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初開催なのに【想定の2倍】もの大入りとなった『森下・清澄白河ベイカーズマルシェ』を、運営目線で振り返る。

企画・運営として携わっている菓子製造専門シェアキッチンが、6月2日(日)に『森下・清澄白河ベイカーズマルシェ』を主宰しました。
お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。

集客は700人で御の字、1,000人で大成功と思っていたところ、2,000人近く集まりました。(詳細は集計中)

しかしです。
蓋を開けてみれば、初開催にも関わらず見渡す限りの人・人・人。開始1時間半で、全36店のうち半数の店舗が完売。3時間経つ前にはほぼすべての店舗が完売となりました。(イベント開催時間は、12~17時)

なお、出店者の最高売上は20万円。用意した商品の量にもよりますが、4万円弱~8万円を売り上げたお店が多かったです。

こう書くと成功ですが、実際は大混雑で、どこが行列の最後尾かもよく分からず、多くの「買えなかった」という残念なお声が届いているのが現状です。せっかく足を運んでくださったのに、ごめんなさい。

当日までを振り返りながら、

  • 初開催にも関わらず、どうしてこんなに集客に成功してしまったのか。

  • 次回に向けて、どうすればいいのか。

を考えて、次回以降の開催に活かせたらと思います。

(※私たちは集客しすぎてしまいましたが、【イベント集客したい方】のお役に立つnoteにもなっていると思います)




夏場でもお菓子が売れる「場」を作りたい

まずはじめに、どうしてシェアキッチンが『森下・清澄白河ベイカーズマルシェ』を開催することになったのか、その経緯です。

・ちいさなお店は、夏を越すのが難しい

お菓子業界は、夏になると売上が落ちます。「母の日」が終わり段々と暑くなる5月から、「ハロウィン」が盛り上がってくる10月までの期間は、売上が厳しい業界です。(クリスマス前後からバレンタインが超!繁忙期)
最近は色々なパティスリーがかき氷スムージーなど夏メニューを売り出すなど工夫はしていますが、それでもシェアキッチンで活動しているような小規模事業者(たいていお一人で活動している方)にとっては、夏を越せるか否か、は自分のお店を続けられるかどうかの分かれ目になります。
せっかく美味しいお菓子やパンを作っても、売れないと利用料が払えないので、夏を越せずにシェアキッチンを「卒業」してしまうお店も……。

・マルシェという「売れる場」の提供

そこで、『ベイカーズマルシェ』に来れば、とびきり美味しいお菓子とパンが食べられるという認知をとって、マルシェ自体をアピール。定期的に開催していくことで、売上の下がる夏でもしっかり集客を見込める「場」に成長させていきたいと考えてマルシェを企画しました。
4年前から温めていた企画ではあるものの、コロナやらなんやらで、去年の冬から少しずつ形に。まずは、夏本番が来る前に一度やってみようということで、今回が初開催でした。



……が、初回から目論見が当たりすぎて、当日は大行列に。マルシェ終了後、企画協力のHIGH FIVE AGENCYさんと一緒に当日までを振り返り、その理由を考えてみました。


【想定以上】に人が集まってしまった7つの理由

(1)売れ残るリスクに備え、告知を頑張りすぎてしまった

⇒シェアキッチンで活動するメンバーさんたちは、常に「売れ残り」と戦っています。毎日オープンしているお店と違い、余っても翌日に持ち越すことが難しいからです。(もちろんECで売ったり、賞味期限の長いお菓子を作ったりと、工夫している方もいます)
そんな事情を知っているからこそ、すべてのお店が完売できるように! と告知を頑張りすぎてしまいました。

結果、完売するほど集客できたけれど、すぐに商品が売り切れてしまい、買えなくてガッカリというお客様を増やしてしまいました。これが人が集まった最大の理由です。
出店者さんたちともお話しましたが、商品数の読みは本当に難しく、次回以降も課題です。(ひとりで作っているお店がほとんどなので、量産も難しいのです


(2)天気が悪いので客足を懸念して、近隣の江東区、墨田区以外にもInstagram広告を打った

⇒マルシェの開催された週は、当日の天気予報を見るたびに晴れになったり、雨になったり、雷になったりと不安定なお天気が続いていました
前日の土曜時点で、日曜15時以降のお天気が崩れることはほぼ確実。そこで、客足を心配したシェアキッチンのオーナーが「前日にそれまで地元の江東区、墨田区エリアにしか打ってなかったInstagram広告を、中央区、世田谷区、渋谷区まで広げてしまった……」とのことでした。
遠くから時間とお金をかけて足を運んだのに売り切れていたら、そりゃあガッカリするよなぁと一堂反省しきりです。天気と客足とどう向き合うべきかは、イベント主催をよくする方にも意見を聞いてみたいところです。

