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あんた、その検索結果は正しいんか?

学生時代、学校の図書館でLDレーザーディスクを鑑賞しました。DVDでもなく、ブルーレイでもなく、LD。通称、エルディーです。学校図書館にはLDとLDプレイヤーが完備されていました。当時のハイテク機器です。

ちなみに、当時のカラオケではLDが最新機器。今では信じられないかもしれませんが、カラオケは1曲200円、世間ではバブリーダンスがリアルタイムだった時代の話です。

その日に観た映画は、ハリソン・フォード主演のサスペンス映画「推定無罪」。そう、「止まり木にあのハリソンフォード♪」の、あのハリソン・フォードです。映画の結末が衝撃的だったので、30年経った今でも覚えています。最後だけ。

ネタバレになりますが、あなたにだけにコッソリお教えしましょう。結末は……推定無罪でした。タイトルのそのまんまでびっくり。判決は「無罪」だったのですが、どう考えても、やっちゃってるんです。

はっきりさせてほしい。

きっと、「推定無罪」を観た人はほぼ全員がそう思ったことでしょう。もやもやが残りましたが、逆に「うまいなあ」と思いました。犯人には違いないのですが、それを見せないところがなんとも。

実際、最後の最後まで「無罪」だと信じて観ていたのですが、最後のシーンで
「おまえ、やっぱやってるやんけ!」
となります。しかし、もう無罪が確定した後。自分の中に目覚めた銭形のとっつぁんのような正義感が、もやもやをさらに加速させる内容でした。


推定正解

インターネットが普及し、昔の映画も簡単に観られるようになりました。便利な時代です。もし、「推定無罪」が気になった方は、ぜひご覧ください。もやもやを共有しましょう。

インターネットは本当に便利です。わからないことは検索すればすぐに教えてくれます。ハリソン・フォードが現在81歳だとか、「推定無罪」が1990年公開の映画だとか。

検索エンジンの有能さが光ります。しかし、じつは検索エンジンやAIにも正解がわからないことがあるらしいのです。つまり、「推定正解」

あなたも、もやもやしたことがあるのではないでしょうか?

その検索結果は本当に正しい?

私が初めてインターネットを利用した頃には、検索エンジンよりもランキング記事の方が有能でした。ランキングほど疑わしいものはありません。そう考えると、現在の検索エンジンは優秀です。

アルゴリズムは日々アップデートされ、有能で優秀で信頼できるドカベンのような頼れるアニキになりました。

検索エンジンのアルゴリズムは、インターネット上の記事に順位付けをするものです。ただし、アルゴリズムの中身はブラックボックスのため、どのように処理されているのかは誰にもわかりません。

誰にもわからないのですが、検索エンジンのユーザーが取った行動によって順位付けを行なっていることだけは確かです。

具体的な例で考えてみましょう。

検索エンジンのアルゴリズムはどうなってる?

ユーザーは検索して表示された一覧の中から、タイトルや記事概要が心の琴線に触れたときにクリックして記事を読みます。もし、開いた記事に知りたい情報が掲載されていないと感じたら、すぐに記事を閉じて離脱するでしょう。

記事から離脱したユーザーは、次の記事を読んだり、新たなキーワードで検索したりします。

アルゴリズム君は「あっ、この記事は気に入らんかったん?このキーワードの答えにはなってないんかなぁ……」と思うわけです。

その結果、ユーザーが最後まで読んで満足できた記事を、アルゴリズム君的には「うん、この記事は信頼できる内容やろ?」と胸を張って主張します。その後、ユーザーの行動パターンから判断して、検索順位に反映させます。

ここで考えてほしいのですが、アルゴリズム君の判断基準はあなたが最後まで読み、満足できたか否かです。記事が正しいか否かではありません。

騙されてませんか?

検索している人は答えを知らないから検索しているわけで、検索結果上位に表示された記事が正しいか否かは判断できないわけです。したがって、あなたがうまく言いくるめられ、説得させられれば、アルゴリズム君も納得。読者も納得。記事を書いた人もウッシッシ……の三方ウッシッシです。

「ぶっちゃけ、記事の内容が正しいかどうかなんてどうでもいいんよ」

悪意に満ちたアルゴリズム君の心の声が聞こえてきます。あなたはきっと、もやっとしていることでしょう。

ファクトチェックできてませんよね?

前回、ファクトチェックが厳しいクライアントについて書きました。

そのファクトチェックは、本当に正しいの?あなたも感じたことがあるでしょう。誰かがインターネットに書いたことが正しいかどうかなんて、誰にもわからない……こともあります。

たとえば、ダイエット。

ダイエットの答えは
「食べるな!運動しろ!以上!!」
が正解です。それ以上でもそれ以下でもありません。実際、かの有名なライザップでも、メインは食事制限。結果にコミットするには「食べるな」が正解なのです。

しかし、検索ユーザーは違う答えを探し続けます。自ら進んでラビリンスに迷い込むのです。

「いやん!食べながら痩せるダイエット法あるやん!!」

と。
あんた、その方法で痩せられたんか?
と、二重顎の自分に問いたい。

ダイエット以外では育毛業界も怪しさ満載です。現在の医療では、AGAは治療するしかありません。しかし、正しい検索ワードを知らなければ、本当の情報にたどり着けない仕組みになっています。

調べれば、育毛剤やシャンプー、マッサージでは毛が生えない事実に気が付くでしょう。しかし、多くの検索ユーザーは正しい情報までたどり着けません。

結果として、「感じる成長」「モンドセレクション」「多くの人に選ばれています」「100%返金保証」などのキャッチコピーを見て

「この育毛剤はすごいぞ!これで来月くらいにはボーボーや!!」

と、ほくそ笑んでしまうのです。しかし、現実はそれほど甘くはありません。ほくそ笑んでいるのは、業者側だけ。そして、あなたが気付くのは、返金保証が切れた半年後という未来が見えます。

あんた、その育毛剤で髪は生えたんか?

じつは、こういった業界では本当のこと(ファクト)を隠して記事を書いている人が少なくありません。嘘を書けば罰せられるし、本当のことを書けば企業やアフィリエイターが儲からないからです。

薬機法が厳しくなればなるほど、騙される人が増えるというジレンマ。もはや負のスパイラルは誰にも止めることができません。

しかし、そろそろ事実を受け入れるべき頃合いではないでしょうか。検索ユーザーが最終的に得た情報が本当に正しいのかどうか、検索エンジンには判断できないのです。

つまり……

ユーザーが検索結果に満足した ≠ 正しい答え

の図式も成立すること。正しい答えではないはずですが、検索エンジンからはなぜか高得点が獲得できます。

推定正解に騙されるな

刺激を与えても髪は生えません

推定正解をファクトと考えるのは間違いです。多くの事象はファクトでしょう。しかし、中にはファクトではない情報も含まれています。

記事を書いていると、ファクトチェック、ファクトチェックと言われるかもしれません。上記のように、「企業サイトだから正しい情報だ」と簡単に信じてしまうのも間違いです。

本当のファクトチェックとは何でしょうか……

最近は厚生労働省の情報すら、以前とは表現や文言が書き換わっていることがあり、怪しさ満点です。日々、ファクトは変わっていくのかもしれません。

あなたは今、こう考えているでしょう。

この記事自体、疑わしいのだが……

信じるか信じないか。それはあなた次第。

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