地方移住で転職失敗、フリーランスを選んだ私の話。
私が会社を辞めてフリーランスになったのは2019年。当時フリーランスの道を選んだ理由は「転職活動をしたくない」という消極的な理由でした。
大した準備もせずにフリーランスになったので大変な時期もありましたが、結果的にフリーランスの道を選んで良かったと思っています。
今回は、地方への移住と移住先での転職に失敗したこと、そしてフリーランスの道を選んでからの話をお伝えします。
結婚して富山県に移住、転職活動スタート
2017年、私は結婚を機に富山県へ移住することを決めました。夫の仕事にあわせて、私が仕事を辞めて一緒に暮らすことにしたのです。
私は群馬県高崎市で生まれ育ち、その後栃木県宇都宮市→埼玉県さいたま市に移り住んでいます。何回も引越しをしていたこと、ずっと地方都市で暮らしていたことから、富山県への移住も特に抵抗なく決断することができました。
以前は都内の不動産会社に勤めていました。全国にいくつか支社はあったものの、北陸地方にはありません。富山に移住するなら仕事を続けられないので、退職することになりました。
私は退職前から大手の転職エージェントに登録し、転職活動を開始しています。しかし、思うような求人がなく、富山県に移住してからもハローワークを利用して転職活動を続けました。
私がこれまで経験してきたのは営業職でしたが、転職では事務職を希望。できれば自分のスキルアップにつながる仕事が良いと思っていたので、以前から興味があった総務・経理の仕事を探していました。
事務職は未経験だったため、条件的に不利だろう。とにかく応募しまくって採用をつかみ取ろう!と求人を探していました。
しかし、事務職の求人自体はあるものの、一般事務ばかり。総務・経理の求人はほとんどありません。選択肢がなかったので、総務・経理に絞って応募することにしました。
何社かの面接を経て、住宅メーカーの総務部への採用が決まりかけました。私が教員免許を持っていたことから、採用関係で人前に立つ仕事などが伝えられ、新しい仕事に挑戦できる!とワクワクしていました。
しかし……最終的に代表から伝えられたのは、総務部とはまったく違う部署への配属でした。
「君はこれまで不動産会社で働いていて、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・FPの資格もある。不動産部に配属だ!」
は???
面接での総務部長とのやり取りは何だったのか?
その後、不動産部の仕事内容を聞き、悩みましたが面白そうな仕事だと思ったので不動産部で働くことに決めたのでした。
建売住宅用地や住宅展示場の土地、新規出店用地などを仕入れて契約する仕事。不動産会社で働いていた頃とは違う不動産の仕事だったので興味を持ったのです。
正直なところ、当時は転職活動に疲れて判断力が鈍っていたと思います。総務・経理の求人は見つからないし、かといって一般事務には興味がない。不動産会社の営業職はもうやりたくない。
求人がない中での転職活動はもう嫌だ!また探し直すのもめんどくさい!希望していた職じゃないけど、ここで決めてしまおう!
今から思えば、妥協するような決め方が転職失敗につながってしまったと思います。大反省。
転職失敗。ハラスメントと退職の決断
配属先の不動産部は、営業が1人いるだけの部署。私はその営業マンの部下として配属されました。
この上司がかなりのくせ者で、人との距離感がおかしい。私が部下という立場上、強く拒めないことをいいことに色々と嫌なことをされました。
たとえば、上司の車で同行した際は食事に行かないと帰宅させてもらえなかったり、何度もいらないと言っているのにプレゼントを渡してきたり(受け取るとお返しを強要される)。
「お弁当を持参しているのでお昼は社内で食べます」と食事の誘いを断ると、私のお弁当を食べてしまうこともありました。「お弁当がなくなれば俺と食事に行けるんだよね?」という考えのようでした……。
さらに、壁際にいると体を押し付けて密着させてくることもあって、嫌すぎて女子トイレに逃げ込むこともしばしばありました。
他にも、私の体を指でツンツンしてきたり、手をつなごうとしてきたり、嫌がると私の服を引っ張って離さなかったり。
「ほっぺツンツンの刑をするよ~!」と言われたときは、気持ち悪すぎて女子トイレに駆け込み泣いてしまいました。
何度もはっきり「やめてほしい」「嫌だ」と伝えているのに、まったく通じない……。とにかくしつこい。
ストレスをため込む毎日。そんなある日、事件が起こりました。
「この女は不倫している」という内容の紙を私の車のフロントガラスに貼られたのです。
上司と私が2人でいるところを目撃した誰かが誤解して、嫌がらせをしたのでしょう。
「業務だから」と言われて嫌々同行しているのに、なんでこんな嫌がらせを受けなければいけないんだ……。
怒りと悔しさで涙が止まりませんでした。
ちなみに、上司に直接「こういった貼り紙をされたので、今後は自分の車で目的地に向かいます」と伝えたのですが「2台で行くのは効率が悪いし、駐車場の問題もあるし困る。お前は俺に指示する立場なのか?」と返されてしまいました。