※ちなみに、2023年の10月頃からマルシェの企画は進んでいて、本当は春のうちに1回目を開催したかったのですが、諸般の事情で6月開催となりました。


(3)読売新聞の首都圏版で掲載されたことで、Instagramを使わないお客様にもリーチできた

PRタイムズ経由で、読売新聞の記者の方からご連絡があり、新聞で『ベイカーズマルシェ』のことを紹介いただけました。当日、新聞を見て来たというシニアのお客様が何人もいらしたので、幅広い年齢層の方に知ってもらうきっかけとなりました。新聞ってすごい。

5月22日(水)の読売新聞首都圏版


(4)チラシ2,000枚をポスティング&商店街に掲示して、開催1週間前には「地元の人は大体知ってる」状態にした

⇒企画協力のHIGH FIVE AGENCYさんは、イースト東京で最大のコーヒーフェスすみだコーヒーフェスティバルを運営しています。今回『ベイカーズマルシェ』が行なわれた森下・清澄白河エリアも地元ということで、コーヒーフェスで既に大活躍してくださっていたボランティアさん達と一緒に、地元のお店、公民館、学童、まちづくりに関わりのある方の事務所などにチラシ2,000枚を配ってくださいました。
これにより、森下・清澄白河エリアに住む方たちは、開催1週間前には「6月2日に焼き菓子とパンのマルシェをやるらしい」と、ほぼ知っている状態に。運営メンバーは、学童やスーパー、商店街などあらゆる場所で「マルシェ楽しみにしてます」と声を掛けていただきました。

商店街のチラシ、10mおきに貼ってありました


(5)雨天決行できる仕組みを用意していた

⇒お菓子やパンの「売れ残りリスク」を考えると、6月の開催とはいえ「雨なので中止です」というアナウンスは、なるべく避けたいと考えました。そこで、あらかじめ大きなテントをレンタルし、雨の場合はテーブルの位置を下げて、テントの中を人が通れる配置にしていました。
これにより、当日の夕方から雨予報でしたが、マルシェを決行をすることができました。

ただ、会場近くでやっていた地元の大きなお祭り、深川美楽市(ふかがわびらくいち)は当日朝に雨を懸念して中止となったので、その人出が流れてきたのも、来場者数が増えた要因のひとつかもしれません。



(6)ポスターやテントの雰囲気が個人レベルのマルシェではないクオリティで、期待感が高まった

⇒自分たちで言うのも恥ずかしいのですが、建築家、デザイナー、ライター、イベント企画会社で作り上げたマルシェだったので、クオリティが高い印象だったのかな、と思います。
それにより期待が高まり、足を運んでくださった方もいたようで、色々な方に「おしゃれ」「素敵」と声を掛けていただきました。

実はポスターの絵柄は、AIを活用して予算・デザイン面をカバーしたのですが、お菓子業界の方に「柴田書店のカフェスイーツみたいですね♡」と言われて、なるほど!! と思いました。なるほど。↓


あとは、テーマカラーの黄色をうまくあしらうことで統一感が出ました。
焼き菓子とパンといえど、お店ひとつずつで商品は違うので、ごちゃっとした印象にならずに良かったと思います。

ちなみに『森下・清澄白河ベイカーズマルシェ』というネーミング、「焼き菓子とパンが集まる日。」というキャッチコピーは、私が担当しました。(コピーライターなので)


(7)デパートの催事の影響による「お菓子イベント」の盛り上がり

⇒ここ数年、デパートでのお菓子やパンのイベントがどえらい盛り上がりを見せています。今年の名古屋タカシマヤのバレンタイン催事、『アムール・デュ・ショコラ』の売上は41億円。ブルゾンちえみさんもびっくりの金額です。(35億)
直近で、新宿伊勢丹の『マ・パティスリー』や、横浜そごうの『クッキー博覧会』なども行なわれているなど、「お菓子イベント」が身近になった結果、初開催のマルシェだったけど多くの来場があったのかな、と思います。


