DIVE!!

「DIVE!!」は「カラフル」と並んで森絵都先生を代表する小説で、映画化に加えて確かアニメ化もされていた気がする。
読んだ当時は小学校の中学年から高学年の頃だったと記憶していて、読書感想文の題材にした気がする。
僕は言うほど文学を嗜んできていないが、幼少期から小学生ぐらいまでは多分マンガより読み物の方が多く履修してきたも思う。
中学生からはクラスの山田悠介ブームや全国的なネット小説ブームに当てられて、ホラー系やデスゲーム系といったケータイ小説に偏っていった気がする。
珍しく小説を記事の題材にしたものだから話が脱線してしまった。

水泳の飛び込み競技をテーマに描かれた青春スポ根モノではあるのだが、スポ根の暑苦しさはなくむしろ静かで爽やかな雰囲気がある。
恋愛要素も無くは無いし、正直情事の話も出ては来るのだが、当時の僕にはオトナな話題過ぎてよく分からなかったし、読み飛ばした。
微かな記憶を辿って話すと、今の僕が読んだら精神を痛めてしまい真っ直ぐ焼却炉に捨て去るだろう。

飛び込み競技は体操やフィギュアスケートのように、美しさの評価だけでなく技の難易度も掛け合わせて採点される。
その仕組みをスポーツに無知な僕へと教えてくれたのが「DIVE!!」だった。
主人公3人はそれぞれ天才タイプ・秀才タイプ・野生児タイプ(これも一種の天才か、)と明確にキャラクターが分かれていて、それぞれが自分の持ち味に気付き、各々の得意分野で日本代表の座を掛けて競い合うという物語だ。
良き友であり強敵でもある関係だけでなく、個性豊かなライバル選手も登場する。
その様子は少年マンガさながらに胸を熱くするが、少年マンガと決定的に異なる点がある。
作中ではモブキャラクター以下の扱いなのだが、主人公らと圧倒的な実力差がある選手がいることだ。
少年マンガだったらそんなボスキャラがモブ扱いなんてことは無く、打ち勝つまでがドラマになるワケだが、この作品では本当に存在していることが分かる程度にしか関わってこない。
何だかその辺りが生々しさを感じていて、僕がスイミングスクールに通っていた頃、一人だけ特別選手育成コースにいた同級生のことを思い出す。
「グラップラー刃牙」シリーズの範馬勇次郎のような、孤高でありながらも孤独な存在というのは、実際には少年マンガのような存在感はなく、勝負の熱を帯びたところにはいないのだ。

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