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STEP135 脱酸素剤を入れたマカロンっておいしいの?

前回マカロンの包装の正解とは何なのか色々と考え方をお話ししました!

その中で私が勤めていたお菓子屋さんでは常温で保存できるクリームでマカロンを脱酸素剤を入れて常温で日持ちさせて売っていたとお話ししました。脱酸素剤が入っているマカロンってあんまり聞かないかもしれませんね。

このお話をするとたまに聞かれるのが「脱酸素剤を入れた常温保存のマカロンっておいしいの?」という若干失礼な質問!!笑

私の答えはもちろん「はい、私が働いていたお店の脱酸素剤を入れたマカロンはおいしいです」です。

ただし!
どんなお菓子もおいしさの基準が何なのかによって感じ方は大きく変わります。



●脱酸素剤を入れたお菓子はおいしくない?

というのも、以前こんなことを聞かれたのです。
「先生って、おいしい状態でお菓子を売る方法を教えているのに、どうして脱酸素剤の使い方を教えているのですか?
脱酸素剤を入れたお菓子っておいしくないじゃないですか!」
と!

これを聞かれてびっくりして「え!そうですか?」と伝えたところ、その方は
「私、今までいろんなお菓子屋さんでお菓子を買いましたけど脱酸素剤の入っているお菓子をおいしいと思ったこと一度もないですよ。
全部まずいです。私が自分で家で焼いた方がおいしいです。

だからなんで先生はわざわざ、まずくなる脱酸素剤を教えているのかなって思って」
言われました。

もうかなり時間が経っているので今回書きましたが、実話です。

これ、あなたはどう思いますか?


●あなたの「おいしいの基準」は何ですか?

私はこの時、この方の「おいしいの基準」は「出来立てであること」なのだなと思いました。
これも一つの価値観なので全然、否定はしないです。
出来立てのおいしさってやっぱりあります。
私も出来立てのお菓子、好きですよ!

例えば、パウンドケーキ

外がカリカリしていて、中がしっとりしていて、生地からフレッシュなバターの香りがしておいしい!
という価値観だとしたら、これって全部出来立てならではの要素ですよね。

こういう出来立て要素がおいしさの基準であるという人からしたら脱酸素剤を入れたお菓子はまずいと感じて当たり前です。
だって、脱酸素剤入れてるのは日持ちをさせるためですから。
出来立てから遠のいているのです。

日持ち以外の視点でも外がカリカリ、中がしっとりというのは時間の経過とともに中の水分が外のカリカリに移行して全体が馴染んでいくと想像できますよね?
つまり時間が経てばカリカリは失われます。
もしパウンドを袋に入れて密封すればなおのことです。

香りだっていくら袋に入れていても出来立ての時の香りがずっと持続するわけではないです。
香りの量だって減ってきますし、香り自体も変化します。

確かに密封していれば香りは多少閉じ込められますが脱酸素剤には時を止める機能はありません。

密封しても脱酸素剤を入れていても袋の中でお菓子は少しずつ変化していくのです。

だから出来立てが最高においしい!出来立てこそ正義!という価値観の人は脱酸素剤の入ったお菓子をおいしいと感じることはないでしょう。
だって出来立てじゃないのですから!(単純な話)

それなら全て出来立てのお菓子を常に売ればいいじゃない?って思いますよね。
それができるならやってもいいです。
でも出来立てのおいしさを突き詰めていくとアシェットデセール(皿盛りデザート)のお店をすることになります。

日持ちもしないし、持ち帰りもできない、作り置きもできないつまりギフトにもできないというビジネスになるのです。

それがやりたいのならそれで全然OK!
実際そういうお店ありますから。

でも
いつもお菓子を切らさないようにたくさん並べたいお店
持ち帰りや配送もできるお店
ギフトでプレゼントできるお店
こういうことをやろうとしたら出来立てだけの提供という形態は無理があるのです。
となると、日持ちさせるために脱酸素剤を入れる選択肢も出てくるわけですね。


●おいしさの基準は人それぞれ

では、今回のタイトルになっているマカロンで考えてみましょう。

マカロンはマカロン生地とクリームという構成ですよね。
当然、マカロンも時間が経つとクリームの水分や油分が生地のほうに移行して全体が馴染んできます。
これは脱酸素剤を入れる入れないに関係なくだんだんそうなってきます。

なので同じ「マカロン」というお菓子でも冷蔵で日持ちが2日程度のマカロンと常温で日持ちするマカロンでは全然違うものになるわけです。

出来立てこそがお菓子のおいしさだ!という価値観の人が常温で日持ちする
脱酸素剤入りのマカロンを食べておいしいとは言わないと思います。
だって常温で日持ちがするマカロンは出来立てではないのですから馴染んでいるのですよね。

私が働いてたお菓子屋さんのマカロンは時間が経つと全体が馴染んて一体感を楽しめる味わいになっていました。
私はそれがおいしいと感じています。

もちろん出来立てのマカロンもそれはそれでおいしいですよ。

ただおいしさの基準が違うのに相反するものを比べて、あっちの方がおいしい、こっちはまずいなどと一言で片付けるのは違うしナンセンスだなと思います。

あなたのお菓子のおいしさの基準はなんですか?
自分のお菓子のおいしさをきちんと言葉にできると、あなたの狙った味わいがきちんとお客様に伝わりますよ!

ちょっと長めでしたが、次回はまたさらに深掘りしていきます。


この記事は内野未紗が配信する
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