以上、初開催にも関わらず予想以上に人が集まってしまった理由を考えてみました。


シェアキッチンconatoのある「高橋商店街」を盛り上げたい


今回、足を運んだのに「買えなかった」というお声をいただいたと冒頭に書きました。(せっかく来てくださったのに、本当にごめんなさい)

一方で、地元の住民の皆さんや商店街の方たちからは、有難いことに「高橋商店街がこんなに賑わっているの、はじめて見た!」「ぜひまたやってほしい」と、多くの喜びの声もいただきました。髙橋商店街、普段はそんなに人通りがないんです……。

今回『ベイカーズマルシェ』をしたことで、直接参加していない周辺のお店もお菓子やパンが売り切れたり、カフェが繁盛したり、私が大好きな韓国料理のソウル市場』のカルビ定食が売り切れたりと(ボランティアさんにお聞きしました)、至らない点だらけでしたが地元の盛り上がりには貢献できたのかな、と思います。

ちいさなお店がその事業を続けていくには、今回のような一過性の売上ではなく、継続的に応援してくださるお客様が必要です。
お店をはじめてしばらくは、家族や友人が買いに来てくれるかもしれませんが、それも半年かそこらです。シェアキッチンで末永く、健やかにお店を続けられているのは、贔屓にしてくれるお客様(=ファン)がいる人たちです。
せっかく今回、高橋商店街と地元の皆さんとご縁ができたのだから、お互いに応援しあって、地域に馴染んでいくような活動につながっていけば嬉しいな、とシェアキッチンを運営する一人として思います。


最後に。「ベイカーズマルシェ」に込めた想い


『ベイカーズマルシェ』は、作り手たち(ベイカーズ)を応援したい。
お菓子とパンが好きな方に、素敵な作り手の皆さんのことを知ってほしい。
そんな想いで『ベイカーズマルシェ』と名付けました。

今回は大混雑でぎゅうぎゅうで、作り手の皆さんと全然お話できなかったと思います。なので、お祭りのような規模での開催は時々、普段はもうちょっと作り手と買い手の皆さんが交流できるような規模がいいのかな、と考えています。
そのためにも、宣伝は「地元」である森下・清澄白河エリアを中心にして、頑張りすぎない。参加店舗も減らして、ひとつずつのお店をしっかり紹介して、その魅力をお互いに伝えられるように。
ただ美味しいお菓子やパンが食べられるイベントではなく、こだわりや想いが伝わる【人】が主役のマルシェにするのが、私たちの目的(=夏場でも売れるマルシェを作りたい、髙橋商店街を盛り上げたい)につながるのかな、と思います。

シェアキッチンをはじめ、今回参加してくださった「ちいさなお店」のお菓子やパンは、ひとりで製造から販売まで行なっているお店がほとんどだから、味はもちろん、材料やラッピングまで、作り手の「これが好き!」が詰まっています。

次のイベントは、そのこだわりを直に感じ取っていただけるようなものにしたいです。次回以降の『森下・清澄白河ベイカーズマルシェ』に、ご期待ください。

▼シェアキッチンでは「WEBメディア」も運営しています!
作り手の皆さんが、その想いやこだわりを日々発信中です。お一人ずつのお菓子や活動、人となりを知っていただけたら、きっともっとお菓子を食べるのが楽しくなると思います。

CONEL(コネル)/お菓子の作り手とお菓子が大好きな人たちをつなぐお菓子メディア


▼今回のマルシェに出店された方のインタビューも、是非ご覧ください◎
個性あふれる作り手の皆さんをインタビューしています。資金集めのためにフードデリバリーに精を出したり、自家栽培した人参でキャロットケーキを作ったり、嫌いなはずのローズマリーであえてお菓子を作ったりと、どなたのエピソードも本当に面白いです。
( )内は、そんな皆さんの「いちおし」商品です。

モモフクベイクショップ(ローズマリーオートミールクッキー)
くま農園(キャロットケーキ)
ERI ORDER MADE CAKE(マロンパイ)
Riz Lie Amande(シューアマンド)
L’atelier de TAKAKO(和三盆プリン)
ハトマメ(凪 ‐山食‐)
chantilly(シフォンケーキ)
BLANKET BAKESHOP(ダークチェリーのマフィン)
プティラヴァン(かめさんクッキー)



ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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次の「ベイカーズマルシェ」に、ご期待くださいませ!!!


ご来場ありがとうございました!!

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