会社にも報告しましたが「何か問題なの?上司くんの指示に従いなさい」と言われ追い返されました。さらに、貼り紙のことを同僚に話すと手を叩いて笑われたので、それ以降誰かに相談するのをやめてしまいました。
ハラスメントが1年以上続き、我慢の限界に。
本当に気持ち悪すぎる。しかし、上司のせいで私が仕事を辞めるのは納得いかない。会社の上層部に口頭で話しても、おそらく何も進展しない。
そこで私はこれまでの出来事を文書にまとめて会社の上層部に提出したのでした。
結果は……完全無視されました。
その後、労働局や警察署に相談。会社と話し合いができればと思っていたのですが、会社側は「外部に相談したこと」が許せなかったようです。
グループ会社の一般事務への異動を伝えられ、納得できなかったので退職することにしました。
転職ではなくフリーランスの道へ
話は前後しますが、退職を考え始めた頃から副業としてWebライターを始めました。
20代での転職回数を増やしたくないこと、選択肢が少ない中での転職活動をしたくないことから、「自宅でできる仕事をしたい」と思うようになったのがきっかけです。
副業を始めた時点では「フリーランスになりたい」とはまったく考えていませんでした。しかし、続けていくうちに「フリーランスになってもやっていけるかも?」と手ごたえを感じるように。
会社に所属する働き方に嫌気がさしていたのもあり、退職後はフリーランスになろうかなと考えるようになりました。
もちろん、フリーランスになることには収入面などでの不安はあります。ただ、私の場合は転職する方が嫌だと気付いたので「フリーランスになろう」と決断できました。
社内の人間関係に疲れたし、転職先もハラスメントを容認する会社だったら嫌。フリーランスに挑戦してみたい気持ちが強くなったのです。
フリーランスになると決めてから、ブログとX(旧Twitter)を開始。フリーランスになるなら「自分から発信すること」をした方が良いと考えたからです。
あまり深く考えずに始めたことでしたが、発信していくうちにブログとXから仕事を獲得できるように。今では仕事のほとんどがブログとXからの依頼です。
フリーランスになってから5年。少しずつ実績を積み重ねて、自分がやりたい仕事を自分のペースでできるようになりました。
現在は3歳と0歳の子育てのため、Webライターの仕事は一時休業中。下の子を保育園に預けたら、本格的に仕事復帰しようと思っています。
ライフステージの変化に合わせて働き方を柔軟に変えられることもフリーランスの魅力の一つですね。
会社員には戻りたくない。フリーランスの魅力
会社員として働いていた頃、私は日々のストレスや不満を感じていました。
決められた時間に決められた場所に出社し、会社からの指示に従って仕事をする。明確な上下関係があり、理不尽なことでも上からの指示なら逆らえない。私にとっては息苦しいものでした。
もともと集団が苦手で学校にも馴染めなかった私は、社内の人たちとの雑談も苦痛でした。
本当は誰とも話さず1人で黙々と作業をしたいけど、職場の雰囲気を壊したくない。そのため、いつもニコニコ笑顔を崩さず、相手に悪い印象を与えないことを心がけていました。思ってもいないことを口にすることが多々あり、自分のせいとはいえかなりのストレスになっていました。
仕事自体にはやりがいがあり、不満はなかったのですが、どの会社でも社内の人間関係にストレスを感じていたのです。
そんな中、フリーランスという選択肢に出会い、自由な働き方に魅了されました。
私は、フリーランスの最大の魅力は「自分の仕事内容や時間の使い方を好きなように決められること」だと思っています。
フリーランスは、いつでも、どこでも、自由に働けます。
早起きして午前中に仕事を終わらせて、午後から遊びに行っても良い。逆に、多少寝坊しても納期さえ守れば大丈夫。
働く時間や仕事量を自分で調整できるので、子どもの急な体調不良などにも対応できます。
Webライターはオンライン上で完結する仕事だから、富山県内での求人が少なくても関係ない。1人で黙々と作業できるので、社内の人と雑談をする必要がない。
私の仕事は私が決める。上からの理不尽なハラスメントに耐える必要もない。
転職活動や会社員のときに抱えていたストレスは、フリーランスになったことで解消されました。
Webライターとして最初に書いた記事のことは今でも覚えています。執筆した記事に私の名前が掲載されたことが嬉しかった。
また、クライアントから制作した記事を褒められたり、ブログの読者から感想を頂いたりすると「続けてよかった」とやりがいを感じます。
執筆実績を積み重ねていくうちに、ライティング講師の依頼を頂くように。私は人前に立って話すことが好きなので、講師の仕事は楽しく取り組めました。
フリーランスになった直後はWebライターの仕事しか考えていませんでした。活動を続けていくうちにブロガーとしての仕事やライティング講師などの依頼を頂くようになり、仕事の幅が広がっています。
