表示、購入時の価格です。
※当日の売上は18,000円だったということを念頭にお読みください。(重要なポイント)
▼店頭まわり
・コイントレー/1,694円
初っ端からそんなに大したことない金額だなって思いますよね。でも私、この出費がいちばん衝撃を受けてですね。
冒頭の通り「そんなに買うものないよね~」と思いつつも、まずは頭の中で販売のシミュレーションをしたんです。お客さまがいらして、シフォンケーキを買って(うれしい)、お代をいただく。「あ、コイントレーいるじゃん」と。
で、手っ取り早く済ませようとDAISOに行ったら、とげとげの生えた真っ青なコイントレーがあって………なんかヤダ!!!!って(DAISOは悪くない、私がやりたいお店の雰囲気に合わなかっただけ)。
お店をやるということは、コイントレーまで用意が必要なのだと、この時はじめて気が付きました。
同時に「意外と出費が大きそうだぞ」という、嫌な予感も。予感が見事的中したので、noteを書いております。
参照:DAISOのとげとげ↓
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・コインケース100円&500円/220円
コイントレーの購入から分かる通り、初回の営業のお支払いは「現金のみ」でした。(次回営業よりPayPayでのお支払いが可能です!)
100円と500円、大量にないと詰む!と判断して、購入しました。昔、コミックマーケットで友人の本を売る手伝いをしたときに、お釣り用の小銭が足りなくなったほろ苦い経験が役に立つ日が来るとはね。(他のスペースにいる友人たちの元を駆け回って、両替をお願いした)
おかけで、お釣りが足りなくなる事態は回避できました。
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・値札用の黒い紙/540円、カードスタンド/1,380円、白いペン/196円
たとえ商品が2種類しかないとはいえ、商品には値札が必要。値段が分らない店 is こわくない?
黒い紙のサイズやら、ペンの書き心地やら、真鍮の質感やら検索してたら、買うまでに優に3時間は掛かりました。オーマイガー!
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・ブックスタンド/616円
ライターの友人が本を出したばかりだったので、宣伝に協力すべく店頭で「面陳」できるよう購入。今日DAISOに行ったら、100円で売ってた。切な〜い!
▼PRツール
・ショップカード印刷代/1,591円
自分のお店の紹介と、次回の出店に向けてアンケートをしたく、ショップカードを作りました。ウラ面のQRから飛べるアンケート、当日買ってくれた人はみんな答えてくれよな!カード無くした方はDM(Instagram、Twitter)もしくはメールでご連絡ください。URLお送りします。
※まだ3人からしか回答がないんじゃ。
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・ショップカード用スタンド/1,520円
こういうのもあった方が便利だよなーと思い、用意。素敵なんだけど、お店をやる時以外に使い道がない。どないしよ。
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・提灯二張り/6,600円
ずっと作ってみたかったので、この機会に。
お店やって良かった〜ルンルン♪ もうなんの悔いもない。
しかしこれも、普段は使い道がない。結婚式の時に作った、数々の手作りアイテムたちを思い出しました。玄関に飾ろうかな?
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なんと!ここまでの合計金額、12,663円です。
この時点で、当日の売上の7割以上を消化しています。想像を超えた出費……。
このあとにまだ1万円越えの大物が控えているので、赤字は確定。やだな~計算したくないなぁ~
▼お菓子づくり
・シフォンケーキ用紙型10個/1,331円
シフォンケーキをアルミ型から外す「型抜き」に自信がなかったので、紙をペリペリ剥がせば簡単に抜くことのできる紙型を購入。
「私に技術があればこの支出はなかったのに!」と涙したけど、結果として焼き上がったシフォンケーキの側面がキレイだったのでOK。
また、販売用に7台焼いたのですが、この時はアルミ型を1台しか持っていませんでした。ということは、6台アルミ型を買い足した方が高くつくな、と。
私が使っている浅井商店の「トール17cmアルミ型」はおひとつ2,420円×6台=14,250円になるので……!
