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男前な少女のTPS(ターニングポイントストーリーズ)

 
 しまった!財布忘れた。 出勤途上の家から駅までの行程、徒歩で半分ぐらい行ってしまったけど、財布を持たずに電車には乗れない。仕方なしに取りに帰っているとき、赤いランドセルを背負った女の子が、話しかけてきた。小学校低学年、2,3年生といったところ。「学校空いてると思う?」朝の7時である。
 「そうだねえ~ちょっと早いかなあ~ 7時だしね、もうちょっと待っても良いけど、お家で待つのは?」女の子はうつむきながら首を横にふった。家に居られないんだなあ・・・。こんなちっちゃい子が、朝早くから身支度を整え、学校に行こうとする。そのぐらい家に居場所がないのだ。
 「靴、似てるねえ~」女の子が言った。女の子も私も、青いスリッポン。脱ぎ着がしやすくしかも安い。「お揃いだねえ~」と話しかけてきて、靴を並べる。こんなにちっちゃい子のに、共通点を見つけてお友達としてお近づきのお話をする。頭のいい子だ。「ほんとだねえ~お揃いだねえ」
 「これ、お気に入りなの!」っとキャラクターもののワッペンを見せてくれた。「知ってるよ~今流行ってるね。いいの持ってるね。」お気に入りを見せてくれる。そんな話をしながらも、困ったなあ、7時で学校空いてるのかなあ・・・。どうするのが良いのかなあ。頭の中で考えていた。
 「学校、空いてるかな?」女の子が言った。「そうだなあ・・・」と私。「とりあえず行ってみる!おばちゃんいえ、おねえちゃん、ありがとう!」そう言って駆け出して行った。
 寂しさを訴えもせず、そんな男前な小さな女の子が、家に居られず、途方に暮れていた。もう少し寄り添ってあげれたらよかった。

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 月日は流れた。少女はなんとか、家を出ようと勉強をし、就職をした。家を出るためには結婚がいる。旦那さまを探し、心から優しい旦那さまとも出会えた。そして子どももでき、自分の居場所を見つけた。

 本来ならこれで、めでたしめでたしである。
 しかしまだ、心の底で求めているものがある。満たされていない何かがある。昔とは異なる、『安全地帯』に居るはずなのに、心がきちんと収まらない。
 心理学の勉強もした。しかしなんだかしっくりいかない。だからこそyoutubeで出会った、鴨さんの『話し方の学校』に入った。そこで出会ったお友達のれいこちゃんのシータヒーリングも受けた。さらには、『鴨楽読』も習得中。
 そんな過程を経て、なんだかいっつも笑ってる自分が居る。仏さまの様に。
 そう、男前な少女は、今も自分探しの旅をしている。

ほとけさまの笑顔を携えて。

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