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約3年ぶりに訪れた元職場。そこで待っていたのは、退職しても帰って来られる場所と人だった。


仕事をしていて嬉しかったこと。
私にとっては、人との出会いだと思う。
フリーランスでも、前職でも人との出会いがあってこそ仕事を続けられたと感じている。

今回は約3年ぶりに元職場を訪れて嬉しいことがあったので、そのことを書いてみようと思う。

「この人たちとなら頑張れそう」と思えた職場

ライターになる前に働いていたのは、百貨店のとある売場。
社会に出るのが不安すぎて新卒で就職できなかった私が「この人たちとなら頑張れそう」と思い、アルバイトからステップアップして就職した場所だった。

接客という仕事自体はそれほど上手くいかなかったし、自分からお客さんに声をかけるのは苦手。
それでも、職場の人たちの親身な支えもあり楽しく働けていた。

ただ、一生この仕事を続けるのは難しいかもしれない。
働いていくうちに接客業が適職ではないと感じ、キャリアチェンジの必要性を感じていた。

未経験からフリーのWebライターになることを決意した私は、本当の退職理由を告げず「転職先が決まった」というていで退職した。

退職する者の罪悪感

退職した時、新しい挑戦にワクワクしながらも罪悪感があった。

それは、本当の退職理由を隠したから。
未経験からフリーランスへ転職だなんて、無謀すぎる挑戦を話すわけにはいかない。心配されてしまうかもしれない。

加えて、職場の人員不足も心配だった。
自分が働いていても「人足りない!」と思っていたのに、自分がいなくなることの申し訳なさ。
同時期に別の売り場への異動が決まった人もおり、人員不足は深刻だった。
おそらく元弊社の意向を加味すると、新規の人材採用はなさそう。

自分のキャリアのために頑張りたい一方で、少しの罪悪感。
職場の人たちは好きだっただけに、明日から困らせてしまうと思うと申し訳ない気持ちになった。

いつか、菓子折りを持ってご挨拶に行きたい

そんな罪悪感を持ちながら「フリーランスとしてやっていけるようになったら、菓子折りを持ってご挨拶に行こう」と思っていた。

フリーランスに転身して3年が経った2024年。
元職場だった百貨店が大規模な改装のためクローズするらしい。
もちろん、閉店したらお世話になった方々にはもう会えない。

「最後に顔見せておきたいな」と思い、3年ぶりに訪れることにした。

とはいえ3年も経っているから、私のことなんて忘れているかもしれない。
髪は当時より10cm以上伸びたし、服のテイスト変わったし……筋トレ好きを謳っていたのにちょっと太ったし。

不安を抱えつつ来店

不安を抱えつつ来店してみると、知っている方が1人見える。
よかった。知っている人がいた。……とはいえ1人。
もしかしたら、みんなや異動や退職で居なくなってしまったかもしれない。

恐る恐る声をかけてみると、私のことを覚えてくれていた。
話を聞いてみると、退職した人や他の百貨店に移動した人、部署が変わった人などさまざまだった。

「〇〇さんは、今・・・?」特にお世話になっていた方のことを訊ねる。
「ああ。午後になったら来るよ」と答えてくれた。

よかった、まだ働いているようだ。会えることに一安心した。
午後になったら再び来ることを告げて、しばしウィンドウショッピングを楽しむ。

そういえば、菓子折りのことをすっかり忘れていた。
よくお煎餅とか、クッキーとかもらったな。
せっかくだから何か持って行こう。

こうして午後になり、再び来店。
無印良品の「塩チョコスティックパイ」を持参して。

3年を経て、菓子折りを渡す

「**くん!元気にしてた?」(私は女性だが、君付けで親しまれていた)
お世話になった〇〇さんは、想像以上に歓迎してくれた。

「これ(塩チョコスティックパイ)美味しいよね〜」
菓子折りも喜んでいただけたようで、安心する。

「今どんなお仕事しているの?」と聞かれる。
「フリーでWebライターやっています」と、恐る恐る当時は言えなかった退職後のことを話した。

〇〇さんは「すごいじゃん!」「全部自分でやっているの?」と興味津々で聞いてくれた。
こんなに興味を持っていただけるとは思っておらず、素直に嬉しかった。

仕事をしていると大なり小なり、苦しいこともある。
「私このままで大丈夫かな」とか思う時もある。
それでも、こうして今の仕事で元気にやっていると伝えられたこと、それを歓迎してくれることが嬉しくて「これからもライターとして頑張って行こう」という活力をもらえた。

迫る閉店、集まる元従業員

売場をあとにするとき、この売場がいつ閉店するか教えてくれた。
「退職した人が何人か来るかもしれない」と。

クローズ当日は忙しそうと思い、その前日に再び来店。
今度はヨックモックの「シガール」を持参して。

いざ着いてみると、なんと退職した元従業員が複数名来店していた
会いたかったあの人も、この人もいる。

残った従業員を労うため、他の方も揃って菓子折りを持参していた。
私の菓子折りも並んで置かせてもらった。
「さあ、**くんもお菓子もらっていって!」と、なぜか私もお菓子をもらう。

会いたかったみなさんに会い、今のことを話したり昔を懐かしんだりする時間は嬉しくて、温かい時間だった。

退職しても何人もの元従業員が帰ってくる職場って素敵だな、と思う。
それは、働いている人ありきなんだろう。だからこそ、また会いたくなる。
そんな売場の一員として働けていたことが嬉しいし、誇らしい。

閉店しても退職しても、人とのつながりは続く

「売場のお別れ会やるんだけど来ない?」
そろそろ帰ろうかという頃、声をかけてもらった。びっくりした。

というのも、私が退職したのは2021年。
がっつりコロナ禍で、送別会をするわけにはいかなかった。
まさか3年を経て売場のお別れ会に参加することになるとは。

元職場を訪れて良かった。
退職しても、道が分かれても人とのつながりが続くことが嬉しい。
今月、元職場は閉店してしまった。
それでも、人とのつながりは続く。

そんな経験を糧に、今の仕事でのつながりも大切にしていきたいと思っている。

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Discord名:ななみ
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