型はつい買ってしまいがちですが(お菓子づくり好きあるある)、お店をやるならば「その商品をどのくらいのスパンで作り続けるのか」をよく考えてから買わねばな、と気付きました。
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・湯煎用のカップ(OXOシリコン製120ml)/1,100円
シェアキッチンにある計量カップがアルミ製(?)の銀色のもので、湯煎すると激アツになることが事前のキッチン利用で発覚。まさかの出費。
とはいえ、はじめはぶっつけ本番で販売用の商品を焼くつもりだったので(今思えばめちゃくちゃリスキー)、お試しでキッチンを利用してみてよかったです。
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・等分器/1,408円
シフォンケーキを、八等分できる補助ツール。
これまで勘で切り分けていたけれど、売り物のサイズに「大小」が生じるのは不味いと気付いて購入。こういう「趣味で作るなら特に必要ないけど、商売をするなら欠かせないもの」の出費がチリツモでのしかかってきました。
▼衛生用品
・食品用アルコール/956円
お客様のお腹を壊す訳にはいかないので、口に入っても安全で食品の現場でよく使われているドーバーパストリーゼを購入。名前もかっこいいし。
普段家庭で使ってる「キッチン用アルコール除菌カビキラー298円」に比べて、お値段3倍。シャアもびっくり……
・手指消毒用アルコール/1,281円
自分はもちろん、お客さま用に用意した方が安心いただけると判断し、購入。店頭で使う方はいなかったけど、用意しないという選択肢はないかなぁと考えたので致し方なし。
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・食品衛生法適合 使い捨て手袋(Sサイズ)/1,180円
食品対応の手袋、100枚単位でしか売ってない!!日課のかっぱ橋パトロールでも確認しましたが、少ない枚数のものは見つけられませんでした。
そして、私は女性の中では手が大きい方ですが「Sサイズ」がピッタリでした。ゴルフ用の手袋、メンズサイズなんですけどね(遥か昔、大学生の頃の体育の授業がゴルフでした)。
私より小柄で手が小さなお菓子屋さんに聞いたところ、「XSサイズ」を使用しているとのこと。メーカーによってもサイズ差が大きいようで、要確認ですな。
▼ラッピング関連
・ラッピング袋/610円
シフォンケーキって、包まないと売れないんですよね〜……。
なぜ私が作っているのは、そのまま手渡せる鯛焼きや今川焼きではないのだろうと。販売当日、半泣きになりながら包みました(ラッピングを手伝ってくださったシフォンケーキの師匠に感謝)。
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・シフォンカップ&平蓋/908円、使い捨てフォーク/550円
シフォンケーキを販売しているシェアキッチンのメンバーさんに相談して、プレーン以外に、生クリームとイチゴを添えた「カップ入り」の商品も用意することにしました。
ちょうどいい個数(1000個もいらない!)、サイズ(大きくても小さくても困る)を探すのも、これまた時間がかかって大変でした。
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・食品表示シール用の専用プリンター/15,900円
これが最大の出費。自宅にプリンターがないのと、とにかく時間がなくて文明の利器に手を出してしまった。シフォンケーキの売上のうち8割以上は、こいつの出費に消えた……。南無三!!!
以上です。
改めて書き出すとかなり多くて、途中で挫けそうになりました。「こんなにお金使ってたんだ」っていう。現実を見たくない。(ここまで書くのに3週間以上かかった)
さぁ、ここからがいよいよクライマックスです。
掛かった費用を全てを足します。足したくないけど、足します。せ~の!
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合計金額、〆て37,787円也。
当日の売上は18,000円だったので、19,887円の赤字です。
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なんとなく赤字だろうなぁとは思っていましたが、まさか2万円近い赤字になっているとは……。
しかも恐ろしいことに、この金額にシェアキッチンの利用料とシフォンケーキの材料費(小麦粉、牛乳、卵など)は含まれていません。秋にお店をするときは、菓子製造専門キッチン&販売スペースの利用料で、1ヶ月およそ7万円がかかります……。
シフォンケーキで7万円の売上を作るには、仮にひとつ300円として233個売る必要があります。月に4回営業予定なので、1回の営業につき58.25個。1ホールから8カット取れるので、7.28ホール。
失敗など加味して多めに8ホール焼いたとして、毎回完売してはじめて利用料分の元が取れる計算です。それでも材料費と、私の人件費は無し。
友人に冗談のつもりで「時給300円くらいかもw」などと言っておりましたが、そもそも賃金なぞビタイチ発生していなかった。
楽しそう!やってみたい!と勢いだけで始めてしまいましたが、「お菓子屋さんでマネタイズする」難しさ、厳しさを思い知りました。
……いやさ、ゆ〜ても今回の赤字は2万円じゃん。大人なら払える額だと思うじゃん。
実際お菓子屋さんの「開業」に関する本を読んだら「開業投資額1500万円」とか、目ん玉飛び出るお値段が載ってました。それに比べたら、2万円なんて微々たるもんです。
だけど、私は自分がライターとして独立した時にいちばん知りたかったのが「リアルなお金の話」なんです。
糸井重里さんではない、電通でコピーライターをしていたわけではない、なんかすごい賞を獲ったわけでもない。
でもちゃんと「書ける」腕はあって、ライターとして生きている人のお金の話を知りたかった。
インタビューの原稿料がいくらで、コピーライティングがいくらで、それは高いのか安いのか、なにを基準に仕事を選べばいいのか、月に何本書けばライターとして食えるのか。地に足のついたお金の話が聞きたかった。
糸井重里さんと私とは、レベルが違います。でもそれは優劣じゃなくて、事業規模が違うだけ。
そもそもチームで稼ぐのと、自分ひとりで稼ぐのでは、お金のかけ方も、生み出せる金額も違います。
それと同じように、開業資金に1500万円は掛けられないけど、お菓子の腕はあって、もっとちいさく自分の出せるお金の範囲で、ひとりでお菓子屋さんをはじめたい人だって沢山いるはず。
そんなスモールビジネスのお菓子屋さんの参考になればと思って、微に入り細に入り書きました。
次のnoteでは、こんな状況をどうやってサバイブするのか考えたいと思います。
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