目標を決めて、試行錯誤しながら達成していく。目の前のことに全力で取り組むうちに成果が出てくる。やりたい仕事がたくさん見つかる。
私は、会社員を辞めてフリーランスの道に進んで良かったと感じています。
ライフステージと働き方の変化
私がフリーランスの道に進んだのは2019年。2020年に1人目、2023年に2人目の子どもを出産して家族が増えました。
自分のために自由に時間を使っていた生活から一変。出産してからは、自分よりも子どもを優先しなければならない生活になりました。
ただ、フリーランスという自由な働き方を選択したおかげで、子育てと仕事の両立はしやすかったと思います。
1人目を出産したのは、コロナ禍の2020年。小さい子どもが感染症にかかったらと思うと不安で、しばらく自宅保育をしようと考えていました。
自宅保育している間は、仕事をするのは基本的に子どもが寝ているときだけ。子どもを無視してまで仕事をしたいわけではないので、子育てに影響が出ないように仕事量を調整していました。どうしても作業時間が足りないときは、ファミリーサポートやベビーシッターを頼っています。
年少までは自宅保育にしようかと考えていましたが、成長していくにつれて「集団生活を経験させたい」と思うように。1歳半で保育園に預けることに決めました。
保育園に預ければ仕事をしやすくなるかと思いきや、体調不良での早退・欠席が多すぎてその度に作業はストップ。しかし、期日までに納品できれば良いので、数日作業が止まっても問題ありません。
私の場合、ほとんどの仕事の納期を月末に設定してスケジュールを管理しやすくしていました。
1人目を出産した頃は、夫が激務でほとんど家にいませんでした。さらに、平日休みなので土日休みの子どもと接する時間は毎朝10分程度。なんとか家族で過ごす時間を増やせないかと考えていました。
そこで、私が「日祝と平日1日休み」の週を作って土曜保育を活用し、子どもを平日1日休ませることに。このおかげで、家族みんなで過ごせる日を作ることができました。
2人目は生まれつきの持病があり、何度も入退院を繰り返しています。毎回親の付き添い入院が必要。そして、現時点では保育園に預けることができません。おそらくあと数年は難しい。
もし私が会社員として働いていたら、仕事の調整ができず退職することになっていたでしょう。
ライフステージの変化によって、理想の働き方も変わってくる。
私の場合、フリーランスの柔軟な働き方が非常に役立ちました。
フリーランスにもデメリットはある
フリーランスにはさまざまな魅力がありますが、一方でデメリットもあります。
たとえば、私が感じるフリーランスのデメリットは次の通りです。
収入の不安定さ
仕事とプライベートの境界が曖昧
スケジュール管理の難しさ
クライアントの期待に応え続けるプレッシャー
会社員のような福利厚生はない
会社員とは違い、収入は不安定になりやすい。さらに、会社員のような福利厚生はないので、保険や年金といった制度を理解した上で対策する必要があります。
私もフリーランス向けの保険に加入したり、産前・産後期間は国民年金保険料を免除してもらう手続きをしたりしました。
また、自宅で仕事をしていると、休むべきときにまで働いてしまうことがあります。私の場合、作業をしていなくても仕事のことで頭がいっぱいになってしまい、精神的に余裕がなくなってしまうことがありました。
フリーランスとして生き残るには、常に走り続けなければなりません。仕事を獲得し続けなければならないからです。
したがって、クライアントが満足するようなクオリティの高い仕事をし続ける必要があり、そのためには常に仕事の質を向上させる努力が必要とされるのです。
実績を積み重ねていくうちに単価が上がり、求められるクオリティも高くなります。私に期待して依頼していただけるのはありがたいことですが、大きなプレッシャーにも感じていました。
このようなフリーランスの課題はあるものの、それぞれ対策することは可能です。しっかりと対策をすることで、より充実した働き方を実現できるのではないでしょうか。
新しい道を見つけた私の未来
会社を辞めてフリーランスの道に進み、さまざまな課題に直面しながらも少しずつ成長できたように感じています。
ただ、AIツールが急速に発展している現状では、特別なスキルがないWebライターは淘汰されていくでしょう。これからフリーランスとして個人が生き残るには、「あなたに依頼したい」と思っていただけるような自分だけの魅力を作らなければなりません。
最近は、以前から興味のあったKindle出版に挑戦してみました。他にもインスタライブ、Xスペースにも興味があります。難関資格にも挑戦してみたい。
これからも色々なことに挑戦して、私の道を作っていきたいと思います!
ただ、仕事も大切ですが、それ以上に家族が大事。家族との時間を大切にしながら、バランスの取れた生活を実現していきたい。
健康な上の子、難病の下の子、どちらにも十分な時間を使いたい。
未来の私も「フリーランスの道を選んで良かった!」と言えるように、今できることを少しずつ進めていきたいと思っています。