MONSTAR HUNTER Portable 2ndG

僕ら世代でその名を知らぬ者は無く、そしてその多くが共に遊んだゲームが「モンスターハンターポータブル2ndG」(以下「MHP2G」)だ。
社会現象を生んだと言っても過言では無いと思っていて、僕の中学校では確か社会科の教科書だったかなにかの時代年表にも載っていたと思う。

前作である「モンスターハンターポータブル2nd」の続編というよりは追加コンテンツを含めたリメイクといった内容だ。
前作の内容そのままに、高難易度「G級」や新モンスターといった大ボリュームで、前作のセーブデータがあれば引き継げるものの、MHP2Gから始めても何ら問題ない。
僕のモンハンデビューとしても最高のタイトルだった。

今のモンハンと違い、行えるアクションや利便性にはかなりの制限がある。
モンスターもハンターも攻撃パターンは少なく、マップは移動する毎にロードが挟まり、アイテム使用中は他の全てのアクションは止まるし、持ち物もあまり持てず、採取も一々ゴソゴソする。
NPCのセリフはキャラクター性こそあれど基本的に無機質であるし、ボイスも会話をするようなものではない。
ストーリーもザックリした大筋があるだけで、ゲーム進行に変化は一切無い。
クエストも基本的にマップとモンスターの組み合わせがある程度で、基本的に難易度は使いまわしでしかない。
そのモンスターの数が膨大なだけで。

それでも今尚思い出に深いのは、「狩友とG級へ!」のコピーにある通り、友達と集まって一緒に狩るという、二度と無い青春の時間の尊さだと思う。
それまで友達と集まってやるゲームといえば、スマブラだったりFPSだったり精々ポケモンで、どれもPvPだったからだ。
集まった友達同士で競うのではなく、リアルタイムでコミュニケーションを取りながら強大なモンスターに立ち向かうのが新鮮だったし、きっと本物の狩りもこうして連携を取って自分より大きな獲物を仕留めていたのだろうという、現代では忘れ去られた野生を感じることができたところが夢中になった理由だと考えている。
そんな楽しい一面だけでなく、大勝負に備えてせっせと地味な採取や農場運営をして、素材を売って生計を立てるというところも、「俺は今、ポッケ村で生きている!」という実感があって好きだった。

以降のモンハンは世界的に大ヒットしている人気タイトルであることは周知の事実だが、僕は全く興味が沸かない。
全く別のゲームになってしまったからだ。
作中でも登場する「狩りに生きる」という言葉そのままを体現していたモンハンは、いつしかただのアクションゲームになってしまった。
自然と共に生きるというフィクションの中のリアリティーは失われ、モンスターもハンターも派手なアクションで立ち回りようになり、ダメージ表現は流血からスコアになった。
利便性が上がる代わりに生活にまつわる要素はほとんど排除され、あの世界の言語ではなく日本語を話すようになった。
これまでの世界観であればランポスを飼い慣らして乗るであろうところを、現実のウケを狙ったのかイヌに乗るようになった。
トドメを刺したな、と思ったのは、現在のモンハンはソシャゲも含めて狩りを楽しもうと言い始め、受付嬢ですら「狩りを楽しんで!」などとほざくのである。
あの生きる為に狩りをし、自然と共に生きようとする世界は、もう何処にも無いのである。
自然と共に生きて行かないのであれば、現実の社会の方がよっぽど安全でよっぽど楽しめる。
利便性は現実で楽しめるし、アクションは別のゲームでも楽しめる。
今のモンハンにモンハンたる価値を感じないのだ。

では原点回帰すれば良いのかというと、戻ったところであの頃のように夢中にはなれない。
前述の通り、友達の家に集まって、ああしようこうしようと言い合いながら共に達成する喜びは、決してオンライン通話では感じられない。

でも、それで良い。
もう手に入らないからこそ、尊いのである。
そしてたまにPSPを起動して、UMDのカシャーという読み込み音を聞き、感傷に浸るくらいが良いのである。

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