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ごちゃごちゃ話している

目の前から犬を連れて歩いている人が向かってくるとドキドキする。犬に吠えられるのではないか、可愛い犬をできるだけ目に焼き付けたいけれど犬も飼い主も不愉快なのではないか、など無駄なことばかり考えてしまう。犬に吠えられることもなく、適度に犬を見つめることができた時、謎の達成感がある。犬、ありがとう。

目の前からハムスターが歩いてきたらとても可愛いなと考えたりする。小さすぎて見えないとは思うが、ハムスターが街を歩いていることが当たり前だった場合、地面を注視して歩くだろう。私は普段から下を向いて歩いているので、人よりも多くハムスターに遭遇することができるし、ハムスターの命を救う回数も多い気がしている。常にひまわりの種を持ち歩いて、鳩に餌やりをするおじさんのような振る舞いをしてしまうだろう。

夢を覚えていないのに、なんだか今日は飼っていたハムスターに会った気がするなあとぼんやり思うことが多々ある。きっと、本当に会っていたのだと思う。夢の記憶はないけれど、心が覚えている。ハムスターと触れ合う瞬間だけに生まれる、温かい感情が確かに存在するのだ。

夢は不思議だなと幼い頃から考えている。私は一回の睡眠でいくつもの夢を見る。その夢を覚えている時もあれば、感情だけを覚えている時やワンシーンだけ覚えている時もある。

幼少期は夜に眠ることが嫌いだった。母と父と姉の笑い声がリビングから聞こえているのに、私だけが眠りにつかなければいけないことに疎外感を感じていた。その時の名残なのだろうか、今でも早寝することが苦手である。早く寝てしまうと、私1人だけが違う世界に行っているような、取り残されているような、そんな気がしてしまう。

布団を掛けていると汗ばんでくる季節になってしまい、なんだか悲しくなる。私は体に何かを纏わり付かせながら眠ることが安心に繋がっているのに、夏に近づくにつれてだんだんと安心を捨てなければならない。キンキンに冷えた部屋で眠ればいい話なのだが、私の部屋にはクーラーが存在していない。夏は扇風機でどうにか生きている。

夏、やだなあ。夏、嫌いだなあ。なんて考えているが、プールも海も祭りもアイスもかき氷も大好きだ。夏の風物詩と言われるようなものは大概好きだがやはり気温が嫌いだ。猛暑という文字を見ただけで汗ばみそうになる。

春、梅雨、夏の流れは人をダメにするなと感じる。花粉、湿気、高温、こんなとんでもない季節の流れに適応できる人間は素晴らしい。私は今年もおかしな情緒で生き延びるだろう。

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